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異世界千夜一夜  作者: 大西平洋(ヘイヨー)
~いろいろな小話~
62/1003

~第61夜~「夜回りじいさん(その2)」「モンスター将棋」「ルチルガさんと保育園」

 さて、あんまりにも腹が立ったものだから、ついついおじいさんを殴ってしまった若者。大いに反省します。

 そうして、罪滅ぼし代わりに、おじいさんに弟子入りすることにしました。


「なになに、ワシに弟子入りしたいじゃと?それはやめといた方がええんじゃないか」と、口では断るおじいさんですが、内心ホクホク顔です。

「そこをなんとか!オレも、じいさんになにかしてやりたくて。いや、じいさんじゃなく師匠!師匠、お願いします!」

 そう言われて悪い気はしません。おじいさんは、熱心に頼み込む若者に剣術の指南をしてやることにしました。

 すると、最初はへっぴり腰だった若者も、おじいさんの指導のもと、メキメキと剣の腕が上がっていきます。元々、いい資質を持ち合わせていたんですね。


 やがて、若者も欲が出てきます。いい意味での欲です。「広い世界に出て、自分の実力を試したい!」と思うようになったのです。

 そこで、おじいさんに頭を下げ、武者修行の旅に出させてもらうことに決めました。

「師匠。これまで長い間、お世話になりました。オレも…いや、拙者も己の力を試してみとうなりました。どうか、お許しを」

 おじいさんは、ウ~ンの腕組みをしながらうなってから、こう答えました。

「そうか。ワシも若い頃は、ムチャをやったもんじゃ。誰しも一度は自分の腕試しをしとうなってしまうのもわかるわい。けどな、これだけは忘れるな『己を慢心した時、人は既に敗れておる』」

「『己を慢心した時、人は既に敗れておる』ですね」と、若者は復唱します。

「そうじゃ。ゆめゆめ忘れる出ないぞ!」

「ハッ!肝に銘じておきます!」

 そう答えると、若者はサッサと武者修行の旅へと出かけてしまいました。


 のちに、この若者が世界を救う英雄豪傑になったとか、ならないとか。


         *


「モンスター将棋」


 ある時、ある世界で、魔王軍に属する将軍ふたりが「モンスター将棋」に熱中していました。


「ウ~ン…これがこう来て、こっちがああだから…」

「ウワハッハ!そのドラゴンは、既に詰んでおるわ!もうあきらめろ!」

「なにクソ!ドラゴンは切って、スライムをもらう!」

「ほうほう、それでそれで??」

「それで、ケンタウロスを打てば、王手バハムート取り!どうじゃ!両取りじゃ!」

「ムムム…まさか、そのような手が。いや、ちょっと考えさせてくれ」

「いいぞいいぞ。いくらでも考えるがいい。異世界のことわざにこういうのがあるがな。『ヘタな考え、休むに似たり』ってな。アッハッハ!」

「グ~」

 負けてる将軍は、頭が真っ赤にゆであがって、まるでタコみたいです。今にも頭のテッペンから火山が爆発しそう。


 この「モンスター将棋」という遊び。最近、魔王軍で大流行!人間界への進撃などそっちのけで、将軍から雑兵まで、みんながみんな熱中しているのです。「ゴブリン」「ワイバーン」「ハーピー」などの駒を動かし、相手の王様キングを取れば勝利!

 壁には番付けが貼られ、級位・段位まで発表されている始末。このゲーム、奥が深いのは「新しい駒」を作ることができるところ。次々と新ルールが導入されていくので、飽きることがありません。


 そこに魔王様がやって来て、大激怒!

「おまえら、なにやってるんだ!」

「いやいや、魔王様。これが大変おもしろいゲームでして」「どうですかな?1つ、魔王様もプレイしていかれては?」

 最初は渋っていた魔王様ですが、すぐにモンスター将棋にハマってしまいます。「ミイラ取りがミイラになる」とはこのコトですね。

 結局、魔王様以下全員がモンスター将棋に熱中してしまい、戦争どころではなくなってしまいました。


 ところが、お話はここで終わりません。

 ある頭の切れる魔物がモンスター将棋を商品化し、人間界に売りだしたもこだから、さあ大変!

 これが、空前の大ヒット!人間たちもハマってしまい、平和な世の中になりましたとさ。

 ちゃん♪ちゃん♪


         *


「ルチルガさんと保育園」


 1人の女性が、小さな子供たちを大勢連れて保育園にやって来ています。

 彼女の名前はルチール・ルガール。みんなからは「ルチルガさん」と呼ばれています。


 ズラズラと列になってルチルガさんのあとをついてくる子供たち。人数は15人くらいでしょうか?どの子も、まだ未成熟で小学校に上がる前の年齢。

「じゃあ、よろしくお願いするわね」

 ルチルガさんが、子供たちを別の女性に託しながら言いました。

「はい!アタシ、がんばりますッ!」

 そう答えたのは、アヴィール。この保育園の園長さん。保育園はできたてのホヤホヤ。ピカピカの建物です。

 ちなみに、建築を担当したのは「無手勝(むてかつ)建設」という建築会社。社長は、無手勝(むてかつ)流児(りゅうじ)という人物。地球から一旗あげようと、異世界へとやって来たのです。


「それにしても、無事に保育園が開園できてよかったですね」と、アヴィール。

「ほんと。一時はどうなるかと思ったけど。計画がトントン拍子で進んで、お金を出してくれる人も現れて」

 ルチルガさんも、ホッと安堵(あんど)のため息をつきます。

「メルキデウスさん、いい人ですよね。孤児院にも保育園にもお金を寄付してくれて」

「そうそう、そのコトなんだけどね。なんか、突然、大金が転がり込んできたらしいの。それで『不当な利益は、ワシの流儀に合わん。商売とは商人とお客のバランスが大切」とかなんとか言って、全額寄付してくれたってわけ」


 おっと。そろそろ夜が明ける時間ですね。

 それでは、この続きは、また明日の夜に♪

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