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異世界千夜一夜  作者: 大西平洋(ヘイヨー)
~いろいろな小話~
14/1003

~第13夜~「フリーデルケとフレア(その2)」「商人の娘」

 女の子は、名前をフリーデルケといいました。

 フリーデルケは、若い頃、たいそうモテました。なので、ろくすっぽ仕事もせずに、男どもに金を貢がせては、高い洋服を買ったり、お化粧品を買ったりして暮らしておりました。


 ところが、フリーデルケも段々と年を取り、20代を過ぎ30代を過ぎる頃には、徐々に振り向いてくれる男の人の数も減っていきます。


 40代に達した頃、結婚もせずにフラフラしていたフリーデルケは、誰からも相手にされなくなり、寂しい人生を送るようになります。


 ここに来て、ようやく気づきます。

「自分は生きる価値のない人間なのだ」と。


 そこでフリーデルケは自ら命を絶ったかって?

 とんでもない!それどころか「自分が不幸なのは世界が悪いのだ!」と責任転嫁さえしたのです。

 それでもね。何かを恨むというのは、とても大きな力なのです。


 フリーデルケは一念発起し、一生懸命に魔法の勉強をし、一端の魔女となりました。

 相変わらず性格はひん曲がったままでしたが、世間の人々もその能力の高さだけは一目置くようになります。



 ある時、世間では悪い流行(はや)(やまい)が発生します。

 けれども、フリーデルケは知らんぷり。薬を調合すると、自分だけ飲んで助かりました。 


 街の教会が火事になった時も、助け船1つ出しませんでした。

 おかげで教会は全焼し、焼け落ちてしまいました。


 そのようなコトが何度もありました。

 せっかく実力はあるのに、その能力を人々に生かそうとはしませんでした。森の中に引きこもり、ひっそりと独りで暮らし続けたのです。


 友達といえば、森に住む、リスやオオカミやキツネくらいのものでした。

 あとは、もう1人…いえ、1匹の悪魔だけでした。その悪魔は変わり者で、常に世界を飛び回っては、人々にイジワルをしたり、街や国を滅ぼしたり、かと思えば気まぐれで人助けをしたりして、自由気ままに生き続けていたのです。



 ある時、悪魔がやって来て言いました。

「なあ、フリーデルケ。この子を育ててはくれまいか」と。

 見ると、悪魔は1人の少女を連れています。年齢は6~7歳といったところでしょうか?


 フリーデルケも年を取り、すでに白髪の老婆となっていました。

「私の人生は一体なんだったんだろう?」と後悔し、「最後に1つくらい良いコトをして死ぬのも悪くないかもしれない」と思いました。

 そこで悪魔の頼みを受け、少女を引き取ることにしました。


 少女は燃えるような真っ赤な髪の毛をしています。

 名前を尋ねると「フレア」と答えました。


 真っ白な髪をしたフリーデルケと真っ赤な髪のフレアは、遠くから眺めていてもよく目立ちました。赤と白のコントラストが非常に美しかったものです。

 その光景をある画家が絵にし、やがて絵は高額で取引されるようになり、次から次へと持ち主を変えていきますが、それはまた別のお話。


 それよりも今はフレアです。

 フリーデルケに育てられたフレアは、メキメキと魔術の腕を上げ、やがて師匠よりも高名な魔女となっていきます。


 最後にフリーデルケは「お前は自由に生きるがよい」と言って息を引き取りました。

 フレアは、その言葉に従って森をあとにし、街へと出て行きました。


 街に出たフレアは、紆余曲折(うよきょくせつ)を経て、王立の魔法騎士団へと入団します。

 隣国と何度も戦争をしたあと、フレアは「魔法使い育成係」に任命されました。

 40年近くを育成係で働き、何千人という生徒たちの面倒を見ましたが、フレアに心底認められたのはわずかな者たちだけでした。



 歴史は繰り返します。

「この子は一流である」と認めた弟子が99人に達した時でした。


 年を取り「もう引退しよう…」と考えていたフレアのもとに、あの悪魔がやって来て言いました。

「なあ、フレアばあさん。この子を育ててはくれまいか」と。

 見ると、悪魔は1人の少女を連れています。

 これ以上弟子を取る気のなかったフレアですが、「これも何かの運命か」と思い、悪魔の願いを承諾します。


 フレアの100人目の弟子は、スクスクと成長し、やがて偉大な魔女となるのですが…

 それはまた別のお話。時が来たら語るといたしましょう。


         *


「商人の娘」


 異世界の物語に登場するのは、なにも勇者や魔法使いといった冒険者ばかりではありません。

 時には、何の変哲もない一般市民が突拍子もない冒険の旅へと出かけることもございます。

 今回は、そんなお話。


 むかしむかし、ある世界に商人が住んでおりました。

 商人は息子を所望していたのですが、残念ながら男の子は生まれず、生まれてきたのは女の子ばかり。それも3人も。


 3人の娘は成人して、それぞれの道を歩みます。

 1番上の姉は結婚し、父親の跡を継ぎました。けれども、時折不満をもらすこともあります。

「ああ~あ、お父さんのためを思って実家を継いだけれど、これじゃあカゴの中の鳥だわ。もっと自由な生き方がしてみたかった」


 姉のグチを聞いて、2番目の姉は冒険者と結婚します。

 結婚相手は名のある戦士で、各地でモンスターを倒して回っているのです。時には巨大なドラゴンさえも。

 ところが、夫は冒険先で浮気ばかり。

 

「ああ~あ、稼ぎのいい男を捕まえたと思ったけれど、とんだ貧乏クジね。あちこちに女を作ってはトラブルばかり。おまけに最近は、年のせいで『やれ足が痛い』だの『腰が痛い』だの言って、家でゴロゴロするばかり。ちっともモンスター狩りに行きゃしない」

 2番目の姉もグチをこぼしまくりです。


 そこで、末娘は別の道を歩むことに決めます。

 おっと、そろそろ空が白んでまいりましたね。それでは、この続きはまた明日の晩に。

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