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異世界千夜一夜  作者: 大西平洋(ヘイヨー)
~いろいろな小話~
87/1003

~第86夜~「「目指せ!暗黒大陸」(その3)」

 ラ・スースー、ラカノン、ドゥップルの3人は、苦難の末、暗黒大陸へとたどり着きます。

 そこは文明社会と比べると、「完全な未開の地」と言っていいような場所で、スマホやパソコンはもちろんのこと、電化製品や家法具(家庭で使える魔法器具)も普及していないような土地です。

 代わりに、何千年も前から続く怪しい呪術の数々が存在しています。闇の魔術の使い手であるラ・スースーからすると天国のようなところでした。

「そうか。私は、これに出会うために生きてきたんだわ…」

 それまで「死にたがり」と呼ばれ続けたラ・スースーでしたが、暗黒大陸にある神殿で、神官から呪術を学ぶたびに生き生きとしてきました。肌にはつやが、表情には笑顔が増え、それでいて全身にまとった負のオーラはますます濃くなっていきます。

「ラ・スースーの奴、なんだかおかしくなってきてないか?」と、ラカノンは心配します。

「そうか?オレからすると、以前よりもずっと魅力的になったように思えるが」

 ドゥップルの方は、負のオーラが増すたびに、さらにラ・スースーに()かれていくのでした。


 ラ・スースーが闇の魔術の修行をしている間、ラカノンとドゥップルのふたりは、近くの森や川で暗黒大陸特有の魔物を相手に腕を上げていきました。

 現地の人たちは意外と親切で、3人を快く受け入れてくれています。おかげで、3人とも冒険者としてメキメキとレベルが上がっていきました。

 けれども、そんな日々も長続きしません。ラカノンは、暗黒大陸にやって来たコトを後悔しています。ドゥップルは闇にとらわれていくラ・スースーの魅力にあらがえず、ついに「告白する!」と言い出します。

 以前からラ・スースーに好意を持っていたラカノンは傷つきました。


「僕は、君のコトを親友だと思っていた。なのに、まさかこんなコトになる日が来るなんて…」

「オレだって気持ちは同じさ。けど、これも運命ってヤツだろうな。3人が再会し、暗黒大陸を目指したあの日、運命は決まったんだ」

 ふたりとも剣の腕は互角でした。ラカノンには、元々持っていた身体能力の高さに加え、これまでの冒険の日々で得てきた経験があります。ドゥップルも同じだけ冒険の旅をし、「コイツにだけは負けるものか!」というライバル心もありました。

 何時間が過ぎたでしょうか?お互いが死力の限りを尽くし、それでも決着はつきません。ついに、ふたりは大地に倒れ込み、ハァハァと肩で息をし合いました。


「なんだろう?なんでだろう?なんで、こんなコトに…」と、倒れたままラカノンは両目から大粒の涙を流しています。

 ドゥップルの方はというと、涙こそ流しはしませんでしたが、やはり胸は悔しさでいっぱいでした。その悔しさが何に起因するものかさえわかりません。

 親友と争わなければならなくなったコトか?結局、ラカノンを超えることができなかったせいか?それとも、ラ・スースーに対する想いから来るのか?様々な感情がゴチャ混ぜになって、さっぱりわからなくなり、頭の中がグルグルと回り続けるのでした。


 そこへ、当のラ・スースーがやって来ます。

 ふたりから争っている理由を聞き、ラ・スースーも傷つきました。どちらに対しても好意を抱いていたし、片方を選ぶことなどできなかったからです。

 そうして、ついにこう提案します。

「いいわ。この土地に来て、暗黒神殿の神官様に教えていただいた術の中に、こういうのがある。『遠い昔、ふたりの若者がひとりの少女を巡って剣を交え合った。ふたりは3日3番戦い続けた。けれど、決着はつかず、少女は闇の魔術を使い、問題を解決した』」

「なんだ?それ?」と、ドゥップル。

「ちょうど、僕らと同じ関係じゃないか」と、ラカノン。

「そうよ。その時の伝説で使った魔術。アタシも身につけたの。試しに使ってみましょう」

「でも、危険じゃないのか?」

「君にもしものコトがあったら、僕は生きてはいけないよ」

「いいでしょ?どうせ壊れてしまった関係だもの。元々、私は死にたがりのラ・スースー。ここで命が尽きたところで、本望よ」


 こうして、3人は暗黒神殿に伝わる伝説の秘術を試してみることになりました。

 儀式の準備を終えると、天にはモクモクと黒雲が広がっていき、3人の真ん中に(いかずち)を落としました。

 ゴ~~~ン!という大音響と共に、雷はラ・スースーに直撃します。

 すると、その直後、不思議なコトが起こりました。目の前に立っているのは少女。ただし、ひとりではありません。うりふたつ、そっくりな顔かたちをしたふたりの少女が存在しているのです。


「これは、一体!?」

「どうなってるんだ!?」

 ドゥップルとラカノンのふたりは驚きます。

『どうやら成功したみたいね。伝説の通り』と、ふたりの少女がハモりながら答えます。

 そう!ラ・スースーの心と体は2つにわかれてしまったのです。

 半分は闇。半分は光となって。


 闇の少女は、自らを「グアリーレ」と名乗り、暗黒大陸に残ることになりました。そうして、ドップルと一緒になり、暗黒神殿を守り続けたということです。

 光の少女は「ラ・スースー」の名を引き継いで、ラカノンと共に暗黒大陸をあとにし、どこへやら旅に出かけたのだとか。


 さて、ちょうどお時間となったようです。

 それでは、次の物語は、また明日の晩に… 

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