第17話(“水”の勇者学園-2)
服が濡れるのはいいのか?
そんな疑問が俺の中にかすめるも、とりあえずは言われたとおりに着替え始める。
男女比の関係で男子更衣室がこの学校には存在しているとの事でそちらに着替えに行く。
男子更衣室に案内してくれた女性の方に、専用の海パンまで渡されて……何かこう、気恥ずかしい気持ちになりながらも俺はそこで着替える。
下着の方は一応更衣室に置いておいてもよかったが、
「間違えて置いて帰るとまずいから、一時的に自宅に転送しておこう」
というわけで転送する。
これで回収忘れはなくなったと俺は思いながら、服を再び着て外に出る。
そういえば今回はどんなイベントになるのだろうか?
確かバッジのようなものをつけて、それを攻撃して勝利を競うものだったが、その会場がこの流れるプールなのか?
だから海パンを吐くことに俺はなったのだろうかと考える。
確かに中に水着を着ていないと、女の子の方は服が透けて大変なことになってしまいかねない。
だから確かに水着を中に切るのは大事なことだろう。
そう俺は思いながら、今回の戦闘場所である流れるプールの方に向かう。
そこにはすでにレイラが準備をしていた。
来ている服はここの制服であるらしい。
毛糸で編んだベストにリボン、白い半そで、ミニスカートといった格好である。
だがそれらには大きな丸い、バラのような花弁が何枚も重ねられたしょうな花が印とつけられた……おそらくはバッジだろう、それが、スカートやリボン、半そでといったような服にいくつもついている。
その奇妙さに俺は嫌な予感を覚えた。
けれどとりあえずは流れるプールの真ん中の部分は普通の大きな四角いプールになっているので、それを間にして向かい合うように俺は移動する。
その場所にやってくると、先ほどのレイラとおpな滋養に俺の服にも次々と張られていく。
服の構造上、リボンがない分俺の方が一つバッジが少ない。
と、準備ができた頃に、そこでレイラが、
「よく来てくれたわ、魔王様。今日はよろしく」
「えっと、よろしくお願いします」
「本当に性格が違うわね。でもこれはこれでいけるわ」
「は、はあ……」
にたりと笑った彼女に俺は、嫌な予感を俺が覚えているとそこでレイラが、
「では、ルール説明をするわね。これから戦闘で特定のバッジを攻撃して破壊されたら、それの付いた服を脱ぐことになるわ」
「……え?」
「自分たちがいつも“楽しむ”側にいられるとは思わない事ね。男ども」
などと彼女は言ってきたのである。
いや、でもと俺は思いながら、
「で、ですが貴方も脱ぐことになるんですよね?」
「そうなるわね」
「そ、それに男である俺の服を脱がして何が楽しいのですか?」
俺は、今までに感じたことのない恐怖を感じながらそういうとそこで、レイラがこれまでに見たこともないような恐ろしい笑みを浮かべる。
そして俺の方を見ながら、
「イケメンだから剥きたいと思うのは当然でしょう? 下着だけは見逃してあげるわ。水着をはいているのはそういった理由もあるの。みんなー、アイズ魔王様の水着姿が見たいかぁああああ」
「「「「「おおおおおおおおお」」」」」
といったような女子の歓声が上がる。
待て、俺はこんな話は聞いていないぞ、そう俺が焦りつつ、ここはほかの勇者たちに説得してもらおうと思って俺は、
「カタリナ、サナ、シルフィア、何とか言ってくれないか? さすがに服を脱いでいくのはあまりよろしくないだろう!」
そう俺が声をあげるとそこでカタリナが少し黙ってから、
「……ごめん、私もイケメンは剥きたいわ」
「……」
「……アイズはイケメンだし、ちょっと興味があるかも」
「サ、サナとシルフィアはどうだ? お、男の裸なんて見たくないだろう?」
「「……」」
だがそれにサナとシルフィアは答えなかった。
女子に対しての幻想が崩れていく。
だがそこでウェルフが、
「安心しろ、アイズ、俺はアイズの味方だ!」
「ウェルフ……」
「心補く、あそこにいる勇者レイラを、水着姿にさらすのだ! 俺は応援している。いや、俺たち男全員はお前の味方だ! 男の裸なんて見たくないから、無傷でできればアイズには勝利してほしい。だから、応援するぞ、みんな!」
「「「「おおおおおおお」」」」」
そこで男たちの方から声が上がる。
それを見ながら俺は、どっちも最低だと思いつつ、そこで俺は気づく。
「攻撃すれば攻撃するほどレイラの服がなくなるって……俺、男としてどうなんだ?」
「これは勝負よ? その程度の事を気にして、私に勝てると思っているのかしら。それに、私はそんな弱くなくてよ? 魔王アイズ様、自分の事を心配した方がよろしいのでは?」
そう言い切ったレイラに俺は、どうしようと考えている所で、始まりの合図が鳴ったのだった。
とりあえず、倒さない事には始まらないと俺は走り出す。
けれどすぐに幾つもの氷の鋭い矢のようなものが飛んでくる。
日の光に輝いて、綺麗で、しかも的確にバッジの部分を狙ってくるが、
「……遅い」
速度が緩やかであるため、簡単に粉々にできる。
それをくずして俺は、もうイベントだ何だ考えるのを止めて、攻撃に専念すると決める。
だって相手は手加減をする気がない。
そして長い時間をこの、服を脱ぐイベントに費やすのが俺は嫌だった。
だからできるだけ早めに終わらせようと思う。
とはいえ一気にすべてを攻撃するのは味気がないので、
「まずは上半身から、か」
そう狙いを定めて、ここから遠距離攻撃をしてもいいが、派手な戦闘に見せかけた方がいいだろうと思って、俺は地面をける。
水面を跳ねるようにレイラの方に向かうも、そこでレイラが笑った。
「そう来ると思っていたわ。“水の剣”」
レイラの声とともに周囲の水面から水が渦を巻くように鋭く点を目指したかと思うと、俺に向かって襲い掛かってくる。
このまま水の中に連れ込む気なのだろう、というかそういった罠があるのは分かっていた。
もっともこの程度は俺の“敵”ではないが。
とりあえずは風の魔法で水と共にそれを操っている魔法自体を切り刻む。
すぐにその水の剣は崩れ落ちるようにしてプールに沈み、大きな波しぶきをあげる。
「! こんな簡単に……」
「そうだな。でも油断大敵だぞ?」
焦ったレイラの声を聞きながら俺は、レイラのすぐそばにまで迫り、そして、三つほどバッジを破壊する。
驚愕といったようなレイラの表情を見ながら俺は、
「あと一つだな」
「……そうね。とりあえず脱ぐ時間が欲しいから、休憩をもらえるかしら」
そうため息をつくかのようにレイラが言ったのだった。
観衆の前で服を女子が脱ぐという行為。
これは勝負であるため、仕方がないことではあるが……。
「女子の視線がいたい。そして男子のあの声援はなんだ」
そう俺は呟く。
早目に倒そうと思ったが、この女子にこう言った行為をしているといったような軽蔑の視線がすごく感じてしまう。
だって、仕方がないじゃないか。
俺にどうしろというんだと思う。
しかも男の方は男の方ではやくスカートもと言い出している。
気楽に言っていられる立場になりたい、そう俺は思った。
現在レイラは白いビキニを着ている状態で、それでスカートをはいている。
だがその前が大変だったのもあるだろう。
ベストとリボンが脱げていくのはまだどうにか、といった感じではあったが、半そでのシャツのボタンを一つづつ外していくあの光景はみゅに時間がかかってなまめかしいように見えた。
その時はやけにほかの男子たちも沈黙してそれを見ていた気がする。
そしてそうなる状況に仕向けたのは俺なわけで……。
もう全部投げ出して帰ろうか、そう俺が思っているとそこで、
「それで続きを始めましょうか」
「俺、そろそろ帰りたい。女子の視線が痛い」
「そう? でもここまで来たら悪印象しか残っていないわよ?」
「……」
俺は沈黙しかできなかった。
俺という存在が最悪なことになっている、そんな雑棒を感じているとそこで、レイラが俺に囁いた。
「女子の印象を変えるいい方法があるわ」
「……なんでしょうか」
「貴方が上半身裸になればいいの。脱げばいいのよ」
俺はその言葉に絶望のようなものを感じた。
だが、お互いに脱いでしまえば確かに、こう、平等である。
さて、どうしようかと思っているとそこで、
「今なら上だけ攻撃してやるわよ」
「じゃあ、攻撃されて俺が逃げるような形で行きましょうか。一応はイベントですし」
「そうそう、サービスシーンは大事よ……(*´Д`)ハアハア」
レイラの息がちょっと荒げになっていた。
俺は早くこの場からたしたりたい、そう思いつつ攻撃を受けるが、
「ズボンの方も狙ってきたか。やはりな」
「残念だわ。でも上半身のバッジは壊したから、脱いでね(はーと)」
そう俺は言われて……女子の視線に絶望から、更に無の境地に陥りながら脱ぐ。
脱ぐと女子の歓声と、男子からのぶーうんぐが俺を襲う。
もう二度とかかわりあいたくない、そう俺が思いつつ脱いでからすぐに俺は、レイラのスカートのバッジを狙って、
「え?」
間の抜けた声をレイラがあげるのを聞きながら俺は、この恥ずかしい戦闘を終わらせたのだった。
とりあえず水に濡れることはなかったが、更衣室を借りて俺は着替えをする。
そして戻ってくるとレイラたちがカタリナ達と楽しそうにおしゃべりをしていた。
やはり同じ勇者だから気が合うのだろう、そう俺が思っていると俺に気づいたレイラが近づいてきて、
「残念だわ。せっかくイケメンの服を剥がせると思って楽しみにしていたのに。口惜しいから……仲間にでもしてもらってその機会を探そうかしら」
「……お友達から出よろしくお願いします」
放っておくと勝手についてきそうな身の危険を覚えて俺は、お友達という方にして一枚壁を作った。
こういうタイプは苦手だし、と俺は思いつつもカタリナに、
「こういったイベントが今後も続くのか?」
「今回だけだと思うわ」
「というか知っていたのか? こういう風になるって」
「いえ。バッジを壊すイベントとしか知らなかったからまさかこんな風になるとは思わなかったわ。男性の服を部ガスという発想が私にはまったくなかったわ……次のイベントでは、お互いの服をどこまで破壊できるかといったものも取り入れてみようかしら。そうすると暴力的ではないわけだし」
などと真剣にカタリナが考え始めたので俺はカタリナに、
「もしそんなイベントになったら俺は絶対に出ませんよ?」
「そうなの? だったらあまり楽しくならなそうね。残念だわ」
などと非常に残念そうに言われてしまう。
だが俺は絶対にそうなったら受けないぞと決めて、最高でしたと嬉しそうに言うウェルフという薄情な友人たちと、新しくレイラという友人と一緒に次のイベントを目指したのだった。




