第2話(俺は挑戦することに)
“魔王クエスト”。
それが勇者側というか人間側との合同イベントの名前であるらしい。
話を聞く限り、昔は勇者が魔王を倒すために四天王などを倒していくようなことが行われていたが、それを今度は逆にしてみようという事であるらしい。
面白い試みではある。
ここずっと平和な時代が続いており、勇者や魔王というものが廃止されて、俺も含めて隠居することになったとはいえ……戦力の維持的な意味でずっと保持されてきた勇者と魔王だが、手合わせをすることはなかった。
といっても最後の勇者と魔王の戦いは“料理勝負”だと聞いているため、実質的な戦闘はその前にまでさかのぼらないといけない。
それでもどんな形であれ、自分の能力を“勝負”といった形で使うことによって、よりうまく俺は自分の能力を制御できるようになると確信している。
歴代最強とまで言われた自分の力を俺は低く見積もるつもりはない。
何故ならその自分の能力を過小評価したならば、使い方を誤ることもあるだろうし、そこに付け込まれるかもしれないからだ。
その時に起こる周りへの被害はどんなものになるかは想像がつかない俺ではない。
だから“俺”が“俺”として、そしてある程度自由に生きるためにこの力を確実に制御しなければならないのだ。
その効率の良い俺に会った方法を絶えず模索している俺。
もっとも今の所戦闘が一番効率的のような気がしてはいるが。
だからぜひこういったイベントに出て、新しい方法を確立したいと俺は思っている。
ただ一つ気になるのは、
「そのイベントに出るのは構わないのですが、出る魔王は俺一人で大丈夫なのですか?」
「ん? それはどういう意味だね?」
「その昔勇者が魔王を目指す形態を模しているならば、昔のように幾人もの勇者が魔王を目指したように、魔王が勇者王を複数人で目指した方がいいのではと思ったのです」
「ああ、その点は……仕方がない部分もある。先方……勇者側の方はできる限り多い、魔王に挑戦して欲しかったようなのだが、君と年齢の近い魔王hじゃ戦闘といったそういったイベントよりも、友人との交流や恋人とのデートに忙しくて、その平穏な生活が今は気に入っているとの事で全員断られてしまったのだよ」
「……」
俺はその話を聞いて無言になった。
俺の同期や先輩たちは、友人たちと青春の汗を流して、可愛らしい恋人やかっこいい恋人と一緒に青春を謳歌しているらしい。
自分とは違うそのリア充さに俺は、絶望した。
強すぎることが罪なのだ、と自分自身に酔ったように言わけをしてみても心の中に重い石のようなものが乗っかって、漬物石によって水分が野菜から出るように俺の心の涙はあふれ出る。
そう、同学年の者たちは、いつだって遠巻きに俺は女子たちに見られていて、男子たちも少しは話をするものの合コンなどには呼んでもらえないし、きちんと友達と読めそうな男子は一人しかいない。
とはいえ薄々あれを友達と呼んでいいのかについては悩むというか、違うのではという気がしないでもない。
そんな凍り付いてしまった俺に気づいたのだろう。校長が、
「ど、どうしたのかね?」
「いえ、俺の同期や先輩は皆が皆、社会に溶け込んでいると思っただけです」
「そ、そうか。ではそのうち会いに行ってどうすればこういった生活ができるのか、心得を聞きに行ってみるといい」
「……なるほど」
俺は言い話を知ったと思い一人頷く。
そのうち俺は愛に言ってもいいかもしれない。
後で調べようと俺は思っているとそこで校長が、
「それで話を戻すが、実は勇者側ももっと魔王に参加してほしかったようなのだが、時間が取れなかったのだよ。何せ、平和な時代になったので勇者を育てる機関の補助金が減っているそうで、何か目立つことをしなければ、との事だそうだ」
どうやら勇者側にもあちらの現実的な事情があるらしい。
だがそう言った機会でも、話に聞く“勇者”とやらと手合わせできるのには俺は興味がある。
これはぜひやりたい。
そう俺が思うと同時に、ある点に気づき俺は校長に聞いてみた。
「実は俺が出ることは確定だったのですか?」
「気づかれてしまったか……だが、その分国からの補助金が増えるから……アイズ君が何か欲しいものがあれば、言ってくれれば購入しやすくなるだろう」
「……そのうちお願いをしに来ます」
「うむ」
そう校長は頷いたのだった。




