~第31夜~「運命の先に待つモノ」「壁と一体化する能力者」「魔性の花」「デクロイド」
「運命の先に待つモノ」
7人のパーティーは、苦難の旅の末、ついに「ふしだらエルフのエクセオール」を追い詰めます。エクセオールが逃げ込んだ先は、ある王の眠る古代墓でした。
場面は、全員が墓の最深部まで到達し、最後の決戦が行われようとしているところ。
「さあ!ようやく追い詰めたわよ!アタシと一緒に家に帰りなさい!エクセオール!」
アンアンの言葉を聞いて、あわれな逃亡者は答えます。
「クッ!さすがに、ここまでか。だが、僕はこんな所で終わるわけにはいかない!自由を…自由を手に入れるんだ!」
その言葉と共に、エクセオールは長年放置されていた王墓の仕掛けを作動させます。
その瞬間、ゴゴゴゴゴ…という地鳴りと共に、巨大な王の墓がパックリと口を開きました。
中から現れたのは、数千年の長きに渡る時を静かに眠り続けた「古代王」でした。
「誰ぞ?我が眠りを覚ますのは?」
深く静かに重い声で王は語ります。
それと同時に、王墓のある洞窟内に無数の稲妻が走りました。
まばゆい光が収まり、しんと静まった洞窟内に8人の姿はありませんでした。王の怒りを買った冒険者たちは、時空の果てへと飛ばされてしまいまったのです。
あとに残されたのは復活したばかりの古代王のみ。
王はゆっくりと歩みを進めると、数千年ぶりの世界を堪能しようと、光差す洞窟の外へと出かけていきました…
とりあえずは、ここまで。
この物語の続きは、いずれ時が来たら再び語るといたしましょう。
*
「壁と一体化する能力者」
むかしむかし、ある世界に「壁と一体化する能力者」が住んでおりました。
その男は、ありとあらゆる壁に擬態化することができ、大抵はろくでもないコトに使用していたのです。
たとえば、「銭湯の女湯の壁」と一体化して、女たちの裸をのぞき見するとか。いえ、のぞき見ではありませんね。堂々とジロジロと舐めるように眺め回しておりました。
あるいは、盗み聞きする時にも役に立ちます。スパイとしてうってつけの能力でしたが、男は働くのが嫌いだったので、どこかの諜報機関に所属してスパイ行為を行うといったことはしていませんでした。
ある時、例のごとく男が壁と一体化しておりますと、ついうたた寝をしてしまい、そのまま朝になってしまいました。男が一体化したのは、お城のお姫様が住んでいる部屋で、運悪くその日は「壁のリフォーム工事」の日でした。
目が覚めると、大きなドリルで壁に穴を空けるところで…
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「魔性の花」
ある時ある世界で、一輪の花が咲きました。乙女の心のように真っ白な花でした。
純白の花はたいそう美しく、人の心を魅了します。
ひとりの旅人が山道を歩いている途中、真っ白な花を見つけました。
旅人は最初「放っておこうかな?」と思ったのですが、あまりの美しさに花を摘んでしまいます。
花は旅人のカバンの中で、ユサユサと揺れながら、旅人の心を蝕んでゆきます。
街に到着する頃には、旅人の心はすっかり荒み切っていました。
何もかもをメチャクチャに破壊してやりたくなり、突然、通りを歩いている人間に斬りかかってしまいます。次から次へと人を斬り殺しながら、旅人はケタケタと甲高い笑い声を上げるのでありました。いえ、もはや旅人などではなく、単なる殺人鬼ですね。
殺人鬼はすぐに逮捕されましたが、カバンに入っていた花は持ち去られてしまいます。それもまた、花の持つ魔性の魅力であったのでしょう。
花は次から次へと持ち主を替えながら、人の血をすすり続けます。
最初は純白の色をしていたのに、人の血をすするたび徐々に赤みを帯びてゆきました。何人の人の命が奪われたでしょうか?
最後に真っ赤になったその花は、姿を人間の女性へと変え、街へと消えてゆきました。
それはそれは美しい、赤い着物の女性でありました。
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「デクロイド」
ロイト・ルネバンドール博士は、マッドサイエンティストであり、数々の凶悪なモンスターを生み出しました。
けれども、その一方で人々の役に立つ研究も行っており、「デクロイド」の開発はその1つであります。
デクロイド。
人間のために働いてくれる生きた人形。
古代より「ゴーレム」という人間の意のままに動く人形が作られてきた歴史がありますが、デクロイドはその進化版とでもいうべき存在。
ゴーレムと比べても、より繊細な動作が可能。農作業や土木工事などの単純作業を、人間の代わりに行わせることにより、大幅な労働軽減につながりました。
ルネバンドール博士は、役割に応じてデクロイドを「赤」「青」「緑」「茶」「紫」などに色わけしました。
たとえば、赤デクロイドであれば、体内から炎を吹き出すことができ、青デクロイドなら水を放出といったように。
最初は高価であったデクロイドも、量産化が進み、徐々に価格も下がっていきます。
そうなると、当然、土木工事ではなく戦争に利用する輩も生まれるわけで…
おっと。そろそろ時間ですね。
では、今夜はこの辺りで失礼いたします。この続きは、また明日の夜に。




