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異世界千夜一夜  作者: 大西平洋(ヘイヨー)
~いろいろな小話~
29/1003

~第28夜~「火炎クラーケン」「見習い冒険者の修行」

火炎ファイヤークラーケン」


 ファイヤークラーケン。ロイト・ルネバンドール博士の傑作の1つ。博士からすれば「我が子のひとり」といったとこでしょうがね。

 それが、平和な港町を襲った怪物の正体でした。


 「火炎球(ファイヤーボール)

 火炎を体内で増幅し、球状にして口から吐き出す。ファイヤークラーケンの得意技です。

 名前はかわいらしいですけど、その威力は絶大!

 並の人間なら一瞬にして黒焦げ。しかも、中型トラックが全速力で突進するほどのスピードと勢い!たとえ、熱を持っていなかったとしても、人間風情ではひとたまりもありません。


 1階の高さが5メートルはあろうかという大きめの倉庫2階分の高さで、頭のてっぺんがはみ出して見えるくらいですから、ファイヤークラーケンの大きさがどのくらいなのかは想像していただけるかと。

 しかも、完全に直立していない状態で、それですからね。タコやイカのような長い触手も持ち合わせているので、頭のてっぺんから触手の先までを考えると、全長20~30メートルはあるのでは?


 そんな巨大モンスターが迫ってきているのです。パニックが起きないわけがありません。

 人々は将棋倒しになりながら、我先(われさき)にと逃げ惑います。


 その時でした!冒険者の一行が現れたのは!

 疾風のごとき速さで身をかわしながら巨大なクラーケンへと近づき、鋭い剣で触手を切り刻むは、エルフの若者!


「かっけえ!アレがエルフか~」と、ギタは感心します。いえ、もはや感動とさえ言えたでしょう。他の4人も同じでした。

 5人は、エルフを見るのは生まれて初めてでした。5人共、人間の国に生まれ育ったので、エルフなどという生き物は見たことがなかったのです。


 身を(おお)うような大きな盾で、飛んでくるファイヤーボールを防ぐのは歴戦の戦士!無論、防具の能力だけではありません。中型トラックの突進並の攻撃を防ぐには、戦士そのものの力量が必要となります。

 その影から、無数の氷の槍(アイスジャベリン)を放つのは老練な魔法使い!


 怪物は、たまらず自らが上がってきた海へと逃げ帰っていきます。

 残念ながら、ファイヤークラーケンを討ち倒すまでは(いた)りませんでしたが、それでも深い海へと追い返すことには成功しました。


 港町で働いていた住民たちは歓喜の声を上げます。

「いや~!よくやってくれた!」

「ありがとう!ありがとう!」

「今夜はうちの宿屋に泊まってくれ。もちろん、お代なんて要らないぞ」

「いやいや、まずはうちの酒場で祝賀会だろう。た~んと美味い料理を用意して待ってるからな!絶対来てくれよ!」

 などと、口々に冒険者を褒めたたえる町の人々。


「いいな~、オレもあんな風になりたいなぁ」と、ギタは素直な気持ちを口にします。

 その言葉を耳にして、他の4人も賛同します。

「あたしも!あたしも!」

「僕だって!」

「オレッチも役に立ちたいッス!」

「冒険者、かっけえよな。人として生まれてきたなら、やっぱ、ああいう生き様を見せないと」


 4人の言葉を聞いて、ギタは提案しました。

「弟子入りしてみるか?あの冒険者たちに」

「でも、認めてくれるかしら?」

「ダメで元々」

「当たって砕けろッス!」

「じゃあ、僕もお願いしてみる!」

 こうして、ギタ、ラライカ、レベック、ウード、サントゥールの5人は、ファイヤークラーケンを追い返した冒険者たちに弟子入りを願い出ることに決めたのです。



「見習い冒険者の修行」


「え?なんでオレたちがスライム集めしなきゃなんね~の?」と、ブツクサ言いながら、ギタは草原で赤ちゃんスライムを容器へ捕獲していきます。

「殺しちゃダメよ~」と、ラライカ。レベックも、その言葉に同意します。

「そうそう、トイレの下水処理用に使うんだからな。死んじゃったら意味ね~ぞ~」


 実は、スライムというのは結構な強敵なのですが、それは成体にまで育った時のこと。生まれたばかりの赤ちゃんスライムなら、見習い冒険者でも簡単につかまえられるので、格好の初心者用クエストに指定されているのです。


「せっかく冒険者の仲間入りができたと思ったのに~!毎日毎日、単純作業ばっかりでツマンナイよ~」と、一番の年下であるサントゥールも言っています。

「文句は言わないッス。それが一流冒険者への最短の近道ッス」

 これは力持ちのウードのセリフ。


「それにしたって、まともな金にもならね~し、こんなんだったら魚市場で働いてた時の方がよっぽどマシだったぜ」

 ギタの言葉に、ラライカも少し同情します。

「ま、確かに生活は苦しくなったな。冒険者としてまともに暮らしていけるようになるには、何年もかかるって言うし。他の仕事も並行してやらないとダメかもな~」


 そこに1人のエルフがやって来ます。

「やあやあ、がんばってますね。見習い冒険者の諸君」

 5人は、エルフの登場に、直立不動の姿勢になって答えます。

「あ!エクセオールさん!おひさしぶりです!」

 このエルフ、名はエクセルオールと言って、この前のファイヤークラーケン騒ぎの時に、先陣を切って戦いに挑んだ人物です。


 え?どこかで聞いたコトのある名前ですって?

 まあ、記憶力のいい人なら、そう思うでしょうね。


 おっと。そろそろ夜が明ける時間のようです。

 それでは、この続きはまた明日♪

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