~第334夜~「退屈な星のサルサラ(その18)」
アルマ・フォリアがトラックのリビングにこもってから数時間後…
センシビリティの街へと遊びに行っていたサルサラとソルタリオが帰ってきます。
両手いっぱいに荷物を抱えているふたり。
「ほんとおもしろい街だったわね」
「ほんと!ほんと!」
「アタシなんて、こ~んなに買い物しちゃったわよ」
「僕も結構お金使っちゃいましたよ」
「またがんばって働かないとね」
ふたりがリビングの扉を開けて中に入ると、ス~ス~と寝息を立ててアルマ・フォリアが眠っています。
「突然叫び声を上げて何か作り始めたと思ったら、今度はお昼寝だなんて…ほんと忙しい人ね」
「まったくです。でも、気持ち良さそうな顔をして寝ているんで、起こす気になれませんねぇ」
「アラ、ほんと。寝顔はかわいいもんね。ところで、今度はどんなモノを作ってるのかしら。どれどれ…」
サルサラはそう言いながら、アルマ・フォリアのスケッチブックを勝手にのぞきます。
「え?これって…どう見てもアレよね?こんな服を着て、街中を歩くっていうの?」
「確かに凄い発想ですけど、こんなモノが商品になるんですかね?」と、ソルタリオも不思議な顔をしています。
*
それから、さらに数日が過ぎ…
アルマ・フォリアのデザインした服が実際に縫製されてきました。
「サルサラ君。ちょいとコイツを着てみてくれるかな?」
「え~!アタシが?なんか恥ずかしいなぁ」
「まあ、いいからいいから」
アルマ・フォリアに勧められるまま、仕方なく袖を通してみるサルサラ。すると…
「アラ?結構いいじゃないの?」
鏡に映った自分の姿を眺めながら、サルサラが笑顔をこぼします。
「ほんとだ。デザイン画の時はどうなるコトかと思ったけど、実際に着ているところを見てみると、実にいいですね!」と、ソルタリオも感心します。
「けど…これって、どう見てもウェディングドレスよね?」
サルサラの質問に天才芸術家は、自信満々に答えました。
「その通り!これは、普段着にも使えるウェディングドレスなのだッ!」
サルサラの身につけている衣装は、誰がどう見ても結婚式に着る花嫁衣装そのもの!それでいて、あちこちが上手くカットされていて、街で着て歩くにも違和感のない作りになっているのでした。
「ヨッシ!じゃあ、さっそくコイツを売り込みにいってくるか!」
そう宣言すると、アルマ・フォリアは無理矢理にサルサラを連れて、街のブティックへと出かけていきました。
*
さらに数ヶ月が経過しました。
ファッションとパッションの街センシビリティには、結婚式に行くような格好の女性が大勢行き交っています。
そう!アルマ・フォリアのデザインした洋服が爆発的ヒットを生んだのでした!
最初は純白だけだった色も、草色、空色、桃色、たんぽぽ色、炭色などなど、各種取りそろえられてブティックの店頭に並んでいます。
最初にアルマ・フォリアの服を身にまとったサルサラは、今やすっかり人気者になり、街角に立つだけで道行く人々が声をかけてくるほどになっていました。
「よ~し!サルサラ君!今日も張り切っていこう!」と、アルマ・フォリアが声をかけます。
「オッケ~!」と、元気よく返事するサルサラ。今日はテレビCMの撮影の日なのです。
ふたりが撮影現場に到着すると、すでに大勢のスタッフたちが待機してカメラの準備を始めていました。
「オッス!よろしくお願いしま~す」とあいさつしながら現場に入っていくふたり。この手の仕事は何度も受けているので、もう慣れたものです。
「アラ?あなたたち、ずいぶんと仲良しさんなのね」とちゃかしてくる撮影担当のお姉さん。
「エヘヘ~、そうですか?そんなコトよりお仕事!お仕事!」
サルサラの声を聞いて、撮影スタッフはさらにスピードを増し、キビキビと動き準備を整え終えました。
「さあ!それでは本番いきますよ!3・2・1・スタート!」
ディレクターの声に従って歌を歌ったり、ダンスをしたり、サルサラは画面狭しと跳ね回ります。
「オッケ~!いいよ、いいよ!サルサラちゃん今日も絶好調だね!」
ところが、休憩時間になるとサルサラは不平をもらし始めました。
「ウ~ン…なんか最近、アタシばっかり出すぎじゃない?それに、なんだかこの街での生活も飽きてきちゃったし、そろそろ次の街に行かない?」
「そうかな?人気があるのはいいコトだと思うけど。おかげで、僕のデザインした服もバンバン売れてるし」と、アルマ・フォリアの方は満足げ。
「そうそう、おかげでいっぱいお金も入ってきて贅沢もできてるし、もうしばらくこの生活を満喫しようよ!」と、ソルタリオも不満はなさそう。
「何言ってるの。お金を稼いできてるのはアタシとアルマ・フォリアで、アンタは使うばっかりでしょうが!」
「テヘへ」と、ソルタリオは悪びれずもせず笑います。
「まあまあ、サルサラ君。確かに君の言いたいコトもわかるけど、もう少しだけ待ってくれないか?僕としては、できればあと1年くらいはこのセンシビリティで生活したいと思ってるんだ」
アルマ・フォリアの言葉にサルサラは驚きました。
「い、いちねん!?アタシ、そんなに居る気はないわよ!そんなんだったら、今すぐこの街を出て行きます!」
さて、一体どうなるコトやら?
この続きは、また明日の夜に語るといたしましょう。




