第20話(“木”と“金”の勇者学園-3)
さっそく何かをしかけようとした俺だが、
「先手必勝! まずは私から!」
そう言って、“木”の勇者フィアが、俺達の方に魔法を使ってくる。
その魔法は彼女たちの前面に光の粒のようなものがいくつも突き刺さったかと思うと、そこから緑色の蔓が空高く伸びていく。
まるで「ジャックと豆の木」の童話のようだ。
その昔雲の上に魔王の城を作り、勇者共がやってこれないようにし、また、移動要塞として人間たちの国を襲い征服をしようとした魔王がいたが、植物を育てる勇者によって雲の上にまでたどり着かれてしまい……といった話だった気がする。
確かその魔王は自分の魔力であまり戦えないのでそう言った奇策に出たらしいが、失敗してしまい……やはり己の肉体と力を研鑽しなければならないといった教訓があった記憶がある。
ただこの物語の解釈は別にもあり、この魔王の発想は奇抜だが、それゆえに油断をしてしまうのはいけないといった意味もあるとかなんとか。
そういったものを思い出しながら、とりあえずは七色の炎の塊を100個ほど作成してその蔓に向かって投げる。
当たると同時に炎は周囲に飛び散って、花火のような鮮やかな光の波を作り上げる。
観客席から、おお、っといったような声が漏れる。
とりあえずは今の所よさそうだ。
などと思っているとそこでウェルフは、
「なるほど、こういった感じですか。でももう蔓は上の方まで延焼が広がって消滅させられて俺の出番はなさそうですね」
「そこは考えて対応してくれ」
「はいはいっと、こんなでどうでしょうか」
そう言ってウェルフがその穴に向かって何かを投げる。
同時に甲高いガラスが割れるような音が聞こえて、周囲に氷の花のようなものが咲き誇る。
「いや~、小学校の夏休みの宿題で編み出した魔法なんですが、kっ公受けがいいんですよね。花の形をした小さい氷をたくさん作ると、女の子に受けが良かった記憶があります。中学の時は学園祭の時に延々と作らさせられた記憶があります」
「そうなのか。だが受けはいいようだな」
そう言って観客が、氷の花だのなんだのと騒いでいる。
魔力の動きからどういった魔法なのかの解析を行った俺は、これはまた作れるなと確信した。
そのうち学校の校庭で氷の彫像祭りでもするかと決める。
だがそこで、細い金色の糸のようなものが氷を粉々に粉砕していくのを目撃する。
「随分と余裕ね。でも、私は容赦しないわ」
そう言って勇者クリアが俺たちの方に向かって魔力で強化した鋼線を使って攻撃をしようとする。
だが思いのほか今のは挑発になってしまったらしく、一部観客席の方に向かっていく。
仕方がないので簡単に防御を張り内側に跳ね返してやると、
「ひぎゃ!」
「じゃなくて観客席の方にいったらだめだろう? 攻撃が」
「こ、これ、結界も普通に通り抜けるようなもので……」
「これくらいなら十分跳ね返せるが」
そう俺が返すとクリアが悲鳴のような声をあげて、けれどすぐに、
「は、はったりです。このっ」
そして俺の目前に線が迫る。
だがこれでは地味に見えるから、
「……鋼線に炎を乗せた方が見栄えがいいか」
そう俺は考えて鋼線に軽くのせて、防御する。
予想通り鋼線に赤い炎が伝わって輝き、かなり派手な見た目になっているが、
「ににゃあああああああ」
そんな悲鳴を上げて、クリアが炎の攻撃を受けた。
線を伝って炎が彼女を襲ったらしい。
それほど強い魔法ではなかったはずなのだが……。
「まさか、彼女は防御がいように弱い?」
「ですね。まさかこんな展開になるとは……」
ウェルフが恐ろしい物でも見てしまったかのようにそう呟く。
だがそこでもう一人の声が聞こえた。
「ク、クリアの仇は私がとる!」
そう叫んで鋭い切れ味の草が地面にいくつも生える。
森の中にはこういったものが沢山あるので、藪に入る場合は防御用の結界を張りながら入り込むように俺達はしている。
だがラそういった切れ味の大きいあっぱが周囲にたくさんはやされたとしても、
「別にこんなものを周りに生やされた程度で、平気なんだよな。とりあえずは風で散らしてから、次の手を考えるか」
そう呟いて俺は周囲に風の魔法を使う。
一瞬にして葉っぱが風で切り刻まれて、周囲に散らばっていくが……その風の威力が一部では強かったらしく、
「ひぎゃあああああ」
そんな声が響く。
“木”の勇者フィアの声で、遠方に飛ばされていくのを俺は確認した。
待て、何で防御を取らないんだ?
そんなものを俺は目撃しているとそこで、審判が何かを風初めて、
「魔王アイズ、ウェルフの勝利!」
などという声が聞こえたのだった。




