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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第四章 帝国激震編
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第二話 勇者PT帝国へ行く①

 激闘を終えた寅二郎たち。

 彼らは一度、マーリン大司祭の待つ大聖堂へと帰ることにした。


「ごめんね、トラジロウ。力が足りなくて」

 リラの声が沈んでいる。


「リラちゅわんのせいじゃない。気にすんなよ」


 寅二郎が笑い、手を振る。

 その手はズタズタに切り裂かれた跡が残っていた。

 指を動かすたび、鈍い痛みが遅れて返ってくる。


「そうだぞ。

 こいつが治療途中でベルゼとやりあったりするからだ」

 シドがため息を付く。


 魔弾銃暴発のダメージが残ったままベルゼと切りあい、寅二郎の手は力が入らなくなってしまっていた。リラの治癒魔法では完治に至らずマーリンに診てもらうことにしたのだ。


「行こうか、帝都レギオンブルク、大聖堂へ」

 シドの声に頷き、寅二郎たちは歩き出したのだった。



一方、その帝都レギウス城に到着した一団があった――。


「ここがレギオンブルク」


 物々しさに目を見開き、アンナたち使節団は馬車を降りた。


 馬車を降りた瞬間、空気が変わった。


 城壁は想像以上に高く、黒く、

 外側には無数の矢倉と見張り台が突き出している。

 門前には二重三重の検問線。

 武装した兵が無言で立ち並び、その視線は一様に鋭かった。


 通りに入っても、人影は少ない。

 開いている店はほとんどなく、窓という窓は閉ざされ、


 建物の壁面には防護刻印が刻まれている。


 歩くごとに、甲冑が擦れる音が反響した。

 それは護衛の足音ではなく――街そのものが武装している音のようだった。


「皇帝陛下がお待ちだ。来い」

 見張りの兵士の後を歩く。

「何だか、……ねぇ」

 ヤスコが眉を顰める。

「ああ、余りに雰囲気が重いな」

 アリアも不審顔だ。

「ヴァルニスとは全然違うね」

 リルルですら落ち着かない様子。

「ええ、何だか怖いくらい」

 ユキナは自然と胸の前で手を組んでいた。


「まさに帝国は対魔王軍との最前線、それは分かるのですが……」


(厳戒態勢は魔王軍へのもの?それとも……)エルザも見回し警戒する。


 先頭を歩くアンナもずっと前方を見据える。

(私が見極めなくちゃ、皇帝陛下の真意を……勇者として)

 我知らずアンナの手は剣の鞘を触っていたのだった。

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