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異世界千夜一夜  作者: 大西平洋(ヘイヨー)
~いろいろな小話~
41/1003

~第40夜~「引きこもり強制更生団(その2)」「医学の進歩」「魔法を使ったエッチなお店」

 さて、昨夜は「引きこもり強制更生団」の簡単な説明と、地球への帰還率、そして「なぜ異世界に留まり続けるのか?」といった理由について語ってまいりましたが…

 今夜も、その続きとまいりましょう。


 実は、地球に帰ってこない者たちの中には「その他」の理由もございます。

 たとえば、行方不明者ですね。これは、実際には死亡している場合も多いのですが、それ以外にも「謎の組織に」誘拐されたというパターンもございます。

 「誘拐」という言葉は少し乱暴かも知れませんね。実際には「勧誘」でしょうか?

 異世界には「地球に反感を持つ組織」というのも、いくつか存在しており、その手の組織にスカウトされるわけですね。

「お前を捨てた親に復讐したくはないか?」とかなんとか誘われて。

 で、「そうだ!そうだ!こんな過酷な環境に放り込みやがった父や母を許せるか!あいつあ血も涙もない鬼の野郎だ!絶対、復讐してやる!」なんて考えた男が組織のスカウトに乗るわけです。いや、男だけでなく女も。


 これは風のウワサですが、異世界では「地球に侵攻するための軍隊」が着々と準備を進めているのだとか。そして、メンバーの多くは「引きこもり強制更生団」によって連れてこられた元引きこもりたちだという話にございます。


 恨みつらみだとか、復讐心だとかは、最も強いエネルギーですからね。愛なんていうあやふやなモノよりも、よっぽど!

 そして、そのエネルギーは、人の潜在能力を引き出すのにうってつけなのでございます。


 もしかしたら、そろそろ復讐心の塊たちが、地球に向かって侵攻を開始す頃かも知れませんよ?


         *


「医学の進歩」


 「医学魔法」というのが存在します。

 読んで字のごとく、医学と魔法の融合した姿。


 地球と異世界がつながり、天才魔術師スズキイチローくんのおかげもあって、回復魔術も目覚ましい進歩を遂げます。

 魔法を分析し、地球の現代医学と融合させることで、様々な新医療が誕生しました。たとえば、死に至るような大量出血を瞬時に止めるとか。ウイルスを研究することで、特定のウイルスのみを除去するとか。


 応用力は無限大!

 これまで何時間をかけて行っていた手術(それも成功するとは限らない)を、魔法を使うことにより、瞬時に完了させることができるようになったのです!

 これを進歩と言わず、なんと言うのでしょう?もはや「進化」とさえ言えました。


 さて。困ったのは、既存のお医者さんたちです。

 魔法の流入により、これまでにない知識を必要とするようになります。大学進学や医師免許取得のための試験内容もガラリと変わってしまいました。


 もちろん、これまで通りの手術が、ある日突然、全くなくなったわけではありません。それでも、従来型の「知識詰め込み型教育」から「魔法を伴った実戦型教育」へと切り替わったことだけは確かです。


 このコトにより、廃業する外科や内科の人たちも現れます。

 そりゃ、そうですよね。魔法でパパ~ッと治してもらえるのに、誰が好き好んで痛い思いをしたり、長い時間をかけて治療すると思います?

 多くの人たちは、新しく開業した「医学魔法病院」へと足を運ぶようになってしまいました。


 主に残ったのは、CTやMRIを使った検査や、医学・魔法学の研究者たちです。

 検査・研究に関しては、まだまだ人の手を借りざるを得ず、人力で行っています。それも、いずれはAIの導入により、人手は少なくて済むようになるかも知れません。


 ただし、この時代の「医学魔法」は、まだまだ未完成の部分も多く、さらなる進歩を遂げるには、iPS細胞を使った再生医療と魔法の融合を待たねばなりませんでした。

 それは、もうちょっとあとの時代のお話となります。


         *


「魔法を使ったエッチなお店」


 異世界への道が通じたことで、地球の文化もいろいろと様変わりしてしまいました。

 スマホやインターネット、テレビやゲーム機といった地球の文化が異世界へと流れ込んでいったのと同じように、異世界からもおもしろい(?)文化が流入していきます。


 その内の1つが「魔法を使った風俗産業」

 いわば、エッチなサービスを受けられるお店!


 たとえば、「炎の魔法」というのがあるんですけど、出力を最低限に抑えて放つことにより、肌に適度な熱さを感じることができます。

 あるいは「氷の魔法」「風の魔法」「雷の魔法」も同等の効果が得られます。適度にひんやりしたり、針のようにチクチクしたり、体中に軽い電撃が走ることで、快感を得られるのです。


 世の中には特殊な趣味を持つ男性がいるもので。この手のサービスを好んで受けたがるのです。それも、結構な金額を払って!


 さらに、エルフやドワーフといった異世界住人を雇って、いわばコスプレのようなお店が開かれます。コスプレよりも本格的!なにしろ「本物」のエルフやドワーフですからね。

 これが日本中で大ヒットの大人気に!一気に大量の顧客を獲得することに成功します。


 マニアは、わざわざ異世界にまで足を運び、本場のプレイを楽しむようにまでなりました。

 これにより、旅行代理店も大幅に売り上げを伸ばし、ウハウハに!

 中には、ヤミツキになって、そのまま異世界に移り住んでしまった人までいるというコトです。


         *


「やれやれ。いつの世も変わらないわね。男の人って」と、シェヘラザードはあきれ顔で言った。


「いえ、男だけじゃなくて女の人もハマってたんですよ。それも、結構な数」と、僕は冷静に答える。


「そういえば、私が王様に語ってあげた物語にも、その手の話題がたくさんあったわ」


「そうでしょう?いつの世も、男も女も、エッチなお話には興味津々なんですよ。顔では『私、そんなのに興味ありませんから』なんて語っていたとしてもね」


「ま、一理あるかも」


「さて、今夜もお時間となったようです。それでは、次の物語は、また明日の夜にいたしましょう」

 そう言って、僕はその場をしめた。

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