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異世界千夜一夜  作者: 大西平洋(ヘイヨー)
~いろいろな小話~
75/1003

~第74夜~「異世界探偵ホリゾンテ」

「異世界探偵ホリゾンテ」


 さて、ドワーフのポックリと一緒に異世界へと向かった安藤帆理尊手(ホリゾンテ)くん。母親のアンアンと、おじいちゃんの総一郎を探しますが、手がかり1つ見つかりません。

 仕方なく、ポックリが始めるという「異世界探偵」を手伝うことにしました。何はともあれ、先立つものがなければ生きてはいけませんからね。


 「異世界探偵」なんていっても、結局は探偵の一種ですから、そんなにたいした仕事をするわけではありません。「いなくなったペットの小型ドラゴンの捜索」とか「地球へと逃げていった浮気相手を探し出して慰謝料をせしめるとか」そんなものです。

 映画やアニメじゃないんですから、地味な仕事なんです。

 時には魔物と戦ったり、誘拐犯と鉢合わせして戦闘に突入したりと危険な任務にあたることもありましたが、基本的にはノンビリしたものです。


 その代わり実入りは結構よく、ホリゾンテくんは、異世界でひとり暮らしをしているにもかかわらず、特にお金に不自由することもありませんでした。

 探偵局長のポックリも、今は他人に商売をまかせているとはいえ自分のお店を持っており、探偵業以外にも収入があるので悠長なものです。収支には厳しいタイプですが、それでもお金に困るというコトはありませんでした。


 そんな、ある日のコト。「ポックリ探偵社」に新しい依頼者がやって来ます。

「すみませ~ん!依頼したい件があるんですけど」

 見ると、お客さんは真っ白なワンピースを着た美しい女性。ホリゾンテくんよりかはかなりの年上そう。年齢は30歳そこそこといったところでしょうか?

 ちなみに、地球からやって来たエルフと人間のハーフである安藤ホリゾンテくんは、15年前に母親が家を出て行って行方不明。現在16歳。昔は16歳といえば、みんな高校に通っていたものですが、最近ではあまり学歴が重要視されなくなったこともあり、このくらいの年齢で働いている子も多いのです。

 ましてや、ここは異世界ですからね。地球の常識とはまた違った考え方や風土がまかり通っているのです。


「探していただきたい人がいるのですが…」と、ワンピースの女性は言います。

「はいはい、人探しですね」と、受付兼探偵のホリゾンテくんが答えます。

「探してもらいたいのは、この子で」と、見せられたのは1枚の絵画でした。ちょっと大きめのノートパソコンのディスプレイ程度の額縁に、1人の女性と1人の女の子が描かれています。

 女性の方は、目の前に立っている女の人と同一人物のようです。絵の中の女性の方が少し若く見えますが。女の子の年齢は10歳前後でしょうか?

「私は、セアラ・ヴァレット。この子の名は、ラ・スースー。私の娘です。6年も前に家を出て行ったきり、帰ってこないのです」

「家出というわけですね?」と、ホリゾンテくんは尋ねます。

「いえ、そういうわけではないのですが」

「では、どういった?」

「この子が自分の意思で出て行って、私もそれを許したんです。でも、今になって後悔の念が押し寄せてきてしまって。ほんとは追いかけるべきではないのかも知れませんが…」

「なるほど。けれども、6年も経っているとなると、お嬢さんもかなり成長しているでしょうね」

「ええ、そうなんです。でも、女の子って成長しても、子供の頃のままの顔かたちをしてることが多いでしょう?」

「どうでしょうね~?でも、名前を変えていなければ、それが大きなヒントになるでしょう。どこへ向かったかはわかりませんか?」

「さぁ…特に目的は決めていなかったような。家を出た日には、西に向かって歩いて行きましたけど」

「フム。手がかりは、この絵だけですか?」

「ほんとは写真の1枚でも取っておけばよかったのでしょうけど。私、そういう習慣がなくて。地球からデジタルカメラ?とかいうものは入ってきていたのですけど、使ったコトなくて」

「わかりました。他に手がかりになるようなコトがあれば、詳しくお聞かせください」

 …といった感じで、ホリゾンテくんも慣れたものです。


 セアラが探しているのは「死にたがりのラ・スースー」という少女。

 家を出て行ったのは15歳の時ですが、それから6年も経っているので、今は21歳ということになります。ただし、手がかりとなる絵が描かれた時、ラ・スースーはまだ11歳でした。

 ラ・スースーは「光と闇の魔術」を覚えていて、あのまま修行を続けていたなら、今はかなりのレベルにまで到達しているのではないか。もし、そうならば、どこかの宮廷にでも雇われて活躍している可能性もある…というコトでした。


「わかりました。この件は、お預かりしておきますね」

 そういって、今日のところは依頼主のセアラには引き取ってもらうことにしました。

「どんなに時間がかかっても構わないんです。報酬もできる限りの額はお支払いします。なので、どうかあの子を…ラ・スースーを見つけてやってください」

 そう言って、セアラは帰って行きました。


 ポツンと探偵事務所にひとりきりになってから、ホリゾンテくんはフ~と長く息をつきました。

「やれやれ、また見つけられもしない案件を抱え込んでしまった」

 パソコンの中には、先ほど依頼されたばかりの案件の情報が書き込まれています。隣には、似たような「人探し」の依頼のデータが。その隣にも、その隣にも、その隣にも。カーソルを移動させると上下にザ~~~ッと同じような「行方不明」「人探し」のデータが数え切れないほど並んでいるのでした。


 さて、この続きは、また明日の晩に。

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