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異世界千夜一夜  作者: 大西平洋(ヘイヨー)
~いろいろな小話~
34/1003

~第33夜~「神様、人間になってみる(その2)」「恋愛の悪魔」「願いのない女」

 あまりにも退屈過ぎた神様は、どうしたかって?

 「友達」を作ったんです。いえ、友達ではありませんね。「ライバル」です。あるいは「敵」かも?もしくは、その全部!敵であり、ライバルであり、友達である人間。


 これは上手くいきました。

 自分と似たような能力を持つ者を生み出すことで、競争が生まれたんです。もちろん、現在の神様に比べれば、まだまだ能力不足は(いな)めません。

 けれども、以前に比べてずっとずっと楽しくなったことだけは、確か!神様にも生きる張り合いができてきました。

 以前は「もう死んでしまおうかな…(あるいは、消滅してしまおうかな?)」と思ったコトもありましたが、今は、もうそうではありません。神様にも生きる希望ができたから。


 神様に似せて作られた者。

 彼らの内、ある者は「天才」と呼ばれました。別のある者は「奇人」と呼ばれます。あるいは「達人」とか「仙人」とか「世捨て人」とか「マッドサイエンティスト」とか。そして「悪魔」とか。


 そう!現代にもいますよね?

 ロイト・ルネバンドール博士や、スズキイチローくん!他にも、まだまだ隠れています。きっと、これからの物語で語られることでしょう。



 神様には願いがあります。その願いとは…

「いつか、自分が住んでいるのと同じ領域にまで到達する者が現れること」


 今はまだダメです。

 けど、100年後なら?1000年後なら?

 1万年後、10万年後、100万年後。

 もしかしたら、1億年以上かかるかも知れません。


 神様には時間があります。それもた~っぷりと!

 なので、待っていればいいんです。人間たちが自分の領域までやって来る日を。

 きっと、いつの日か、その願いはかなうことでしょう。


 それまでは、退屈しのぎに、ちょ~っと世界に凶悪ウイルスをばらまいたり、異世界同士をつなげたりして遊んでいればいいのです。


         *


「恋愛の悪魔」


 さて、神様の話が出てきたので、次は悪魔の物語といきましょうか。

 悪魔といっても、いろいろおりまして…


 イメージ通り凶悪なヤツから、人間を悪の道に誘い込んだり(だま)したりするヤツ、ちょっとイタズラ好きなヤツまで。


 今回登場するのは「恋愛の悪魔」

 以前にお話しした「ソロモンと72の悪魔」に登場した「指輪の悪魔」に数えられたこともあります(指輪の悪魔は、持ち主が代わるたびにメンツも入れ替わるため)


 ある時、ひとりの男が悪魔を呼び出しました。自分の恋を成就させようと思って。

 ところが、悪魔は「等価交換」を要求します。1つの恋が成就すると、別の恋が破綻するというのです。


「それは、自分の恋が成就して、他人の恋が破綻するという意味か?」と、男は尋ねます。

「いいや、自分の恋が成就するなら、自分の別の恋が破綻しなければならない」と、悪魔は答えます。

「じゃあ、一番最初に女とつき合うにはどうすればいいんだ?」

「それは、あなた自身でどうにかするしかない」


 困った男は、結局、誰ともつき合えずに一生を終えてしまいましたとさ。


         *


「願いのない女」


 もう1つ、悪魔のお話を。


 昔、ある世界に、ひとりの女が住んでいました。

 女は人生に絶望し、何もかもが嫌になって、働くことすらなく、ただボ~ッとして暮らし続けています。

 幸い、両親から引き継いだ遺産がありましたので、しばらくの間は仕事をせずとも済みましたが、いつまでもこの生活が続くわけでもありません。


 そんな時、1匹の悪魔が現れて言いました。

「お前の願いをかなえてやろうか?」

 女はしばらく考えてから答えました。

「そうねぇ。そんなモノがあればだけれど。あえて言うなら『願いを見つけるコト』が私の願いかしら?」

 悪魔は、元気よく答えます。

「ヨシッ!いいだろう!」


 それからというもの、悪魔は西へ東へ飛び回って、女のために尽くしました。


「オイ!世にも美しい宝石を盗んできてやったぞ」

「ダメねぇ。私、宝石には興味がないみたい」


「ほれ、イケメンの男を連れてきてやったぞ。どうだ?」

「私、別に男が欲しいわけじゃないし…」


 美しい1000本のバラの花束も、豪邸も、金塊も、何も効果がありませんでした。女は、世界中のありとあらゆるモノに興味を失っているようなのです。


「じゃあ、一体、なんだったら満足するんだ!」と、ついに悪魔は怒り出します。

「だから言ってるじゃないの。『願いを見つけるコト』が私の願いなんだって」

 それを聞いて、悪魔はウ~ンとうなり声を上げ、頭をひねって考えます。

「こりゃ、神様だって満足させられないぞ。さて、困ったな~」


 そこで、悪魔は同じように世界に興味を持てないでいる人間を連れてきました。

 今度は少しだけ効果がありました。女は、世界に絶望した者同士、グチを言い合って盛り上がったのです。


「いやねぇ。目的もないのにこの世に生まれてきちゃって」

「そうそう。神様って、なんてイジワルなのかしら」

「私たちを生み出したのが神様だとすれば、そういうコトになるわね。もっとやる気のある人をこの世に連れてくればよかったのに」

「もしくは精子と卵子?あるいは、神様じゃなくて父親と母親?もっと昔にさかのぼって、おじいちゃんとおばあちゃん。ずっとずっと昔の祖先たち。誰のせいにしろ、イジワルな人たちね」

「もしかしたら、みんな、私たちに嫌なコトを押しつけてるだけなのかも知れない。自分たちが嫌な思いをしたものだから『他の人にも同じ思いをさせてやろう!』と、私たちを産んだのかも?」

「きっと、そうだわ!そうに違いない!」

「だったら、私たちも、別の人間に同じ思いをさせてやらないと気が済まないわ!」


 こうして、2人は互いに励まし合い、次の世代の子供たちに嫌な思いをさせるため、がんばって男を作り結婚しましたとさ。


 めでたしめでたし?



 ちょうどお時間となりました。

 神、悪魔と続きましたので、次は天使のお話をしようかと思ったのですが、それはまた明日の晩といたしましょう。

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