第20話 同級生とお姉ちゃんの爆弾発言で俺はへとへとです!
「何してんですか…。」
俺は冷たい視線と呆れた口調で呟いた。
「ち、違うの! ただお夕飯の事で…! 食べられない物あったら困るでしょ…?」
しどろもどろになりながら、言い訳らしきものを重ねている。
「決して、何かあるんじゃないかとか、邪な気持ちで観てたんじゃないから!」
あたふたしながら言っても、説得力が無い。
「は〜、分かりましたよ…。おーい、委員長。赤井を起こしてくれ。」
「は〜い。ほら起きて、まゆ!」
「う〜ん…。むにゃむにゃ…、何〜。」
委員長が身体を揺すると気怠そうにしながら、上半身を起こした。
「先輩が夕飯作るけど、嫌いな食べ物無いかって…。」
「無いよ〜、私は何でも食べれるから…。」
「あっ! 私も大丈夫です。」
「了解。ピーマンは食べると痙攣するから駄目だそうです。」
「それは、隆君が嫌いなだけでしょ!」
二人共、好き嫌いが無いのは羨ましい。
「美味〜い!! こんなの初めてです!!」
夕飯の時間になり、俺達はリビングにて食卓を囲んでいた。
「ちょっと、もう少し落ち着いたら…。」
赤井は先輩特製ハンバーグを食べ、信じられない程、興奮していた。
「ふふ、気に入ってくれたなら良かった。」
「こんな美味しい物毎日食べれるなんて…、広瀬君はずるい! ずる過ぎ大賞だよ。」
どうやら、謎の賞を授賞したようだ。
「でも…本当に美味しい。レシピ教えて欲しいくらい。」
「いいよ。教えても。」
「本当ですか!?」
赤井は勿論な事、委員長も先輩とお喋りを楽しんでいる。どうやら、仲良くなる事に成功した様だ。
だが、この気持ちの良い空気は赤井の何気ない一言で、直ぐに決壊した。
「は〜、これが毎日食べられるなら、広瀬君と結婚するのも悪くないね。」
ピクっ……。
空気が張り詰めらたのを感じた。一瞬にして、部屋の温度が下がったような…。
(先輩も委員長もさっきよりも表情が固くなったような…。)
恐らくこれは気の所為では無い。その証拠に先輩の箸が微振動している。
「ど、どうしたんだ。二人共、急に黙り込んで。料理が冷めちゃうぞ〜。なんて…。」
俺は赤井に助けてを求める様に目配せをした。赤井は…、
(ごめんちゃい!)
手を合わせ、そう言っている様に見える。何か分からないが、やらかしたみたいだ。
「はははは…、面白い事を言うね、まゆちゃんは。」
沈黙を貫いた先輩が口を開いた。
「隆君と結婚か〜…。うーん、どうだろ。そう言うのはお姉ちゃん、まだ早いと思うけどな〜。」
言葉尻は優しくても、明らかに何かしらの感情が込もっている。
「落ち着いて下さいよ…。別にそういう意味で言った訳じゃ…。」
俺は慌ててフォローを入れるが…、その言葉は委員長によって遮られた。
「そうだよまゆ〜。そんな事言われても、広瀬君、困っちゃうでしょ?」
こちらも言葉に余裕が無い。一体、どうしたんだ?
「隆君もそう思うよね〜?」
(そこで、俺にパスするかい! なんてキラーパスだ!)
「そ、そうだぞ〜、赤井。俺達、まだ高校生じゃないか。将来の事はもう少し先でもいいだろ?」
「…高校生じゃなければ、いいんだ…。」
(はい、墓穴!!)
場を和ませようとしたのが、完璧に裏目。余計に二人を刺激してしまった様だ。
(と、取り敢えず…訂正しておけ…!)
俺はまたしても、赤井にサインを送った。
(…? 了〜解。)
何らかのアクション。恐らく…、意図は伝わったのだろう。
その証拠に赤井が小さい咳払いをすると…、口を開いた。
「いや〜、ついうっかり。私と隆君乃関係をバラしちゃったか〜。」
瞬間、空気が凍る。やってくれたな…赤井。
顔を観ると、ニヤリと笑う。確信犯なのがみえみえだ。
「ちょっと、どういう事! 説明しなさい、まゆ〜。」
委員長は狂喜乱舞し、赤井に詰め寄る。先輩は…、
「私にも説明してくれるかな〜? 嘘つきスケコマシ君?」
ゴゴゴという効果音を背景に投影しながら、先輩は優しく尋ねてくる。
(俺はこっちの相手をしなくちゃか…。)
こうして、夕飯の時間は、赤井の妙な思いつきなお陰? でエキセントリックな時間となったのだ。
「もう…、いきなりで驚いたよ…。」
食器を片付けながら、先輩は言った。
「俺に言われても…、全部赤井が悪ふざけするからですよ。」
あいつはいつも掴みどころが無いからな…。予想外の攻撃で俺や佐助、委員長ですらダメージを受ける。
「何を考えてるのやら…。」
「意外に好かれてるのかもよ?」
「まさか…。」
「まぁ…、その話は置いといても…、」
急に先輩がよそよそしくなる。
「お父さん遅いね…。」
「そうですね…。遅くなるとは言ってはいましたが…。」
時計を観ると、短針は9時を超えていた。委員長達も随分と遅くまで付き合わせてしまったな。
「…………。」
二人の間には、沈黙の音が流れ始める。カチカチ…と、針を刻む音がいつもより鋭く聴こえる。
「……二人きりだね…。」
「…はい…。」
先輩が口を開いた。俺もその言葉に同調する。
「…もっと遅くなるのかな?」
「さぁ…どうなんでしょう。」
意味の無い会話が続いた。二人共が核心に触れない様に…。
そして―――――
「……どうする?」
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明日も【12:30】【18:30】の2話更新の予定ですので、楽しみにして頂けると嬉しいです!
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