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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第四章 帝国激震編
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第二話 勇者PT帝国へ行く⑧

 その後、三日もレオン大将軍への供花の列は続いた。

 ようやくその列がまばらになる頃、


「お世話になりました。皇帝陛下」

「うむ、レオニス四世にもよろしく伝えおくように」

「はい、魔王軍打倒のため共に立つ日をお待ちしております」


 と、アンナたち使節団は馬車に乗り込んだ。


 門を抜け、大通りを進むとしばらくして男の叫び声が聞こえる。


「号外!号外だよ!」


「何?号外?新聞を配っているの?あの男は」

 ヤスコが馬車の窓から目ざとく見つけ、声を上げると、


「私がもらってきましょう」

 と、エルザが騎乗したまま、号外を手に戻ってきた。


「この世界では紙は貴重だと聞いたぞ?」アリアが首を捻る。

「帝国では量産されているということね」ヤスコが号外を受け取った。


 確かに紙はまだ貴重。

 質も悪く見慣れた大きさの半分ほどの紙だったが、


『レオン大将軍死去。――三魔将ベルゼと相打ち』

 と大きく見出しが踊っていた。


「コルダ丘陵での続報か!」


 アリアが声を上げ、

 ヤスコが続きを読み上げた。


「帝国の英雄レオン大将軍がコルダ丘陵で死亡。

 三魔将ベルゼと激戦を繰り広げ相打ちとなった模様。

 先日国葬が執り行われ帝国中が涙で濡れた、とあるわね」

 ヤスコが顔を上げる。


「確かに私たちも二人が死んじゃったとは聞いたけど……」

 リルルも首を傾げ、

「何だかもやもやするね」

 ユキナも不審げな表情だ。

「これが“政治”というやつかもな」

 アリアは明らかに不満気だ。


(確かに国民の不安を煽るべきじゃないのかもしれないけど…)

 国葬での遺族の表情を思い出していたアンナだったが、


「おお!アンナのことも書いてあるよ!」


 と、再びヤスコが読み上げた。


「国葬には聖ローマン教のマーリン大司祭にリ・エスティーネ王国使節団の一員として勇者カミシロ・アンナも参列。

 特に勇者アンナは皇帝陛下と魔王軍打倒のため共に戦うことを誓った、

 だってさ。世界デビューじゃない?これ」

 ヤスコが笑顔で言った。


「やったじゃん!アンナ」

「帝国に認めてもらったってことですよアンナさん」

「力をつけてきたって証だろう、これは」

 とリルルとユキナ、それにアリアまで続き

「まだまだだよぅ」とアンナは苦笑いで返した。


(魔王を倒す。当然そうだけどそれだけじゃない気がする)

 アンナは“勇者”とは何かを考え始めていた。


 一方、号外を返してもらったエルザは馬を止め、

 号外には触れられていない部分について考えていた。


(“魔弾銃部隊”には一切触れていないか)


 そして、小さく追記されていた記事を見つけた。


(大将軍は空位に、今後は将軍たちをあつめた幕僚本部体制へ、か。

 “上”への意見が通りにくくならなければいいのだけど……)


 一抹の不安を感じながら馬車の列に戻るのだった。


そして、

 レギウス城のテラスではアンナたちを見送るレギウス三世の姿があった。


「して、あちらの件は?」


 誰にともなく言うと、音も無くそこにはハルモニアがいた。


「レオンの遺族には手配が完了しました。

 遺族への手当として家を与え、監視をつけます。

 息子二人も騎士学校へ転入が確定。こちらへ取り込みます」


「うむ、それでよい」

「いずれ死の真相なぞ探り始められると面倒ですからな」

「何のことだ?」

「おっと、そうでした。レオンはベルゼと名誉の相打ち。

 それ以外は、例えば“魔弾銃部隊”なぞは無かった。そうでしたな」


「たまに余計なことを囀りだす。

 そんな口なら体同様削いでしまうか?」


「おっと、怖い怖い」


 そう言うとハルモニアの気配は消えた。


ふっと空を見上げたレギウス三世は、

何事か思索の枝を広げ始めたのだった。

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