~第65夜~「6つの世界」「魔法による宇宙デブリ回収業者」「異世界オリンピック」
「6つの世界」
むかしむかし、ある世界で、「鳥」と「獣」と「虫」と「トカゲ」と「魚」と「植物」の戦いがありました。
鳥の王は「不死鳥」となり、獣の王は「ベヒーモス」に。虫の王は「ベルゼブブ」で、トカゲの王は「ドラゴン」に。魚の王は「リヴァイアサン」となって、植物の王は「ユグドラシル(世界樹)」に変化しました。
6つの種族の戦いは、それはそれは大変なもので、世界を巻き込んだ大戦争となります。
結果、世界はブッ壊れてしまい、6つの破片に別れ、宇宙のあちこちへとバラバラに飛んでいってしまいました。
その様子を天界から眺めていた神様は「自分の創った世界を破壊してしまうなんて、なんと愚かな…」と1度は悲しみましたが、「これはこれでおもしろいか!」と開き直り、6つの世界それぞれに目をかけてやり、育成します。
最初は一生懸命に手を入れていた神様でしたが、しだいに世界を育てる作業にも飽きてしまい、6つの世界を放置したまま、どこへやら消えてしまいました。
何千万年。何億年の時が過ぎたでしょうか?
急に昔のコトを思い出した神様は、6つの世界をそれぞれ地球のある地域へとつなげてしまいます。
地球と異世界の間に道を作ったように、地球と6つの世界との間にも道を作ってしまったのです。
「鳥の世界」はイタリアと。「獣の世界」はアメリカと。「虫の世界」はアフリカと。「トカゲの世界」は中国と。「魚の世界」シンガポールと。「植物の世界」は、オーストラリアとの間に道が開かれます。
最初に開かれた異世界との間の道は、日本との間に存在していました。
こうして、地球はさらなる混沌の時代を迎えることとなります。
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「魔法による宇宙デブリ回収業者」
さて、地球と異世界がつながり合ってから発展した分野に「宇宙開拓」があります。
それまで地球の軌道上を漂っていた宇宙デブリを魔法によって処理できるようになったのです。
「宇宙デブリ」というのは、人間が生み出した宇宙のゴミのこと。
たとえば、人工衛星やロケットの残骸など、軌道上を無数のゴミが漂っていて、非常に危険な状態となっていました。
わずか数センチや数ミリの金属の破片でも、毎秒10kmというハイスピードで飛び交っているため、バカにはできないのです。こんな小さな破片1つが衝突しただけで、大事故になりかねません。
これまでの人類の技術では、宇宙デブリを回収するコトは非常に難易度が高かったのですが…
魔法の登場により、この問題が一気に解決します!
初期の頃は、宇宙船に直接魔法使いが乗り込み、「重力魔法」を使ってデブリを回収していました。
さらに「家法具」の登場により、魔法使いが宇宙まで出向く必要すらなくなります。
重力魔法を装備した「重力掃除機」を使って、宇宙飛行士であれば、誰でも簡単にデブリを回収できるようになったからです。
最初は、集めたゴミをわざと地上へと落下させ摩擦熱で燃え尽きさせたり、太陽に向かって発射して処理していましたが…
やがて、宇宙デブリも「貴重な資源」として認識されるようになり、再生して新たな金属として再利用するようになっていきます。
それも、わざわざ地球まで持って降りるのはエネルギーの無駄なので、宇宙空間で直接再加工する技術が開発されました。
そのために月面に基地や工場を建設するようになっていくのですが…
それは、また次の時代のお話となります。
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「異世界オリンピック」
地球と異世界の交流が始まり、しばらくの時が経つと、異世界住民たちもオリンピックに出場したがるようになってきました。
ところが、ここで問題が発生します。エルフやドワーフなど、異世界住民たちは、総じて地球人類に比べて身体能力が高いのです。
弓矢を射らせればエルフの右に出る者はいません。よって、アーチェリー部門では軒並みエルフが上位を独占してしまう事態に。
力の強いドワーフは、ハンマー投げで簡単に世界記録を更新してしまいます。
レスリングだろうが、マラソンだろうが、水泳だろうが、みな同じ。人間では勝負になりません。
困ったオリンピック委員会の人たちは、「地球人のオリンピック」とは別に「異種混合オリンピック」を新たに作ってしまします。
もちろん、ここでも異世界人は圧倒的に有利だったのですが、これが思いのほか大人気になります。テレビの資料率は過去最高記録を叩き出し、異世界人たちをモデルにしたキャラクターグッズもバカ売れ!
やがて、エルフやドワーフと交配し、ハーフの子供を産んでスポーツ大会に参加させる者たちも現れ始めます。
日本でもありましたよね?国籍は日本のまま、遺伝子的には外国の血を引いている選手たちを参加させるって。もちろん、身体的には圧倒的に有利です!
どの時代、どの世界でも、こういうところは同じですね。
さて、そろそろ今夜もお時間となったようです。
それでは、次のお話は、また明日の夜に♪




