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第19話(“木”と“金”の勇者学園-2)

 それから二対二で俺達は戦うことになった。

 これでウェルフには、女の子たちに囲まれながら傍観者でいるという、うらやまけしからん立場を奪ってやった優越感に浸っていた。

 だがすぐに俺は奈落の底に突き落とされるような目に合う。


 それは観客の女の子達の言葉だった。


「ねえ、あれアイズ様でしょう?」

「そうだよね、でもアイズ様だったら二人の勇者相手に一人で、『たかだか勇者が二人程度でこの俺に勝てると思っているのか?』と言って攻撃を仕掛けてくるわよね?」

「そうそう」


 といった会話だ。

 どこからどう考えても、例の本の影響である。

 よくも……よくも……。


 呪いを込めるように俺は小さく呟いてカタカタと震えた。

 そろそろ俺の、魔王としての本気を出さなければいけない時期が来たのだろうか? などと俺が考えているとそこでウェルフが、


「え~、アイズがやや正気を失いかけているので俺から~。実は合図は美形魔王図鑑に載っているような性格ではなく、普通の性格です。ああいった俺様ではないです。他の勇者学園を回っている時も“誤解”が多かったようなのですが、じつは、そうなのです。それは、これまで戦った勇者学園の皆様と、勇者王、カタリナ様が証明してくださいます。そうですよね!」


 そこでウェルフが大きな声で説明をして、カタリナたちに話を振る。

 それにカタリナたちが、


「その通りだわ」

「そうです」

「そうよ」

「そうだわ」


 といったように答えてくれた。

 助かった、そう俺が思っているとそこでサナが、


「私も初めは“俺様系”で強いのもいいかなって思っていたのですが、こういった“真面目系で大人しい”のに実は最強という“ギャップ萌え”もいいかなと思い始めたのです!」


 などと言い出した。

 よく分からないが俺がサナの脳内で、いわゆる、“萌えキャラ”のようなものに変換されているのではというような疑惑を俺は持ちはしたが、だが、今の言葉はそれはそれで許されたらしい。

 どこかでそれはそれでいいかもといったような声が聞こえた気がしたが、深くは考えないようにした。

 

 そこで俺達と対峙している“木”と“金”の二人勇者が、


「なるほど、実際の性格はちがうと。ですが……この“木”の勇者フィアは手加減はしません。俺様で傲慢系であれば容赦なく叩き潰していましたが……真面目系では良心が痛みますが、これは勝負です。全力で生かさせていただきます」


 そう言って濃い緑色の髪に赤い瞳の少女はそう答える。

 そしてもう一人の金髪に赤い瞳の少女は、


「私も、“金”の勇者であるクリアは、手加減するつもりはないですよ~。私も同じく“俺様系”だったら完膚なきまでに倒してやろうと思っていたのですが……でも、むしろ倒して、イケメンを介抱してみたいです~」


 などと言い出している。

 それらを聞いたウェルフが、


「わ~、アイズ、モテモテですね~」

「……これをモテているの範疇に入れていいのか?」

「女の子に好意を寄せられているんだからいいんじゃないですか?」

「納得がいかない」


 俺が呻くように答えるとそこでウェルフが、


「それでどうやって戦いますか?」

「そうだな、実力1/100で、出来るだけ派手な見世物になるように、か」

「“魔王クエスト”はイベントですからね。でも、彼女たちは納得してくれるのかな?」


 そこでウェルフが今の発言を聞いて不機嫌になっているような二人の勇者たちに視線を移すが、


「勝負だから仕方がない。勝ちに行くぞ」

「はい、分かりました~」


 と答えるウェルフだがそこでふたりの勇者の一人クリアがぽつりと、


「やっぱり“俺様傲慢系”じゃないですか」


 などと呟き、そこで、開始の合図がなされたのだった。

 

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