~第41夜~「チューバーの危険行為」
「チューバーの危険行為」
最近、地球では「チューバー」と呼ばれる人たちが増えてきています。
チューバーというのは、インターネットを使って動画配信をして、アクセス数を稼ぐ人たち。アクセス数が増えると、それに応じてお金がもらえるのです。
チューバの中には、アクセス数増加のために手段を選ばない人たちもいます。たとえば、アダルト、迷惑行為、危険行為、詐欺、洗脳術などなど。
最初は、おっぱいが見えるかどうかギリギリのラインを狙っていたお姉さんも、しだいに過激になっていき、モザイクもかけずに下着姿になり、やがては全裸になってしまったり。
もちろん、こういうのは運営さんから警告を受け、動画を削除されたり、アカウントを停止されてしまいます。
ところが、ほんと~にギリギリのラインを突くのが上手い人たちがいるんですね~
鉄塔のてっぺんに登り、命綱もつけずに撮影してみたり(※実は命綱をつけている)
廃墟となった家屋に侵入し、幽霊探索を行ってみたり(※もちろん、行為としては違法です)
運営さんとしてもアクセス数は稼いでもらいたいので、ギリギリのラインを狙って、ちょいと足をはみ出してるくらいならば、見逃してもらえるのです。
そんな時、異世界と地球に道が通じてしまいました。
当然、人気チューバーたちは、こぞって異世界へと出かけていきます。「異世界酒場」や「異世界城下町」を紹介している内はよかったのですが、段々と過激になっていき、ついに実際に冒険者としてモンスターと戦い始める者まで現れます。
…とはいえ、「便利と危険は表裏一体」という言葉もございまして。
冒険配信チューバーの中には、当然、大きなケガを負ったり、死亡してしまう者まで現れます。ところが、その様子までネットで配信して、とんでもない数のアクセス数を稼ぎ出すというありさま。まったく、商魂たくましいというか、なんというか…
さて、そうなってくると、現地のガチの冒険者とも衝突が起こります。
「おまえら、邪魔なんだよ!割り込んでくるんじゃねえ!」
「え?何言ってんっすかぁ~?魔物の森は、みんなの共有財産でしょ?オレたちチューバーが参加しちゃダメっていうルールでもあるんッスかぁ~?」
「こっちは、仕事でやってんだよ!遊びでやってんじゃねぇ!遊びで!」
「はぁ~?オレたちだって遊びじゃないッスよ。アクセス数稼げないと、その場でおまんま食い上げなんス。し・ん・け・ん・そ・の・も・の!ッス」
ブチ切れた冒険者が、チューバーに殴りかかります。
もちろん、この様子も一部始終が生配信されていて、地球でポテチ食べたりジュース飲みながら楽しんでる視聴者にバカウケです。
これまた、過去最高のアクセス鵜を記録しました。
ところが、そうこうしてる内に段々と慣れてくるんですね~
配信してるチューバーも、自宅で楽しんでる視聴者も、現地の冒険者も。慣れてきて、刺激がなくなったり、馴れ合いになってきちゃうんです。
最初はガチでバトルしてたチューバーと冒険者も、仲良くなっちゃって、お芝居でケンカするようになったり。いわゆるひとつの「プロレス」ってヤツですね。
で、普通の配信しててもアクセス数が稼げなくなってきたもんだから、より危険な地帯に出かけていって魔物と戦ったり。
ここまで来ると、もはや本物の冒険者ですよ!だって、そのくらいレベルが高くないと戦闘で死んじゃうんだもの。
逆に、現地のベテラン冒険者がネット配信を始めたり。
こうなると、冒険者とチューバーの境目なんてものは、どんどんあいまいになっていき、最後には完全になくなってしまいました。
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地球には、人気チューバーの「ヤミ」というのがいます。
頭の髪の毛を、黒・白・灰色の3色に塗りわけていて、非常に目立つんです。
このヤミさん、ご多分にもれず異世界へとやって来て、冒険配信を始めちゃいました。こういうとこ、命知らずなんですね。でも、ギリギリのラインで自分の命だけは助かるように見極めています。一見軽そうな性格に見えて、実は頭の切れる男でした。
そのヤミさんとコラボしてるのが、異世界の元冒険者。元ドラゴンキーラこと「クロワさん」
今は、大商人メルキデウスの2番目の娘と結婚して、悠々自適な生活を送っています。
頭に「元」がついている理由はと言うと…
クロワさん、モンスターが凶悪化してきたし、年齢も年齢だし、最新の冒険技術についていけなくなったため、引退してしまったんです。
そうなると無収入。お金が全然入ってきません!毎日毎日、奥さんには怒鳴られてばかりだし、「こりゃ、なんとかせにゃいかんな…」と思ってた時に、人気チューバーの到来です。「ここぞ!」とばかりに、自分の方からコラボを持ちかけました。
「ヘッヘッヘ…ヤミさん、ヤミさん。アッシは、元ドラゴンキラーのクロワってもんなんすけどねぇ。ここいらじゃ、ちったぁ名の知れた冒険者だったんすよ。そこで、よかったら一緒にお仕事しませんかねぇ?」
「仕事ぉ?」と、ヤミさんも最初はいぶかしがりました。
ところが…
おっと、そろそろ夜が明ける時間ですね。
それでは、この続きはまた明日!




