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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第四章 帝国激震編
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第二話 勇者PT帝国へ行く⑦

 国葬は一週間後に執り行われた。


 要塞の様な趣のレギウス城。そこに今日は悲壮感が漂っていた。城からまっすぐ伸びた大通りには夥しい数の国民が集まっている。帝都の至る所には黒い旗が垂らされ、偉大な大将軍の死を悼む。


「只今より、故レオン・クラムハルト大将軍の国葬儀を執り行う」

 レオン直属の副官。その開会の声が拡声魔法により街に響き渡る。


 そして、ガルディア帝国の国歌が演奏された。


 帝国軍付属音楽隊の秩序立ち規律ある国歌が流れる中、

 レギウス城のすぐ真下の広場には棺が置かれている。中には戦場に残された割れた鎧や、生前使われた槍等の武具、筆記具といった日用品が納められている。その棺の前には家族。


 妻であろう金髪の女性と二人の息子。一人は6、7歳といったところ、長男だろう。涙を浮かべながらもまっすぐ棺を見つめ立っている。妻の女性は棺にもたれ掛かりすすり泣き、次男は訳が分からない様子でただ女性のスカートの裾を掴んで立っている。


 その様子を《暁の翼》や使節団の一団は沈痛な面持ちで眺めていた。

 城のテラス部分に設けられた観覧席で《暁の翼》の面々が囁きあう。


「奥さん、あんなに泣いて……かわいそうだね」

「お子さんたちもあんなに小さいのに」

 リルルとユキナの目には涙が見えた。


「それに」と、ヤスコが通りを見回すと、

「この人手を見れば、レオン大将軍の人徳が分かるな」

 そう言い、アリアが腕を組んだ。


(その人の人生だけじゃなくその家族にまで悲しみを広げる。これが戦争)

 アンナは膝に置いた手に力を込め、ぐっと歯を食いしばっていた。


 そして、

 テラスの先頭に聖ローマン教の大司祭マーリンが進んだ。

 純白に金糸があしらわれたローブで両手を広げ、威厳ある声を響かせた。


「志半ばで逝ったレオン・クラムハルトの魂よ

 せめて安らかに女神の元へ召されんことを。

 ――黙祷!」


 マーリンの言葉と共に大通りまで全ての人が黙祷を捧げ、静けさが場に下りた。


 黙祷が終わり、徐々にざわめきが戻り始めた頃、レギウス三世が立った。


「おお、レオンよ、大将軍よ

 そなたの雄姿、今も瞼の裏に焼き付いておる。

 ガルディア帝国国民全てがそなたの様に戦い続けることを誓おう!」


 レギウス三世の言葉に、大通りが揺れた。


「おお!皇帝陛下万歳!帝国万歳!」


 大歓声の中、レギウス三世に視線を向けられ、アンナが前に出る。


「帝国の英雄レオン大将軍、安らかにお眠りください。

 私も、神代アンナも勇者としてあなたのご遺志を継ぎ

 あなたの守った国民と共に魔王軍と戦うことをここに誓います」


 再び大歓声が上がり、拍手の音が鳴り響いた。


 そして、供花が行われアンナたちも広場へと降りた。


 棺の中に次々と花が手向けられ、アンナたちもそれに倣った。

「ご遺体も見つからないなんて……」ユキナが目を瞑り祈りを捧げ、

「それほどの激戦だったということだろう……」アリアがユキナの肩に手を置く。


(あの人たちに私は何が出来るのだろう……)アンナは思う。


「失ったものは大きすぎるけどね」

「ええ、私もあの人たちに声をかけてあげることが出来ないよ」

 ヤスコとリルルの視線の先にはレオンの遺族。


 憔悴しきった女性と二人の息子たちにアンナは口を開くが声が出ない。


(せめて、私たちがこの戦いを早く終わらせる。

 それくらいしか、今の私たちに出来ることは無いのかもしれない)

 

 GG00との死闘を制し、力をつけたと確信した矢先。

 力では解決できない出来事に勇者の無力を感じるアンナであった。

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