第16話(“水”の勇者学園-1)
こうして俺は次の学園にやってくることになった。
“水”の勇者学園。
“シーリバー学園”である。
その名の通り水関連の能力にたけている人物たちであるらしい。
ちなみにこの学校の校庭は流れるプールのようなものになっている。
この前流れるプールに入ったところ、出入り禁止になってしまった俺はこのプールにひどく魅力を感じてしまう。
いいな、このプール。
などという気持ちになっているとカタリナに俺は、
「どうしたの? 珍しく羨ましそうに何かを見ているけれど」
「いや、プールを見ていて……この前流れるプールに入っていたら、つい気が緩んでしまってシーサーペントを呼び出してしまい、出入り禁止になってしまって……だからこのプールはいいなと」
「……気を抜くとそういった大物が出てくるのは突っ込まないけれど……でも、サナとシルフィアの戦いでは今の所、そんなシーンは見られなかったわね」
「そういえばそうだな。やはり勇者や、相手が魔族だと俺も気を付けるのかもしれない。それにその制御するための切り口を変える方法……それを、戦闘で少しずつ学んでいるから、それがうまくいっているのか?」
そう俺は自己分析する。
と、今の話を聞いていてサナが、
「で、では、どういった所を私の魔法では参考に?」
「そうだな……」
といって俺は、今回参考にさせてもらった部分を話すと、
「なるほど、そういった使い方もあるのですね。また何かやってみましょう」
そう言って俺への再挑戦を何か考えているようだった。
続いてシルフィアにも聞かれたので幾つかの内容を答えると、それは考えつきませんでしたと俺は言われる。
こうして戦ってみると、確かに予想外の事は多々あるけれど参考にはなったと俺は思う。
などと話していると門近くまで俺はやってきて……そこでウェルフが眉をひそめた。
「なんだか観客の男女比が同じくらいな気がする。女の子に俺は囲まれて幸せな気持ちを味わっていたのに」
「……やはりウェルフ、お前には四天王として戦闘に参加してもらおう。お魔の楽しくて楽な位置を俺に捧げるのだ」
「それは嫌かな……あ、それでまた、誤解を解かないといけないのでは?」
俺は言われてそこで、目の前にある人物が現れる。
背の高い美少女だが、挑戦的に俺の方を見て笑っている。
「よくいらっしゃいましたわ。アイズ魔王様。本日相手を務めさせていただきます、レイラと申します」
「あ、はい、よろしくお願いいたします」
そう言って俺は答えて頭を下げる。
普通に声をかけられたので、そうすべきだろうと俺は考えたのだが……またしても周りは静かになってしまう。
今度はどうなるんだ? と俺が思っているとレイラが、
「『ふん、お前ごと気が俺の相手が務まると思うのか? 勘違いも甚だしい、だが、今日は特別に適当に遊んでやろう』みたいな台詞はないのですか?」
「……あの美形魔王図鑑に書かれている内容は嘘です。本当の俺はごく普通の一般人です。普通の性格です」
そう俺が、また言われた誤解に関してそう訂正するとレイラが、
「え? そうなの? そちらの勇者の方々にもきくけれど本当?」
「ええ、本当です」
「うん」
「はい」
そうカタリナ、サナ、シルフィアが答える。
その隣でウェルフも頷いている。
と、遠くでがっかりしたようなため息が聞こえた。
観客席の方からで……俺としては、やはりあの図鑑を作った不届き者にとどめを、と思ったりしたのだが……そこでレイラが笑った。
「そうなのですか。これは……都合がいいですわね」
「都合がいい?」
「ええ。それで、本日は水着は用意してきていただけましたか? どうも伝言に齟齬があったようで、伝え損ねていたように思ったのですが」
レイラに言われて俺は、
「確か持ち物の部分にはなかった気がする。じゃあ急いでとってきましょうか」
「いえ、結構です。もしもの事を考えてこちらでご用意しましたから。その水着をはいて、服を着ていただければと。水に濡れてしまう、というのもありますから」
「そうなのですか?」
「ええ」
そう言って微かにレイラが笑う。
それが気になったが、大したことがないだろうと思った俺はのちに後悔することとなる。
そんなこんなでレイラに言われて俺は早速言われたとおりに着替えることにしたのだが……まさか、あんな出来事が待っているとは思いもよらなかったのだった。




