~第76夜~「異世界女子会(その2)」
異世界の街の居酒屋にて、女子会が開かれています。
「女子会」をご存じない方のために説明しよう!
女子会とは、女性(必ずしも若い女性だけとは限らない。自分で自分のコトを「女子」だと信じている者は、誰でも参加可能!)だけで集まって、お酒を飲んだり料理に舌鼓を打ったりしながら、男ども抜きで会話で盛り上がる行為であ~る!
今回の参加メンバーは3人。
1人はルチルガさん。もう1人は、保育園の園長をやっているアヴィール。そして、3人目は、文化人類学者のマーブル=フェール。
ルチルガさんは、何度か登場しているので、ご存じかと思いますが。地球からやって来た冒険者。現在は魔法戦士として、バッタバッタと魔物を倒しては日銭を稼ぐ日々。なにしろ、ひょんなことから養わなければならなくなった子供たちが15人以上もいるのです。
アヴィールは、ルチルガさんが子育てをしなければならなくなって、急遽建てられた保育園の園長さん。
マーブル=フェールは、第16夜にもちょこっとだけ登場したのですが、「この世界は一度滅びて、新しい文明が築かれた」という学説を唱えている学者さんです。
「だ~から!結婚なんて、人生の墓場なんだって。私の友達、みんな後悔してるもん。『ああ~あ、なんでこんな人と結婚なんてしちゃったんだろう』って。それって、既婚女性の常套句なのよ。『こんな人』とか関係ないのッ!誰と結婚しても後悔してるに決まってるんだから」
お酒の入ったルチルガさんが、くだを巻いています。
周りには、ワインやらウィスキーやらの空の瓶が転がっています。ルチルガさんは両親の遺伝により異様にお酒に強いので、これでもほろ酔い加減といったところ。
「でも~、それって『嫉妬』ってヤツじゃないですか?自分が結婚できないものだから、人の結婚生活の悪い部分だけ取り出して、『ホ~ラ、ご覧なさい。結婚なんてこんなに不幸なんですよ~』って無理矢理アピールしてるだけなんじゃ?」
これは、保育士のアヴィールのセリフ。
「そんなコトないわよ!墓場よ!墓場!夜は墓場で運動会よ!」と、ルチルガさんが即座に反論します。
「ま、結婚するかどうかは置いておいても男は必要よね。肌につやを保つにも、常に男の存在は欠かせないわ」と、マーブルが口を挟みます。
「はぁ~?男?マーブル、あんた男いるの?」
「いるわよ。両手の指じゃ足りないくらいね」
「またまた~!大げさに言っちゃって~」と言いながら、ルチルガさんはコップのウィスキーをグビリ。
「大げさでもなんでもないわよ。最近だと、ゴブリンの彼氏がよかったかな~」
ブ~ッと、口に含んだウィスキーを壮大に吹き出すルチルガさん。
「ゴ、ゴ、ゴ、ゴブリ~ン!?」
「もう、きったいないわね。ゴブリンだろうがオークだろうが楽しまなきゃ♪せっかく、わざわざ異世界まで実地調査にやって来てるんだから」
「はい、これで拭いてください」と、ルチルガさんにおしぼりを手渡すアヴィール。こういうとこ、保育士さんらしいですよね。
「それにしたってゴブリンはないでしょ!ゴブリンは!」
「あ~、それって人種さっべつ~!」
ルチルガさんの言葉に即座に反論するマーブル。
「いや、だって。ゴブリンなんて魔物の一種でしょ?」
「そんな風に言われてたのは、もう昔よ。今や、ゴブリンだけじゃなくて、ありとあらゆる獣人や魔族が、エルフやドワーフと同じように1つの種族として認められてるんだから」
「マーブルさんは好奇心旺盛なんですね」と、以外と冷静なアヴィール。
「アラ~、アヴィールちゃん、わかる~♪よかったら1人紹介してあげましょうか?ゴブリン一族」
「いえ、遠慮しておきます」
「好奇心旺盛というかなんというか。男ならなんでもいいのかよ…」と、ルチルガさんはウィスキーをまたグビリ。
「地球の文献では『ゴブリンとオークは同一生物だ』なんてされてるモノもあるんだけど、実際には全然違うのよ。特にアレの形がね…」
「ブッブ~!それ以上はいけません。マーブルさん。レッドカードです!」と、両手の指でバッテン印を作るアヴィール。
「なんでよ~!せっかく女同士で集まってるんだし、赤裸々に語りましょうよ。赤裸々に」
「ダメで~す。周りに他のお客さんもいるし、何より、あんまり卑猥な表現をしてると規約違反になっちゃいますからね♪」
「何よ規約違反って?」
「いえ、それは外部世界のお話なので、いいんです。気にしないでください」
「ま、いいわ。とにかくゴブリンもオークもすっごいんだって。一度ヤッったら、ヤミツキになっちゃうんだから」
「だから、その話題はダメですって。話題を変えましょう。話題を」
「ンモ~!アヴィールちゃんは純真なんだから。ま、そんなところが、かわいくもあるんだけどね。どう?今晩、アタシと一緒に。アタシ、性差別もしないタイプよ」
「コッラ~!アヴィールをそんなモンに誘うな!この子は、保育園の子供たちの天使なのよ!天使!」と怒り出すルチルガさん。
こんな風にして、女子3人の夜は更けていくのでした。
ちょうど夜明けの時間になりましたので、次のお話は、また明日の夜といたしましょう。




