第二話 勇者PT帝国へ行く④
皇帝と使節団の会談中に割り込む突然の報告。
その常識をあまりに逸した行為に怒号が響く。
「何のつもりだ!貴様」
全身鎧の叱責に動けなくなる伝令。
「よい、報告を許す」
あくまで冷静なレギウス三世の声が場を鎮める。
「コルダ丘陵にて――
魔弾銃部隊、壊滅。
三魔将ベルゼ、確認された限り……死亡」
(ベルゼが?あいつは私が倒そうと……)
アンナは複雑な気持ちだった。
そしてなぜか一瞬、寅二郎の背中が見えた。
(あの変態はどうしているの?)
「レオン……大将軍は?」全身鎧が狼狽しつつ言った。
「戦場にて“異変”があったと。
目撃者によれば、魔族のような姿に……」
その場の全員が息を呑む。
「そして、レオン大将軍とベルゼは死亡と、情報はここまでです」
「それで結局戦場はどうなっているのか!」全身鎧が叫ぶ。
「それが、大魔王ノクス・リヴェルタの号令により魔王軍撤退と、
現場では情報が錯綜し、混乱している模様」
そう言うと伝令はこの場を去った。
「ふむ、レオンが逝った、か」
レギウス三世が呟き、
兵士たちも下を向く。
すすり泣く者もいる。
(魔弾銃も失敗。レオンは悪魔に?そして大魔王は“何”をみた?)
「魔弾銃部隊は全滅、だそうですね。
やはり危険なものだったのでは?」
アンナは努めて冷静を装い言った。
「貴様!陛下に意見するつもりか!」
全身鎧が叫ぶ。兵たちにも緊張が走る。
「よい」「は」レギウス三世は手で制すと、
「実験には失敗は付き物。
されど、お前の言うことにも一理ある。
そこで提案なのだが、お前の“力”、朕に見せてみよ」
レギウス三世が指を鳴らすと、
黒ローブが一人前に出た。
「この男に勝てば、魔弾銃計画は廃棄。
ちょうどお前たちを送る戦場も無くなったことだしな」
(この男、まだ!しかも“廃棄”は魔弾銃だけ)
様々な疑惑を知るエルザが震える。
「お前の言う“力”、朕に見せてみよ!」
レギウス三世の言葉と共に黒ローブから黒い煙が上がる。
「この男、実は魔族でな。帝国で捕獲し、朕が使役しておる」
(まさか、ここで勇者を殺し“口封じ”する気か!)
エルザが立ち上がると同時に《暁の翼》の面々も立ち上がっていた。
そしてアンナは剣を抜いて言った。
「よいでしょう。その提案受けて立ちます。
勇者PT《暁の翼》、私たちの“力”、存分にご覧に入れます!」
会談の場から一転、戦場へと空気が変わり、
「行くよみんな!」
「おう!」
アンナたちの正義を示す戦いが始まった――。




