~第55夜~「世界を破壊して回る伝説の悪魔」「悪魔からのメッセージ」「フィーバーマンの求める芸術」
「世界を破壊して回る伝説の悪魔」
伝説の悪魔は、自分勝手に世界を破壊して回りながら生き続けます。気まぐれで街1つや国1つを滅ぼしたりして。
でも、それは最初だけ。しだいに何かを破壊するのにも飽きていき、全然別の方向へと興味が行くようになります。新しい興味の対象。それは「世界の創造」でした。
「何かを壊すのは簡単だ。一瞬に過ぎない。だが、何かを生み出すには時間がかかる。長い長い時間と膨大なエネルギーが。だったら、その方がおもしろいと思わないか?人ができないコトをやった方がおもしろいと」
そう言って、世界を生み出す研究を始めます。
研究の末「次元を渡る能力」を身につけると、何もない空間に新しい星を創造し、そこに人々を住まわせました。住まわせたのは、主に「別の世界で生きるコトに飽きた人間たち」です。
「どうせ生きるのに飽きたならば、別の世界で人生をやり直すのもいいだろう」というわけです。
悪魔の誘いに応じて、大勢が別世界へと移住しました。
ある者は幸せになり、ある者は以前よりも不幸になりました。でも、みんな、もとの世界へ戻りたいとは思いません。その点は共通していました。
悪魔は基本的に異世界に住んでいましたが、その異世界も1つではありません。いくつもの世界を渡り歩きながら暮らしているのです。なぜなら、とてつもなく飽きっぽかったから!
それでも、時々、思い出したように地球に戻ってくることもあります。いつ戻ってくるかはわかりません。それくらい気まぐれだったからです。
地球に戻ってくると、大抵は人間に関わって、ちょっとしたイタズラをしては、その人間の人生を変えてしまいます。あまりにも影響力があり過ぎたため、悪魔にとっての「ちょっとしたイタズラ」が、人間にとっては大きく運命を変えてしまうことになるのです。
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「悪魔からのメッセージ」
たとえば、仕事を辞めたり、結婚したり、離婚したり。つき合ってるカップルが別れるなんて日常茶飯事!だけど、悪いコトばっかりじゃない。「もっと自由になれ!」それが悪魔からのメッセージ。
悪魔がやっているのは、ある意味で神様や天使がやっているのと同じ。「退屈だから人間に影響を与える」「もっとおもしろいコトを世の中に生み出してやろう!」
けど、悪魔には明確なメッセージがある。それが「自由」
人は自由に生きていく権利がある。意義といってもいいくらい。人生の意義。
「せっかくこの世に生を受けたんだから、自由に生きていけばいいじゃないか!他人の目なんて気にせずにさ!」
そういう明確なメッセージがある。
その為に、人は結婚したり、離婚したり、就職したり、辞職したり、戦争に参加したり、戦いから逃げ出したり、国を出たり、国や会社を作ったり、人と協力したり、人から離れたり、引きこもったり、世界を旅したりする。
何をやってもいいんだ!
人よ、自由であれ!
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「フィーバーマンの求める芸術」
あるところにフィーバーマンという名の男が住んでいました。フィーバーマンは冒険者をやっています。剣を取り、危険地帯に出かけていき、魔物と対峙し、剣を振るう。そういう人生。
けれども、最大の目標はそこにはありません。フィーバーマンにとって、危険なモンスターと戦うのは、キッカケに過ぎないのです。
なんのキッカケかって?芸術の道を極めるための!
古来、人々は神を崇め、信仰し、生きてきました。そんな中にも芸術は存在します。そうやって作品を残しました。たとえば、宗教画の形で。
あるいは、神の存在を否定する者の中にも、精神を極限まで研ぎ澄まし、心を鍛え上げ、作品を生み出した者もいます。
フィーバーマンがやってきたのも、それと同じでした。死地に赴くことで、神に近づいたり、精神的に別次元を訪れるのと似たような効果を生み出そうとしたのです。
「いい。やはり、いい。命のやり取りというのは…」
そう言って、フィーバーマン創作活動に没頭します。一種の恍惚状態。あるいは、麻薬中毒者にも近かったかも。事実、脳内でドーパミン、エンドルフィン、オキシトシンといった物質を分泌していたことでしょう。
そういう意味では、作家や芸術家、スポーツ選手といった生き物は同じだと言えます。あるいは、廃人ゲーマー?
そう!まさに、電子ゲームにドハマりした者と同じ感覚にあったのです。
それゆえに…と言ってよいかも知れません。
それゆえに、フィーバーマンの作品はよく売れました。評論家の中には「あんなモノは芸術などとは言えぬ。芸術の風上にも置けぬ」などと陰口をたたくモノもありましたが、現代芸術を理解する若者たちからは激しく支持されました。
フィーバーマンは、特に絵画の世界でその才能を発揮し、アクリルガッシュや蛍光塗料を多用したサイケデリックな画風で知られています。
「あんなケバケバしいもの、目がチカチカするだけだわ!」などと毛嫌いする人がいる一方で「あのとんがった作風がいいんだよな~」とファンが多いのもまた事実。
すぐれた芸術とは、いつの世も賛否両論になりがちなものです。
フィーバーマンの命をかけた創作法。まだ、しばらくは続きそうですね。
おっと、気づいたら、もうこんな時間ですか。
すっかり日が昇っておりますね。では、次の物語は、また明日といたしましょう。




