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異世界千夜一夜  作者: 大西平洋(ヘイヨー)
~いろいろな小話~
89/1003

~第88夜~「妖怪おぼろ車一家(その2)」「ラオリェンママ再び」

 異世界アルファリスへとやって来た「おぼろ車一家」

 タクシー会社を始めると、その風体と利便性で一躍人気者になってしまいます。

 それを見ていた他の妖怪たちは、おもしろくありません。そこで、総力をあげておぼろ車一家の商売を邪魔することにしました。


「アイツらは欠陥車両だ!乗ったら事故に()うぞ!」とか「元々、怨霊として蘇った存在だから、近づくだけで呪われてしまう!」「料金を通常の何倍も取られるボッタクリタクシーだ!」などと、あることないことウワサを流して、評判を落としにかかります。

 最初は、妙なウワサに騙されて利用しなくなるお客さんもいましたが、そこは「安全!安心!良心的!」をモットーにかかげる「おぼろ車観光タクシー」です。

 すぐに信用を取り戻し、根も葉もないコトを言う妖怪たちの方が信用を落としてしまいました。


 口撃では通用しないと知った妖怪軍団。今度は物理的な手段に訴え始めます。

 走っているおぼろ車(息子)を、カッパの馬鹿力で横から張り飛ばしたり。おぼろ車(孫)を誘拐して「商売を辞めろ!」と脅してみたり。

 そうこうしている内に、妖怪たちの間でも意見がわかれ始めます。

「ほんとに、ここまでする必要があるのだろうか?」

「もしかしたら、間違っているのは我々の方なのでは?」

「むしろ、頭を下げて『おぼろ車観光タクシー』に就職させてもらっては?」などと言い出す者まで現れる始末。

 それどころか、実際に就職して働き始める妖怪が出てきます。


「いや~、働いてみると、みんないい人たちばかりで」と、からかさ小僧。

「福利厚生もシッカリしていて、良心的な会社だぞ~ん」と、アカナメ。

「アチキなんて、イメージキャラクターにしてもらったもんね~」と、アマビエ。

「ボクチンも、お店の前で『招き猫』にしてもらったでやんす」と、ネコマタもホクホク顔です。

 その様子を指をくわえて眺めていた他の妖怪たちも、うらやましくなって、おぼろぐるま一家の所へと行ってしまいました。


 こうして、地球では闇に隠れながら暮らしていた妖怪たちは、異世界アルファリスへと移住してからは、堂々とお日様の下に出て、今日も笑顔で働き続けているそうです。


 めでたし♪めでたし♪


         *


「ラオリェンママ再び」


 さて、ひさびさにラオリェンママに登場していただくといたしましょう。

 ここは、異世界「アルファリス」のどこかにある、さびれた酒場。異世界の中でも辺境の地にあるので、あまりお客さんは訪れません。

 この酒場を取り仕切っているのは「ラオリェン」という名のメスの鬼でした。みんなからは「ラオリェンママ」と呼ばれています。

 ラオリェンママは、その昔、人間だった時代もあり、転生して鬼の姿に生まれ変わったのです。なので、人生経験は豊富!酔っ払いどもの話を聞くのも得意ですが、暇な時間には自らの思い出話などを語って聞かせることもあります。


 日もドップリと沈み、辺りが暗闇に包まれる時間帯。

 今夜は珍しくラオリェンママのお店にも何人かのお客さんがやって来ています。

 1人は、常連客のさえない顔立ちの男。もう1人は近所の刑務所で働いている老人。それから、吟遊詩人と謎の旅人の姿もあります。


「さあさ、アンタたち。どんどん注文してちょうだい!収入がなくなったら、この店だってやってはいけないからね。店をつぶしたくなかったら、酒を注文するんだよ。酒が一番原価が安くて利益率が高いからね~」と、身もふたもないコトを言っているのが、メス鬼のラオリェンママ。

「酒たってなぁ。つまみがなきゃ、酒も進まないぜ」と、常連客のさえない男。

「だったら、おつまみのどんどん注文してちょうだい。リクエストがあれば、なんでも作るわよ!」

「いやいや、つまみってのは料理のコトじゃね~よ。話だよ話。お・は・な・し!わかる?いい酒を飲むには、いい物語が必要なの。昔から決まってるでしょ?」


「確かになぁ。いい物語は酒の味をよくしてくれるぞい。ワシも、何か話が聞きてぇなぁ。ドキドキする冒険モノだったり、青春時代の甘酸っぱい感情を呼び起こす恋物語だったり、心臓が止まるようなホラーだったり」と、刑務所で働いてる看守も割り込んできます。

「いいですね。私も各地を旅して回って、いろいろと語ったり歌ったりしてしますが、たまには人の話を聞くというのもいいものです」と吟遊詩人が賛同します。

「フム。こんな夜には物語が欲しくなる。幼い頃、おやすみの前に、よくママに昔話を語ってもらったものだ。1つ子供時代を思い出すようなのをお願いしたい」と、謎の男も言います。


 そこで、ラオリェンママが提案しました。

「それじゃあ、こうしましょう。これからこの5人で順番に自分の持ちネタを披露していくの。もちろん、この場で作った即興のお話でも構わないわ。なるべく、他の人たちをビックリさせるようなのがいいわね」

「いいね」「そうしよう」「じゃあ、誰から始める?」と、場は盛り上がります。もちろん、みんな1杯ずつアルコールのおかわりをして。


 …と、ここで時間となったようです。

 それでは、この続きは、また明日の晩に。

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