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異世界千夜一夜  作者: 大西平洋(ヘイヨー)
~いろいろな小話~
77/1003

~第76夜~「異世界女子会(その2)」

 異世界の街の居酒屋にて、女子会が開かれています。


 「女子会」をご存じない方のために説明しよう!

 女子会とは、女性(必ずしも若い女性だけとは限らない。自分で自分のコトを「女子」だと信じている者は、誰でも参加可能!)だけで集まって、お酒を飲んだり料理に舌鼓(したつづみ)を打ったりしながら、男ども抜きで会話で盛り上がる行為であ~る!


 今回の参加メンバーは3人。

 1人はルチルガさん。もう1人は、保育園の園長をやっているアヴィール。そして、3人目は、文化人類学者のマーブル=フェール。

 ルチルガさんは、何度か登場しているので、ご存じかと思いますが。地球からやって来た冒険者。現在は魔法戦士として、バッタバッタと魔物を倒しては日銭を稼ぐ日々。なにしろ、ひょんなことから養わなければならなくなった子供たちが15人以上もいるのです。

 アヴィールは、ルチルガさんが子育てをしなければならなくなって、急遽建てられた保育園の園長さん。

 マーブル=フェールは、第16夜にもちょこっとだけ登場したのですが、「この世界は一度滅びて、新しい文明が築かれた」という学説を唱えている学者さんです。


「だ~から!結婚なんて、人生の墓場なんだって。私の友達、みんな後悔してるもん。『ああ~あ、なんでこんな人と結婚なんてしちゃったんだろう』って。それって、既婚女性の常套句(じょうとうく)なのよ。『こんな人』とか関係ないのッ!誰と結婚しても後悔してるに決まってるんだから」

 お酒の入ったルチルガさんが、くだを巻いています。

 周りには、ワインやらウィスキーやらの空の瓶が転がっています。ルチルガさんは両親の遺伝により異様にお酒に強いので、これでもほろ酔い加減といったところ。


「でも~、それって『嫉妬』ってヤツじゃないですか?自分が結婚できないものだから、人の結婚生活の悪い部分だけ取り出して、『ホ~ラ、ご覧なさい。結婚なんてこんなに不幸なんですよ~』って無理矢理アピールしてるだけなんじゃ?」

 これは、保育士のアヴィールのセリフ。

「そんなコトないわよ!墓場よ!墓場!夜は墓場で運動会よ!」と、ルチルガさんが即座に反論します。

「ま、結婚するかどうかは置いておいても男は必要よね。肌につやを保つにも、常に男の存在は欠かせないわ」と、マーブルが口を挟みます。

「はぁ~?男?マーブル、あんた男いるの?」

「いるわよ。両手の指じゃ足りないくらいね」

「またまた~!大げさに言っちゃって~」と言いながら、ルチルガさんはコップのウィスキーをグビリ。

「大げさでもなんでもないわよ。最近だと、ゴブリンの彼氏がよかったかな~」

 ブ~ッと、口に含んだウィスキーを壮大に吹き出すルチルガさん。

「ゴ、ゴ、ゴ、ゴブリ~ン!?」

「もう、きったいないわね。ゴブリンだろうがオークだろうが楽しまなきゃ♪せっかく、わざわざ異世界まで実地調査にやって来てるんだから」

「はい、これで拭いてください」と、ルチルガさんにおしぼりを手渡すアヴィール。こういうとこ、保育士さんらしいですよね。


「それにしたってゴブリンはないでしょ!ゴブリンは!」

「あ~、それって人種さっべつ~!」

 ルチルガさんの言葉に即座に反論するマーブル。

「いや、だって。ゴブリンなんて魔物の一種でしょ?」

「そんな風に言われてたのは、もう昔よ。今や、ゴブリンだけじゃなくて、ありとあらゆる獣人や魔族が、エルフやドワーフと同じように1つの種族として認められてるんだから」

「マーブルさんは好奇心旺盛なんですね」と、以外と冷静なアヴィール。

「アラ~、アヴィールちゃん、わかる~♪よかったら1人紹介してあげましょうか?ゴブリン一族」

「いえ、遠慮しておきます」

「好奇心旺盛というかなんというか。男ならなんでもいいのかよ…」と、ルチルガさんはウィスキーをまたグビリ。


「地球の文献では『ゴブリンとオークは同一生物だ』なんてされてるモノもあるんだけど、実際には全然違うのよ。特にアレの形がね…」

「ブッブ~!それ以上はいけません。マーブルさん。レッドカードです!」と、両手の指でバッテン印を作るアヴィール。

「なんでよ~!せっかく女同士で集まってるんだし、赤裸々に語りましょうよ。赤裸々に」

「ダメで~す。周りに他のお客さんもいるし、何より、あんまり卑猥な表現をしてると規約違反になっちゃいますからね♪」

「何よ規約違反って?」

「いえ、それは外部世界のお話なので、いいんです。気にしないでください」

「ま、いいわ。とにかくゴブリンもオークもすっごいんだって。一度ヤッったら、ヤミツキになっちゃうんだから」

「だから、その話題はダメですって。話題を変えましょう。話題を」

「ンモ~!アヴィールちゃんは純真なんだから。ま、そんなところが、かわいくもあるんだけどね。どう?今晩、アタシと一緒に。アタシ、性差別もしないタイプよ」

「コッラ~!アヴィールをそんなモンに誘うな!この子は、保育園の子供たちの天使なのよ!天使!」と怒り出すルチルガさん。

 こんな風にして、女子3人の夜は更けていくのでした。


 ちょうど夜明けの時間になりましたので、次のお話は、また明日の夜といたしましょう。

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