~第303夜~「未来を予見する少年(その3)」
仲介役として鬼の村を訪れた予言者。
「鬼の姫の婿になりに来た」と勘違いされてしまいます。
予言者が誘いを断ると、暴徒と化した鬼たちによって、どこかへと連れ去られてしまいました。
やって来たのは宴会場。
「せっかくここまで来たのだから!」と、酒にごちそうにと大盤振る舞い!鬼たちは、たいそうな歓迎会を開いてくれます。包丁を持った鬼は、とれたてのイノシシを目の前でさばいて、ボタン鍋にしてくれました。
そうなってくると、予言者も悪い気はしません。最初は、仲介役にやって来ただけのつもりだったのが、段々と心変わりしてきます。
そうして、夜も更けて宴たけなわになった頃。鬼の姫が姿を現します。
確かに頭に立派な角が生え、身体はうっすらと青い肌をしているのですが、見た目は人の形をしており、物凄い美人です。しかも、身に着けているのは薄手の衣装のみ。
「はじめまして、人間さん。ワタシが鬼の姫でございます。今夜は、どうぞごゆるりとしていってくださいね♪」と、あいさつをする鬼の娘
(フ~ム、なんだか想像していたのと全然違うぞ。これならば、結婚したいという男はあとを絶たないのではないだろうか?)
などと、予言者は考えるようになってきます。
おまけに、鬼の姫が横に座って、お酌をしてもらうと、世にも香しい香りがただよってきました。
「なんだか、頭がボ~ッとしてきたなぁ…」
予言者の言葉に姫が答えます。
「アラアラ、もうお酒に酔ってしまいましたか?それはいけませんね。すぐに床の用意をさせましょう」
パンパンッと姫が手を叩くと、鬼たちによってアッという間に寝室の準備が整えられ、予言者はそのままグ~スカピ~と眠り込んでしまいました。
*
チュンチュンチュンと、スズメが鳴いております。
まぶしい日の光に照らされて目覚める予言者。すると、なんと同じ布団の中に裸の姫が寝ているではありませんか!
「しまった!ハメられた!」と気づいた時には、時すでに遅し。
仕方がなく、予言者は責任を取って鬼の姫と結婚することになりました。
*
しばらくの時が経過します。
鬼の山に登ったまま帰ってこなかった予言者を、村人たちはあきらめてしまっていました。
「ああ、きっと予言者様は鬼退治に失敗して殺されてしもうたのじゃ」
「かわいそうなコトをしたもんじゃな。まだ若く、人生もこれからじゃという時に…」
「それにしても、これからワシらはどうすりゃいいんじゃ?あの方がおらなんだら、凶作も豊作もわからんじゃないか」
そんな風にウワサする村人たち。
ところが、ある日のコト。突然、予言者が戻ってまいります。
「ヤレヤレ、やっと山から下りることができたよ。まったく、酷い目にあった。あの鬼どもときたら、私の言うことなどまるで聞いてくれないんだから!」
すっかり機嫌を悪くしている予言者に、村人たちが言います。
「おお、予言者様!よくぞ、ご無事で…って、えぇ!?」
驚くのも無理はありません。横には美しき鬼の姫と、オマケにかわいらしい赤ん坊まで抱いているのですから。
「予言者様、その人…いや、その鬼は一体!?」
驚く村人たちに対して予言者は答えました。
「ああ、実は私は結婚してしまったのだ」
「鬼族の者とですか!?」
「そうなのだ。コイツは鬼の姫で…いや、コイツは別に悪くないのだが、他の鬼たちがそれはそれは横暴極まりなくてな。大事にしてくれたのは最初だけ。しだいにワガママを言うようになって、手のつけられんレベルにまで達してしまったのだ」
「ついに、我慢の限界が来て、ワタシたち3人で鬼の村を抜け出してきたってわけ」と、鬼姫が補足します。
「そ、そうですか…何はともあれ、おかえりなさいませ。どうか以前のようにワシらにどうすればええか指示してくだせぇ」
…というわけで、元いた村へと帰ってきた予言者。嫁と赤ん坊と一緒に暮らし始めます。
それからというもの、予言者一家はそれはそれは幸せに暮しました。
ところが、鬼の村からは何度も追撃者がやって来て、姫や赤ん坊を連れ去ろうとするのです。そのたびに、村人が総出で一家を守るのですが、それにも限度というものがあります。
「予言者様。このままでは、いずれ鬼どもによって村が滅ぼされてしまいます。何かいい知恵はございませぬか?」
村長の言葉もあり、予言者は頭をフル回転させて策を練ります。
ちょうどこの時代、世界は異世界との道が開通し、様々な新しい文化や発明が流入してきていました。そこに目をつけた予言者。積極的に異文化を取り入れ、村の発展に努めます。
たとえば、電気やガソリン、軽油などを使った機械や自動車を購入してきて、農作業に活用!瞬く間に村には、トラクターやコンバインが走り回るようになりました。
おかげで初期投資に結構な資金を必要としましたが、収穫量はケタ違いに上がり、村人たちの労働時間も激減!その程度の出費はすぐに取り戻すコトに成功します。
この続きは、また明日の夜に語るといたしましょう。




