~第304夜~「未来を予見する少年(その4)」「予言者と鬼の娘テーラ」
予言者の言葉に従って、最新の機械を導入した村人たち。
米や麦といった主食はもちろんのこと、それ以外の農産物にも力を入れていくことに。まず、最初に手をつけたのが、砂糖の生産。サトウキビの栽培を奨励し、どんどん増産していきます。
そして、次に始めたのがタバコの生産。これが予想以上にうまくいき、村に大金を落としてくれました。
儲けたお金で、村を守る防壁を建設し、武器や兵器もガンガン購入していきます。
村の守りを固めたおかげで、鬼たちの攻撃にも耐え、逆に他の村に攻め込めるほどの戦力を有することに。
さらには、教育にも力を注ぎました。
子供たちを集めて学校を作り、読み書きを教え、計算の仕方なども教えていきます。こうして、子供でも大人顔負けの仕事をするようになっていきます。
予言者は鬼の嫁に向かって言いました。
「この村は、以前私がいた頃よりもはるかに豊かになった。子供たちの世代には、もっともっと発展させ、豊かな村にしてみせるぞ」
「ええ、アナタならきっとできますわ」と、美しき女鬼は答えます。
その後、予言者は村をどんどん大きくし、近隣の村々を吸収成長しながら、やがて1つの国家を作り上げたということです。
「予言者と鬼の娘テーラ」
ある時、ある世界に、人間と鬼の間に生まれた娘がおりました。名前は“テーラ”
テーラの父親は人間でしたが、母親は鬼の姫であり、ふたりは駆け落ち同然で鬼の村を飛び出してきてしまったのです。
父親にはある特殊能力が備わっておりました。あらゆる情報から未来を予見することができ、その力を使って“予言者”となります。
*
父親の能力で村がどんどん大きくなっていく中、娘のテーラもスクスクと成長していきます。
そして、テーラが18歳になった年のコト。彼女は、両親にこう言いました。
「お父様、お母様。今日まで育てていただいて、ほんとうにありがとうございました。けれども、私も広い世界を見とうございます。どうか、旅に出ることをお許しください」
しかし、両親は娘の旅出を認めようとはせず、「お前は私達の大切なひとり娘なのだぞ!そんなことは絶対許さん!」と言って聞きません。
それでも、テーラは決して折れませんでした。
「お父様もお母様も若い頃には随分とムチャをやったと聞いております。私も、そのような冒険をやってみたいのです」
そう言われては身もふたもありません。娘の言葉を聞いて、最初は渋っていたふたりでしたが、最後には、ついに折れてしまいました。
「ああ、せめてあなたが男の子だったらよかったのに。そうしたら、経験を積ませるため、思い切り背中を押して送り出してあげられたに決まっている」と、鬼の母親は残念がります。
「仕方がない。お前のたっての願いだ。今回は聞き入れるとしよう。ただし、娘を思う親の心も理解してもらいたい。そこで、旅に出る条件として、3人のお供をつれていくように」
「お供?」
「そうだ。護衛だ。この村から、3人を選んで連れて行くがよい。それぞれ持っている能力や性格が違うから、慎重に選ぶように」
「エ~ッ!?私はひとり旅がしたかったのに~!」
「これだけは譲れんぞ。さあ、さっそく行って選んできなさい」
こうして、テーラは自分の意思とは関係なく、勝手に旅のお供を選ぶことになってしまいます。
*
「さて、どうしたものかしら?」と、村人たちを前にテーラは途方に暮れてしまいました。
そこは予言者の村だけあって、さすがに優秀なメンバーがそろっています。
「この中から、3人を選べばいいのよね?」
まず、最初に目についたのは、大柄な男です。年齢は30歳くらいでしょうか?彼は村人の中でもひときわたくましく、腕っぷしも強いことで有名でした。しかも、正義感が強く、どんな悪にも立ち向かう勇気を持っています。けれども、その勇敢な性格ゆえ、しばしば無謀とも思える行動を取ることがありました。
「この人はちょっとねぇ…」と、渋るテーラ。
次に目についたのは、小柄な少女です。年齢は14歳。彼女はまだ子供なので、あまり難しいことを考えたり、判断したりすることはできません。けれども、とてもやさしい心の持ち主で、みんなから愛されています。また、薬草の知識が豊富で、ケガをした仲間の手当ても上手です。
「ヨッシ!決めた!1人目はあなたよ!」
呼ばれて「ハ~イ!」と元気よく返事をして駆け出してくる少女。名前はミーシャ。
「あなたにお願いしたいことがあるの」と、テーラが声をかけます。
「なんですかぁ?」と、目を輝かせながらたずねてくるミーシャ。
「これから私と一緒に旅に出て欲しいんだけど…いいかな?」
すると、ミーシャの顔が急に曇りました。
「た、旅ですかぁ?アタシ、そういうのはちょっと…この村からあまり離れたこともないし…」
「それでも、私はどうしても旅に出たいのよ…」と、これまでの経緯を説明するテーラ。
「ウ、ウ~ン…どうしようかな?」と、まだ迷っている様子のミーシャ。
さて、この続きは、また明日の夜に語るといたしましょう。




