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異世界千夜一夜  作者: 大西平洋(ヘイヨー)
~いろいろな小話~
30/1003

~第29夜~「見習い冒険者の修行(その2)」

「やあ!やあ!やあ!新参冒険者の諸君、やってるか~い?」と、軽いノリで現れたのは、エルフのエクセオールでした。

 このエルフ男、しばらく前に交換留学生として地球を訪問し、こちらの世界に戻ってきたあとは冒険者となって各地を旅して回っているのです。

 しかも、地球でうら若き女性をはらませた上、認知もせずに逃げ回っているという、ていたらく!

 そんなコトとはつゆ知らず、ギタたち5人は「師匠!」と呼んで教えを()うていたのでした。


「エクセオールさん!オレ、朝からもう5匹もトイレ用スライムをつかまえましたよ!」

「あたしなんて8匹!」

「7匹!」

「オレッチ、まだ3匹…」

「僕は、11匹です!」

 …と、みんな競い合うようにつかまえたスライムを見せ合っています。


「フ~ム、感心。感心。では、そろそろ次のクエストといこうかな~」

 エクセオールの言葉に、みんな一斉に歓喜の声を上げます。

「やった~!」

「早くドラゴン退治行きましょう!ドラゴン退治!」

 ちなみに「クエスト」というのは、冒険者がこなすべき任務・仕事のコトです。クエストをこなすことで、レベルが上がったり、報酬がもらえたりします。

 もちろん、レベルが上がったとしても、目に見えて数字で表示されたりはしません。ゲームじゃないんですから!


「さすがにドラゴンは、まだ早いかな~?ドラゴンにもピンからキリまでいて、上級になると言葉を喋ったり強力な魔法を使ったりもするんだけど…君らだと、一番弱いドラゴンでも瞬殺されちゃうよ~」

 アハハ、そうですよね~と、一同笑って答えます。実になごやかな雰囲気です。


         *


 やって来たのは、近所の森の中。

 道具屋に売るための薬草や毒キノコを採取するためです。

「え~!?また、こんなクエストですか!?」と、不満タラタラの新参冒険者5人。

「昔は、初心者用にゴブリン退治とかあったんだけどね。地球と道がつながってから、『人道的にどうのこうの』とうるさく言われるようになって。ゴブリン一族とも和平協定が結ばれちゃったし」

 エクセオールの言葉に、5人は渋々従います。


 その後も、似たようなクエストが続きました。「昆虫学者から言われて、ヨンホンヅノカブトをつかまえてくる」だとか「泉に住む水の精霊と仲良くなる」だとか。

 さすがにギタたち5人も、段々といぶかしがるようになってきます。


「エクセオールさんって、なんかちょっと怪しくない?」

「そうそう。『授業料だ』とか言って、僕らからもお金を取るし」

「でも、ファイヤークラーケンを追っ払ったのは実力だと思うよ」

「冒険者としての能力は本物なのかな~?」

 なんだかおかしいな~と思いつつも、この世界のことをよく知らない5人は、おとなしくエルフのエクスオールの指示に従い続けるのでした。


 そんなある日のコト…

 いつものようにお調子者のエクセオールと一緒に、なごやかな雰囲気でクエストをこなしていると、遠くから凄い勢いで誰かが駆けてくるのが目に入りました。


「ついに見つけたわよ!エクセオール!」

 エクセオールと5人の愉快な仲間たちが目を向けると、物凄い形相(ぎょうそう)で迫ってくる1人の女性が!後ろからは、ハァハァと息を切らしながら、年配の男性がついてきています。


 鬼の形相をした女性は、安藤(あんず)。通称:アンアン。

 後ろからついてきている男性は、アンアンの父親で安藤総一郎。親しい人たちからは「アンさん」などと呼ばれています。


「ヤッベ!じゃあ、授業はここで打ち切り!みんな、さようなら~!縁があったら、どこかでまた会おう!」

 そう言って、エクスオールは瞬く間にどこかへ行ってしまいました。

 アンアンと総一郎も、後を追うとしますが、エルフのスピードに追いつけるはずもありません。アッという間に姿を見失ってしまいます。


「ハァハァ…ちょっと待ってくれよ、アンズ。お父さん、さすがに年で…」

「だから言ったでしょ!ついて来なくていいって!まったくもう、足手まといなんだから~」

「いやいや、そんなコトなかったろう?お父さんが、この世界で一生懸命に魔法を覚えたから、お前も助かったんじゃないか。今まで何度命を落としかけたと思う?」


 アンズと呼ばれている女性アンアンは、あちこち肌の露出した格好をしています。お(なか)とか太ももとかモロに地肌が見えていて、体を(おお)う少ない防具では、とても危険なモンスターから身を守れそうにありません。

 人間の男性相手なら性的に魅了するという戦法も通用するでしょうが、知性のない魔物相手には全然意味がなさそうです。

 でも、仕方がありません。これが、この世界での「女戦士のスタンダードな姿」なのですから。


 対する総一郎(お父さんと呼ばれていた人物)の方は、すその長いローブを着用していて、どうにも走りづらそう。こちらも、この世界では「スタンダードな魔法使いの格好」です。おそらく、そこら辺の防具屋で購入した品なのでしょう。


「なんだ、この人たちは…?」と、目をまん丸くして驚く5人の新米冒険者たち。


 おっと、そろそろ時間となったようですね。

 それでは、この続きは、また明日の夜に…

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