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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第四章 帝国激震編
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第二話 勇者PT帝国へ行く③

 そして、使節団の一員として、

 会談を聞きながらエルザは困惑していた。


(様々な帝国の疑惑、それは確信しているつもりだった。

 だけどそれを一切感じさせない。それはいったいなぜ?)

 

 エルザの困惑を置いて、会談は進む。


「して陛下、現在の戦況を伺ってもよろしいでしょうか?」

 アンナが切り込んだ。


「よかろう、おい」


 レギウス三世が視線を送ると、

 全身鎧の兵士が前へ出た。

 そして、報告を始めた。

 現在の一番の激戦地はコルダ丘陵。

 そこには大将軍レオンが着陣していること。

 三魔将ベルゼの姿も確認されたこと。

 秘密兵器部隊が投入されたこと。


(ベルゼが!)


 アンナの脳裏に王国急襲事件が蘇る。


 しかし、それよりもとアンナは尋ねた。


「陛下、秘密兵器部隊とは一体?」


「“魔弾銃”部隊よ」


 皇帝の言葉に、使節団はおろか居並ぶ帝国兵士たちにも衝撃が走った。大広間に騒めきと困惑の視線が飛び交い、エルザは堪らず立ち上がり叫んだ。


「“魔弾銃”は禁忌の兵器!それを!」


「黙れ!皇帝陛下の御前であるぞ!」

 全身鎧が剣に手をかける。


「詳しくご説明いただけますか?」

 アンナはエルザを手で制し、

 レギウス三世に向き直る。


「なに、魔族の技術を奪い実用化させようとしているまでのこと」

 レギウス三世は何事もないかのように言い切る。


「魔族の技術を奪い取る?

 ですが、それは危険だからこそ“禁忌”なのでは?」


「“力”を求めて何が悪い?民や国を守る。

 力を振るうとはそういうことだ。

 力を使わぬ覚悟など、朕には理解できぬ」


「そのために少なくない民や兵士、

 弱い者たちの犠牲が出ることになっても?」


「お前の言う“犠牲”の上に立ち皆を導く。責任を背負ってな」


 アンナはどこか、かみ合わないものを感じていた。


(魔王を倒す。みんなで平和な世界を作る。

 同じ方向を向いているはずなのに……)


 アンナの背に、じっとりと冷たい汗が伝った。


「なら、どうする?

 神にでも祈ってみるか?

 ふん、神なぞ何をしてくれるというのか」

 

 レギウス三世の言葉に、アンナの心に火が付いた。


「少なくとも、私たちはそのためにここにいる!」


 アンナが叫び、

 レギウス三世が言葉を返そうとした瞬間、

 兵士が駆け込んできた。


「失礼ながら、報告!コルダ丘陵にて――」あまりに無礼な横やりが入る。


 しかし、この報告で混沌はさらに深みへと入るのだった。

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