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異世界千夜一夜  作者: 大西平洋(ヘイヨー)
~いろいろな小話~
33/1003

~第32夜~「デクロイド(その2)」「神様、人間になってみる」

 ロイト・ルネバンドール博士が生み出したデクロイドは、瞬く間に世界を席巻(せっけん)していきます。大量生産化が進み、どこの国でも簡単に手に入るようになりました。

 生物と人形のあいの子であり、扱いが非常に簡単。人間の命令は何でも聞くという特性は、あまりにも便利過ぎたのです。


 異世界だけではなく、地球でも普及が進みます。数年の間に量産体制は整い、各国が争うようにデクロイドを求めました。

 日本でも、道路工事や危険作業などに利用され、日常風景に溶け込んでいきます。


 そうなると、誰もが考えることですが「戦いに利用しよう!」とする者が現れます。

 特に地上戦において、人間の兵士の代わりにデクロイドが使用される場面が増えていきます。たとえ、銃で撃たれて破壊されたところで、心が痛みませんからね。


 …と、最初は思われていたのですが、いつの世も同じコトが繰り返されます。

 つまり、「デクロイドを戦争に使うな!かわいそうじゃないか!」と声を上げる人たちが現れ始めたのです。


 その昔、犬を訓練し、爆弾を背負わせて敵陣に突入させるという作戦が行われました。イルカでも似たような実験をした国があります。

 結果的に、これらの戦法は使われなくなります。「生き物を自爆兵に仕立て上げるなど、人道的ではない!」と反発されたとも、「命中精度に難があり、あまり実用的ではなかった」とも言われています。


 デクロイドにおいて、今、まさに同じ議論が交わされているわけです。

 命中精度においては、優秀と言わざるを得ないでしょう。人間が命じるまま、命じられた地点へと突っ込んでいくのですから。

 …となれば、問題は「人道的であるかどうか?」のみ。簡単に言えば「かわいそうか?そうでもないか?」という議論。

 さらに言い換えれば「デクロイドは生物か?否か?」という問題に集約されます。「生物であれば、かわいそうだからやめなさい」「魂のない単なる機械ならば、兵器と同じだから、特に問題なし」というわけです。


 この点については、世界各国で散々議論が成されました。専門家はもちろんのこと、インターネット上で素人が感情論に任せて、散々文句を書き散らしたりも。


 結局、結論は出ず、デクロイドはそのまま兵器として使用され続けます。無論、原発での作業や、毒ガスが発生した地域に人命救助として駆り出されたり。


 だって、その方が便利なんだもの!


 デクロイドが使用できなくなると、困る人たちが大勢いるのです。

「じゃあ、代わりに誰がやるの?その仕事?」という話に必ずなります。「生物愛護団体」のメンバーでしょうか?

 いいえ、彼らは口ばかりで行動は起こしません。「これはダメだ!」と文句を言うことはあっても、代替え案など考えちゃいないんです。


 誰もやらないなら、デクロイドがやるしかないでしょう。

 単なる機械やドローンでは、細かい作業はできません。ロボットのように使い捨てができて、人間に近い精密動作ができるモノでないと。

 いずれは、ドローンやロボットの操作性が向上し、その役割を担える時代もやって来るかも知れません。でも、今はまだそうじゃない。

 ならば、結論は決まっています。


 このあと、様々な魔法や能力を付加されたタイプのデクロイドが誕生する時代がやって来ますが、それはもう少しあとのコト。今は、先に別のお話をしておきましょう。


         *


「神様、人間になってみる」


 神様は退屈していました。

 なので、試しに人間になってみることにしました。神様は、時々、こういうコトをやるのです。

 けれども、結果はいつも同じ。だって、神様は万能過ぎるから。


 今回も同じでした。

 人間の日本人の男の子になってみましたが、退屈極まりありません。地球の、そして人類の誕生以来、何度も試してみたのと同じように何をやっても一番になってしまうのです。

 勉強も、運動も、遊びも、仕事も、何もかもが望んだ通り。「こうしてやろう!」と思ったら、必ず一番になってしまうのです。


 それって、うらやましいですか?

 なんでもかんでも自分の思い通り。どんな分野でも、気がつけば一位になってしまっている。これ以上の幸せはない?

 実際にやってみればわかりますけど、これ程つまらないコトもありません。


 そこで、神様は自分の思い通りにならないジャンルにチャレンジしてみました。

 たとえば、小説を書くこと。でも、これもすぐに一番になってしまいます。なにしろ、世界で一番多くの経験をしている存在なのですから。

 天界から常に地上を見守っていて、「何か1つでもおもしろいコトはないだろうか?」と目を皿のようにして探し続けているのです。

 だから、誰よりもおもしろいコトを知っていました。人類のあらゆる悲劇も。成功も。


 試しに絵も描いてみました。

 これも同じでした。誰よりも数多くの芸術作品に触れ、地上に存在するありとあらゆる技法を習得しているのです。勝てる者などいるはずもありません。


 音楽も、彫刻も、マンガも、映画も、全部全部同じ!

 神様以上に上手くできる人なんて、この世にひとりもいないのです。


 さて。そこで神様はどうしたでしょうか?

 この続きは、また明日の晩に。それまで、ゆっくりと考えてみてください♪

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