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異世界千夜一夜  作者: 大西平洋(ヘイヨー)
~いろいろな小話~
102/1003

~第101夜~「ひとりぼっちのドラゴン」

「シェヘラザード様。ようやく100夜を越え、10分の1経過ですよ」と、天使である僕は語る。

「そうねぇ。昔、私も同じようなコトをやったけど。今になって思い返すと、ムチャをやったわねぇ。よくあんなコトができたものよ」と、シェヘラザードは答える。

「まったく。何ごとにおいてもそうですが、1000日も連続で何かを成すというのは、実に大変なコトにございます」

「『千里の道も一歩から』って言うものね」

「その考え方からすると、ようやく百里を越えたばかりですね。それでは、先は(なご)うございますが、今夜も物語を語っていくことにいたしましょう」

 そう言って、僕は次の物語を始めた。


         *


「ひとりぼっちのドラゴン」


 むかしむかし、ある国にひとりぼっちのドラゴンが住んでおりました。

 ドラゴンの名は、マロンケッツァー。


 マロンケッツァーは非常に優秀なドラゴンであり、才能だけでいえば、長い一族の歴史の中でも、突出したモノがありました。事実、マロンケッツァーの父親はドラゴン族の王であり、他の種族を圧倒する力を誇っていたのです。

 ところが、この時代、人間族が急激な力をつけている時期であり、急速に魔法や武器の研究が進んでいきます。

 そうして、ついにドラゴンの王を打ち倒してしまいました。


 ドラゴン族は人間族に復讐を果たそうと、一丸となって戦いを挑みます。

 そんな争いの日々に嫌気が差したマロンケッツァーは、ひとりでどこへやら飛んで行き、深い山の奥で暮らすようになってしまいます。


「お父さん。お父さんは、なぜ死んでしまったの?あんなに強かったお父さんだって、ついに人間には勝てなかった。人間たちは、次々と新しい武器や魔法を生み出してしまう。どんなに強い種族であろうとも、人間の“進化”という能力には勝てはしない…」

 そんな風に、山の奥の洞窟の中でメソメソしながら暮らす日々。


 何百年の時が過ぎたでしょうか?(ドラゴン族の寿命は非常に長く、軽く数千年以上と言われています)

 ひさしぶりに山からおりてみて、マロンケッツァーは驚きました。ドラゴンの一族は、とっくの昔に滅んでおり、世界は人間たちがわがもの顔で支配してしまっていたからです。

 ビックリしたマロンケッツァーは、ますます山の洞窟に引きこもるようになり、それ以来、ふもとにおりてくるコトはなくなりました。


 それから、また何十年かの時が流れました。

 ある時、ひとりの少年が山の洞窟を訪れます。少年もまた、ひとりぼっちでした。

 世の中の何もかもが嫌になり、山で死のうと思っていたのです。


 少年の名は、ハーティア。

 偶然にも、ふたりは出会います。人を恐れ、ひとりぼっちのマロンケッツァー。世をはかなんで死を選ぼうとしているハーティア。

 お互いに世界の流れにはついていけないふたりです。気が合わないわけがありません。出会ってすぐに意気投合すると、そのまま一緒に暮らし始めました。


 それから、また数年の時が経過しました。

 ハーティアは立派に成長し、もはや少年ではなく青年となっています。ドラゴンと人間の青年は、それはそれは仲むつまじく暮らしています。

 ところが、そんな夢のような生活にも終わりが来ます。ふたりの間に、第3者が割って入ったのです。

 やって来たのは、人間の少女でした。少女の名は、ラキス。ラキスもまた、世をはかなんで死のうと思って、この山を訪れたのです。


 ハーティアは、ラキスの姿を見ると、一瞬にして恋に落ちてしまいました。そうして、猛烈にアタックをかけます。

 ラキスの方も「死ぬくらいだったら、この人と添い遂げた方がよいかも知れない」と思い直します。

 こうして、ラキスとハーティアのふたりは、恋人となって山をおりていきました。


 おもしろくないのは、ドラゴンのマロンケッツァーです。

「なんだい!なんだい!あんなに仲良くなったのに、人間の女の子なんかに夢中になって!あっさりと僕のコトを捨ててしまったじゃないか!やっぱり、人間なんて信用できないや!」


 マロンケッツァーは気が狂ってしまい、心の中がムシャクシャして、どうしようもなくなってしまいました。

 そうして、ついに決心します。

「そうだ!人間の世界なんて、みんな滅ぼしてしまえ!僕には、その力があるはずなんだ。子供の頃から、みんな言ってたもの。『お前には才能がある。誰よりも強く、残忍になれる才能が』と」


 それからのマロンケッツァーたるや、鬼気迫るものがありました。

 最初から最後までひとりぼっちなら、まだよかったんです。それが、一度、人のぬくもりに触れてしまったものだから、余計にひとりが寂しくなってしまいました。

 恨みのパワーは、何よりも強いエネルギーとなります。心の底から無限に湧き上がってくる思いを(かて)に、マロンケッツァーは必死に自分を鍛え続けました。

 みるみる内に筋力は増し、吐き出す炎は強くなっていき、いくつもの強力な魔法を覚えていきます。


 さて。最強のドラゴンとなったマロンケッツァー。一体、どうなってしまうのでしょうか?

 この続きは、また明日の夜に…

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