表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界千夜一夜  作者: 大西平洋(ヘイヨー)
~いろいろな小話~
68/1003

~第67夜~「天才魔術師スズキイチロー青年の生活(その2)」「トイレスライム禁止令」「トマレット・ロックモンコウの野望」

 さて、常人とは全く違う生活サイクルで暮らし始めたスズキイチロー青年。

 フツーの人にように「何時に寝て、何時に起きる」なんて決めてはいません。「好きな時間まで起きておいて、眠くなったら眠る」という生活。

 乗りに乗ってる時には、ハイテンションで何時間でも起きて研究でも勉強でもしてればいいし。眠くなれば、コテンと気絶したように眠ればいいだけ。

 目が覚めて、テンションが上がっていれば、昨夜の続きをやればいいし、そうでなければ気晴らしでもして過ごせばいい。

 ね?実に効率の良い生き方でしょ?


 もちろん、この生き方にも欠点はあります。たとえば、「まともに人と会えない」とか。

 けど、スズキイチロー青年の場合は、その心配は要りません。なぜなら、最初から人と会うような用事は入れていないから。会うのはインターネット上の仮想空間だけ。それも、特に約束の時間を決めているわけではなく、気まぐれでフラリと姿を現すだけ。実に研究者らしい生き方というわけです。

 こうして、魔法を始めとして、世界中のありとあらゆる分野について学習と研究を続けたスズキイチロー青年は、さらに自らの能力に磨きをかけるのでした。


         *


「トイレスライム禁止令」


 水洗トイレの発達していない異世界の国では、「トイレスライム」という方式が流行していました。

 そこら辺の草原で「スライムの赤ちゃん」を捕まえてきては、汚物をためるタンクに放り込んでおいておくのです。すると、スライムが汚物を食べてきれいにしてくれるという仕組み。

 もっと大きな都市になると、下水処理場でスライムを飼っていて、スライムに下水を処理させていました。


 ところが、このシステム、途中で頓挫(とんざ)してしまいます。

 なぜかというと、汚物を食べて成長したスライムが巨大化・凶暴化して、人間を襲い始めたからです。あちこちで、お尻をかじられる事件が頻発し、酷いところになると、街1つが壊滅してしまいました。

 よって「トイレスライム禁止令」が発令され、結局は「地球から輸入した水洗トイレ」が導入されるようになっていったということにございます。


         *


「トマレット・ロックモンコウの野望」


 トマレット・ロックモンコウという人物を覚えておいででしょうか?(第21~22夜に登場)

 魔法総合学校(マジック・アカデミー)時代に天才魔術師と呼ばれたスズキイチロー青年に嫉妬し、その後、姿を消してしまった男にございます。


 アカデミー卒業後、1度は国家所属の魔法軍で研究者として働き始めたトマレットでしたが、「ここままではスズキイチローに勝てはしない!」と悟り、職場を去り、2度と戻りませんでした。


 トマレットが再び世間に姿を現したのは、それから十数年の(のち)のこと。その間、彼が何をやっていたかって?

 ひたすらに、ただひたすらに、魔術の研究に没頭していたのです。それも、闇の魔術に…

 トマレットは「決して手を出してはならぬ」と言われた禁呪(きんじゅ)の数々を紐解(ひもと)き、異世界への扉を開いては、凶悪な悪魔や魔物たちと契約を交わします。

 そうして、自らを「魔王」と名乗り、人間界に新しい国を作ったのでした。


 げに恐ろしきは人間にございます。

 「恨み」や「嫉妬」のエネルギーは、常軌を(いっ)しており、人を人ならざる者へと成長させてしまったのです。

 トマレットが手に入れた能力の1つに「ソロモンの指輪」がありました。かつて、地球の歴史上のどこかで失われてしまった「72の悪魔を使役する」指輪。

 指輪の契約した者は、「死後、その魂に決して安息の日々は訪れない」とされていましたが、そんなモノはトマレットには関係ありません。天才を超えるためならば、いかなる契約もこなす気でいました。生きている間に願いがかなうなら、死んだあとのコトなどどうでもよかったのです。


 魔王として覚醒したトマレットが目をつけたのは「ルビアルス」という名の小国でした。最初はたいした力を持っていなかった弱小国も「72の悪魔を使役するソロモンの指輪」を始めとする数々の能力で、瞬く間に強力な軍事国家へと成長します。

 そうして、周辺の国々を取り込みながら巨大化した国は「ルビアルス連邦」と名乗るようになりました。


 この時代、地球ではすでに「軍事力で国を大きくしていく」というやり方は時代遅れになりつつありました。なぜなら、世界はつながっており、仮に武力で隣の国に攻め入ったとしても、他の国々が協力して経済的に追い詰めてくるからです。

 「軍事力による戦争」は終わりを告げ、「経済戦争」さらには「情報戦争」や「サイバー戦争」の時代へと突入しつつあります。


 ところが、異世界の方はそうではありません。

 地球に比べると、魔法以外の文明は遅れに遅れており、いまだに武力で他国を制圧するというやり方がまかり通っているのでした。

 街には暴力を(かさ)に着せて好き放題やっている(やから)も多く、世界を見渡せば、悪魔や魔王といった存在もあちこちに点在しています。

 こんな世界でしたから、トマレットのような野望の持ち主が、ある日突然、周辺地域を支配するというコトが起こるのでした。


 おっと。そろそろ今夜も時間となったようです。

 それでは、この続きはまた明日の晩に…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ