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異世界千夜一夜  作者: 大西平洋(ヘイヨー)
~いろいろな小話~
18/1003

~第17夜~「異世界動物園」「ロイト・ルネバンドール博士の愉悦」

 ある時、ある世界で動物園が開園しました。

 この動物園、フツーの動物園と違っているのは、世界の珍しい生き物だけを集めているところです。

 たとえば、海の怪物であるクラーケン。その亜種である電気クラーケン。これは、2000ボルトの電気を発生させることができます。品種改良により、人間が人為的に生み出した生き物の1つ。


 人気なのは、やはりユニコーンでしょうね。馬の頭にドリル状の立派な1本ヅノがはえた生き物で、処女の手から与えられた食べ物しか口にしません。処女以外が近づくと、2本の後ろ足で蹴り飛ばされてしまいます。


 インターネット上では「おまいらと同じで処女厨かよwwwwwww」と、揶揄(やゆ)されていたりもします。


 そういえば、この前もまたエサやり係の女性がクビになっていました。最近、恋人ができたらしく、ユニコーンがエサを食べてくれなくなったからです。いや、おめでたい出来事ではあるんですけどね。

 こういうのはよくあって、そのたびに新しい飼育員が採用されてきます。


 地球では見かけなくなった生き物も展示されています。マンモス、サーベルタイガー、三葉虫などなど。ホオジロザメの先祖で、頭の上や背びれに鋭い歯が生えそろっているヤツなんかもいますね。

 トカゲやヘビを丸呑みにする巨大ガエルだとか。畳よりも大きなトンボが飛び回っているコーナーも。


 それもこれも、地球と異世界の間に道ができ、交流が生まれたおかげです。

 中国と日本の間に「パンダ外交」ってのがありましたが、異世界から連れてこられた珍しい生き物の代わりに物資援助・金銭援助が行われる行為は「ペガサス外交」とか「ユニコーン外交」とか呼ばれております。


 それに加えて遺伝子技術の発展のおかげもありました。

 地球で禁止されている「人間による遺伝子操作」も、異世界ならばやり放題!人間に近い遺伝子を持つゴブリンを使って、人体実験が繰り返され、短期間で目覚ましい進歩を遂げたのであります!

 もっとも、最近では「生物愛護協会」の圧力が増してきて、ゴブリンによる人体実験も全面的に禁止になるおそれが出てまいりました。

 人類の進歩には常に犠牲がつきものだというのに…

 ま、致し方ありませんね。


 「生物愛護協会」の影響といえば、「モンスター同士の対決ショー」もやりづらくなってまいりました。「ドラゴンvsワイバーン」「巨大蜘蛛(ぐも)と二股大蛇の対決」など大人気の(もよお)し物だったんですけどね~


 そもそも、「異世界においてのモンスター狩りや捕獲そのものが違法なのではないか?」などという意見も出始めていますから。もちろん、地球と異世界ではルールも違いましょうから、今すぐに禁止という事態にはならないでしょうが。

 それでも、個体数が減ってくれば、どうなるかはわかりませんよ。


 まったく、冒険者にとってはやりづらい世の中になってきたものです。異世界と地球がつながり合ったことも、よいコトばかりとは言えないようですね。


         *


「ロイト・ルネバンドール博士の愉悦」


 ロイト・ルネバンドール博士は、マッドサイエンティスト。

 元は地球の住人でしたが、異世界への道が通じたことで、嬉々(きき)として向こうの世界へと引っ越していきました。

「これぞ我が転職なり!」と叫ぶと、研究所にこもりきりで、新生物の開発に着手します。


 前回のお話にも登場した「電気(エレクトリック)クラーケン」も、ルネバンドール博士によって生み出された新生物です。クラーケンシリーズだけで、他にも「火炎(ファイヤー)クラーケン」「冷氷(アイス)クラーケン」「猛毒(ポイズン)クラーケン」などなど、いろいろな種類がおります。

 この前も、火炎クラーケンが1匹逃げ出しましたが、博士は知らん顔。おそらく世間には知られぬまま、どこぞの海域で船舶に迷惑を変えているのでしょうね。


 ルネバンドール博士は、このように抜けている部分もありましたが、研究者としては非常に優秀であり、ヒット作もいくつか生み出しております。

 たとえば、人気シリーズ「手乗りドラゴン」などがよい例でありましょう。

 異世界でも凶暴で知られるドラゴンを、子供でも飼えるようにわずか十数センチにまで小型化した功績は、誰もが認めざるを得ないはず。もちろん、小型化したとはいえ、牙や爪の鋭さは健在!炎を吹き出すタイプもおりますので、飼育の際には細心の注意が必要ですが…


 その才能から資金提供者はあとを絶たず、奇妙な生物を次から次へと生み出し続けております。

 よくも悪くも典型的なマッドサイエンティストと言えるでしょう。


 研究熱心なのはよいことですが、少しは自重していただきたいもの。せめて、取引相手は慎重に選んでもらいたいものですね。


 今回、ルネバンドール博士に新生物の依頼してきたのも、そんなよからぬ組織の住人の1人。

 もっとも、博士自身は邪聖に無頓着で、己の研究心を満たしたい一心なんですけどね。「どんな危険生物も。かわいい我が子」というわけでございます。


 さて、今宵も時間となりました。

 この続きは、また明日の夜に…

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