第二話 勇者PT帝国へ行く②
黒光りする大きな扉を抜け、
大広間へと足を踏み入れたアンナたち使節団。
両側に帝国兵士がずらりと並び、兵士の視線が一斉に動く。
その奥では重臣たちだろうローブや鎧を着た者たち。
さらにその奥には黒鷲のあしらわれた大きな国旗、
その下の豪奢な椅子に座りこちらを睥睨する者がいた。
それがガルディア帝国皇帝レギウス三世だった。
「遠路はるばるよう参られた、勇者カミシロ・アンナ。
そして、《暁の翼》とリ・エスティーネ王国使節団よ」
低く、それでいてよく通る声でレギウス三世が言った。
「は、歓迎いただきありがとうございます。皇帝陛下」
中央へと進み膝をつく面々、そしてアンナが言った。
「魔王軍との激戦、その最前線で戦ったおられること、
大変ありがたいとレオニス四世よりの言葉でございます」
「ふむ、朕も五大国の一員。
弱き民を守り導くのは当然の務め。
大きな力を持つものが前を行くのは義務ともいえよう」
「我々も同じ思いで、
微力ながら戦場での鼓舞激励とならんと罷り越しました」
「面を上げよ、勇者よ」
アンナは顔を上げ、レギウス三世と視線が交錯する。
全てを見透かされるような圧を感じ、汗が噴き出る。
心の奥の何かを掴まれたような不安が走る。思わず拳を握っていた。
(すごい圧。だけど負けられない)アンナの拳に力がこもる。
「よい、眼だ。覚悟が伝わってくる。
勇者の参戦、朕も素直に喜ぶこととしよう」
レギウス三世は変わらずアンナへと視線を向けている。
まだ会談は始まったばかりだというのに、アンナの拳から汗が滴り落ちたのだった。




