~第48夜~「氷の女王」「異世界建設ラッシュ」
「氷の女王」
ある時、ある世界で、冒険者たちがギルドの依頼で「氷の女王」を倒しに出かけました。
冒険者たちは、道中、サクサクとモンスターを倒しながら進んでいき、氷の女王が住む「氷の城」へとたどりつきます。
氷の女王は、決戦の場を自分の城の庭である「スケートリンク」に指定します。
冒険者たちは、その条件を快諾し、戦いを挑みます。
ところが、氷の女王は想像以上に手強く、ダイヤモンドダストや吹雪などの攻撃の前に、苦戦します。戦士や剣士は氷の槍に貫かれ、身動きすら取れなくなりました。魔法使いの放つ炎の魔法も、女王の作り出した「氷の壁」に阻まれ、全く通用しません。
ついに、冒険者たちは白旗を上げて降参します。
ここで、氷の女王は意外な行動に出ます。自らの敵にとどめを刺すわけでもなく、解放したのです。それどころか、自分の城に招き入れ、お茶会に招待しました。
氷の女王は、自分にはアイスティーを。冒険者たちには温かい飲み物を提供します。
「いや~、まさか女王が、こんなにやさしい人だったとはな」
「オレたちも、悪意があったわけじゃないんですよ」
「そうそう。私たちは、ただ冒険者ギルドの依頼にこたえようとしただけで。悪いのは全部ギルドの連中なんです」
…と、冒険者たちも口々にギルドの悪口を言葉にします。
氷の女王は、ただ友達が欲しかっただけなのです。なのに、こんな辺境の地にたったひとりで暮らし続けて寂しくて寂しくてたまりませんでした。その上、冒険者ギルドの「上級クエスト」に勝手に指定されたりして、迷惑していたのです。
でも、女王は冒険者と戦うのは嫌いではありませんでした。自分の実力を試すこともできたし、何よりも退屈しのぎになったから。ただ、戦闘のあとに和解を申し出ても、みんな逃げていってしまいます。だから、これが初めての友達。
冒険者たちは、心ゆくまで氷の城に滞在し、氷の女王と楽しい時を過ごしましたとさ。
めでたしめでたし♪
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「異世界建設ラッシュ」
地球と異世界がつながって、業績の伸びた業界や企業はたくさんありますが、ここにも恩恵を受けた人物がひとり。
彼の名は「無手勝流児」
流児は建設業界で働いており、異世界で始まった建設ラッシュに乗り遅れまいと、地球をあとにして乗り込んできたのです。
流児の経営する「無手勝建設」は、地球においてはチッポケな建設会社に過ぎませんでした。わずか数人の小所帯。それが、異世界に移り住んでから、怒濤のごとく仕事の波が押し寄せ、瞬く間に100人を超える企業へと成長していきました。
幸いなコトに、異世界にも杉に似た植物(イセカイスギと命名)が自生しており、最初はイセカイスギを使って木造建築を進めておりました。
ところが、伐採が進むと、すぐに材木が足りなくなります。かといって、地球から輸入するとコストか跳ね上がり、流児も頭が痛いところでした(地球からの輸送コストはかなり高額。小物ならまだしも、木材のような大きな物資はお金がかかります)
そこで、異世界でも森の豊富な土地からトラックを使って輸送させることにしました。この頃から、異世界でも大型トラックがビュ~ンビ~ュン走るようになっていきます。
それにつれて、大きな国道や高速道路の整備も進み、これまた一儲けできる種となりました。
けれども、これもすぐに行き詰まります。いくら木が豊富な森といえども、果てしなく切り倒しては運びを繰り返していると、すぐになくなってしまうのです。
木材というのは、本来、計画的に切り出して使うもの。そのためには、20年も30年も先を見すえて、苗木から育成しなければなりません。そのような文化が進んでいなかった異世界では、建築に使える木があまり多くありませんでした。
時はさらに巡り、異世界でも鉱山の発掘が進みます。大型コンベヤや重機がガンガン開発され、発掘現場で使用されるようになりました。
これにより、鉄鉱石などの採掘が進み、鉄筋コンクリートでの建設が可能に!無手勝建築も、破竹の勢いで仕事をこなしていきます。気づけば、社員数1000人を超える大企業へと成長していたのです!
地球では割高なコンクリート製の建築が、異世界では割安になるという逆転現象が起こっていました。
こうなってくると、困ったのが木材建築。ただし、別の方法で生き残りをかけます。木材建築は、一般人が住む住居というよりかは、むしろ「金持ち向けの道楽」として発展していきました。アーティスト気質の設計士や建築デザイナーを抱え、芸術的趣向をこらした家や屋敷を立てるようになったのです。
いずれにしろ、異世界の建築技術は、都会を中心に急激に進んでいきます。裕福な国の首都では、東京の中心地にまけないくらいの高層ビルが次々と建てられていきました。
そろそろ、今夜も時間のようですね。
では、この続きはまた明日の晩に。




