~第34夜~「天使の役割」「革命少女」
さて、確か今夜は天使のお話をするお約束でしたね。
では、お約束通り、わたくしども天使のお話をお聞きください♪
「天使の役割」
むかしむかし、神様はひとりぼっちでした。
空を誕生させ、地上を創造し、人を生み出したあとも、天界に暮らすのは神様ひとりだけ。
あまりにも寂し過ぎたため、側にいてくれる者を生み出します。
それが、わたくしたち天使にございます。
やがて、天使の数も、1人、2人…と増えていきました。一説によると「天使は何億もいる」そうですが、さすがにそれはおおげさ過ぎます。
実際には、数はもっと少ないとお考えください。
ただし、宇宙のどこかには「別の神様」も住んでいて、その神様にも大勢の天使がついていると考えれば、3億などというわずかな数では済みますまい。
その宇宙だって、人が認識している意味での「宇宙」ではないかも知れません。
おっと。その話をすると長くなりそうですね。では、宇宙の話はまたにして、天使の話題に戻りましょう。
わたくしたち天使は、神様の身の回りのお世話をしたり、話し相手になって差し上げるのが役割にございます。
もっとも「お世話」といったところで、神様は万能ですからね。別に天使などいなくとも、生きていくことは可能です。
人間でたとえるならば「自分で料理を作ったり洗濯したりもできるけれど、お手伝いさんを雇って身の回りのコトをやってもらう」といったところでしょうか?
もちろん、神様ですから人間と同じ生命体と考えない方が良いです。ご飯を食べたり、トイレに行ったりする必要はありませんからね。
では、何をやっているのか?ここが重要にございます。
実は、我々天使は「情報を集めて回っている」のです。神様の好奇心を満たすような美味しい情報を。
人間にもいるでしょう?
なんといいましたか…確か「秘書」とか。あるいは「補佐」ですかね?メインの役割を担っている人のサポート係。それと同じようなもの。
人の数が少なかった頃は、神様ひとりでも全てをお見通しになられていた。けれども、人口が増えるに従って、監視しきれなくなってきました。
そこで、我々天使の出番!というわけ。
神様は、おもしろいモノ好きですからね。
ちょっとでも変わったコトがあると、見逃したくない性格なのです。なので、我々天使がおもしろ情報を集めて回り、報告しているというしだい。
おわかりいただけましたか?
*
「ところで、天使のあなたは、何の罪でここへやって来たの?」と、シェヘラザード。
「それを聞きたいですか?」と、僕は尋ね返す。
「話したくないならば、別に構わないけれど」
「いえ、そういうわけでは。では、時が来たらお話しするといたしましょう」
「出たわね。あなたのお得意な『時が来たなら』ってヤツ。果たして、ほんとに時は来るんでしょうかね?」
「来ますよ。きっと。とりあえず、今夜の所は別のお話をしておきましょう」
*
「革命少女」
ある時、ある世界に、1人の天使が舞い降りました。
天使の姿は、普通の人には見えません。けれども、霊感の強い人間だとか、信心深い人にはボンヤリと存在を感じるコトがあります。
それとは別に「特定の人間にのみに姿が見えるようにする」こともできます。相手は、天使が自分の意思で決められます。
この力は「神様に与えられた能力」の1つでした。
今回、天使が姿を現したのは、1人の少女の前でした。
少女の家は、たいそう貧乏で、他の子供たちが学校に通ったり、クリスマスにプレゼントをもらったりしているのに、何もしてもらえません。そんな時、少女は部屋の中でぽつねんとしているだけでした。
天使は、少女の前に姿を現して言います。
「君はひとりぼっちで寂しくないのかい?」
少女は、別段驚いた様子もなく、尋ねてきます。
「あなたは、誰?」
「僕は天使だよ。君の友達になりに来たんだ」
「フ~ン、そうなんだ。アタシは、ずっとこんなだったから。寂しいかどうかも、もうわからなくなってしまったわ」
あまりにも長い間ひとりで放っておかれた為、少女の心はマヒしてしまっていたのです。
「だったら、さ。一緒におもしろいコトをしようよ!」と、天使は誘います。
「おもしろいコトって、なぁに?」
「そうだな。たとえば、この世界に革命を起こすとか」
「『かくめえ』って、なぁに?」
「この世界を変えてみせるんだ。君みたいなひとりぼっちの子がいなくなるように。みんなが幸せになるように」
「フ~ン。そういうのもいいかもね。アタシ、やってみようかな~?」
神様は、こういうのが好きでした。
不幸のドン底に落っこちた、いたいけない少女が、一念発起して世界にケンカを売るような物語が。
それを知っていた天使は、人間界に介入して、よく同じようなコトを起こします。貧しい少年を成功者に仕立て上げたり。人の心を理解しない冷たい心の大金持ちを落ちぶれさせたり。
そうすると、神様がたいそう喜んで、ポイントアップしてくれるのです。
そろそろ、いつものお時間になったようですね。
それでは、いいところではありますが、この続きはまた明日の夜に♪




