第19話 勉強会でも、油断大敵!! お姉ちゃんが覗いてるぞ!
「ごめん、遅くなった。」
先輩から解放された俺は、急いで自室へと向かった。
「大丈夫だよ。大事な話だった?」
委員長は特に気にしている素振りを見せずに言った。
「まぁ、大事っちゃ、大事かな。」
詳細はただのお姉ちゃんの嫉妬です。…とは言えない。
「本当に申し訳無い。」
「エロ本探ししてたから、時間は潰せたし、平気〜。」
「ちょっと、まゆ!」
なんだ…、二人共そんな事をしてたのか。
「ははっ、そんな物無いに決まってるだろ。」
ベッドの下に形跡がある。恐らく、ここと当たりをつけたんだろうが、そんなところには勿論、無い。
「くだらない話してないで始めるか。」
こうして、俺達は期末試験の対策を始めた。
「ここの公式は、こっちに当てはめると…。」
「えっと…! となると…、こうか…?」
まずは俺の苦手な数学から手をつける。先輩にも教わっていた経験からか、思ったよりスムーズに勉強は進められた。
「ここ、間違ってる。」
「えっ…! うーん、あっ、本当だ。代入が違ってる。」
やはり、数学は苦手だ…。
「ふ〜、やっぱり公式を観ていると疲れるな。」
公式と問題のにらめっこに耐えかね、思わず、弱音が溢れた。
「でも全然出来てるじゃん! 凄いよ!」
委員長はそんな俺を励ます様に激を送る。
「ほんとほんと、中間で、赤点を取ったと聞いたから、どれだけ壊滅的なのかと思ったけど…。」
赤井は不躾に言った。
「これでもマシになったんだ。先輩に教えてもらってたりしたからな…。」
「へぇ〜、教えるのも上手いんだ。」
「ああ、この前まで赤点野郎の俺を平均くらいまで伸ばしてくれたからな。頭が上がらん。」
「流石は先輩…。」
「あっ、勿論、委員長にも感謝してるぞ…!」
取り繕う様に言う。
「ふふ…、言わなくても分かってるわよ。それじゃ、もう少し頑張りましょうか。」
「おう…!」
委員長の合図と共に、強敵と戦う様に気合を入れ直した。
「お、終わった…。」
事前に出された課題プリントをやり終え、俺は満身創痍となっていた。
「よく頑張りました…! 凄いよ広瀬君!」
委員長は手を叩き、俺を労ってくれている。
「う〜ん…、終わったの〜…?」
赤井は丁度、半分くらいの時間でダウン。おやすみタイムとしゃれこんでいた。
「もう…! まゆはせっかく来たのに何してるの!」
「だって、退屈なんだもん。私、直ぐに終わらせたし…。はぁ〜。」
大欠伸をしながら、平然と言ってのける。確かに俺が悪戦苦闘したプリントをこいつはものの十分くらいで終わらせていたのだ。
「く〜、俺も一度は言ってみたいぜ。」
「まゆは特別だから…。」
「委員長だって直ぐに終わらせたじゃないか。俺に教えながら…。」
「はは…まぁね。」
謙遜はしているが、委員長だって相当成績が良い。きっと二人からしてみれば、この課題等、赤子の手を捻る程に簡単なのだ。
「さて、この後はどうするか…?」
俺は腕を伸ばし、肩を廻した。ゴキゴキと音がなる。
その音がやけに耳に残る。気が付けば、空気が張り詰めていた。
「えっ…と、どうしたの?」
恐る恐る俺は尋ねた。ピクリと、委員長が声に反応する。
どうやら、件の空気を発しているのは委員長の様だった。
やけに緊張しているご様子だ。俺はそれを解そうと冗談を言ってみる事にした。
「いや〜、それにしても、俺の部屋に同級生の女子が二人もいるなんて、なんか変な感じだな〜。」
「…そ、そうだね…。」
(会話終了。何? この空気…。)
委員長は再び、俯いてしまった。俺ら助けを求めようと、赤井の方を観たが…、
「すぴー、すぴー。」
既に夢の中だったようだ。
「俺、ちょっと飲み物でも持って来るは!」
俺は沈黙に耐えかねて、適当な都合を付けて退室しようと試みる。
「あ、あの…!」
それを制止したのは、委員長の声。
「どうした…?」
「えっ…と、そのですね。広瀬君に聞きたい事が……。」
委員長は身体をモジモジさせながら、俺に向きが直した。そして……、
「ひ、広瀬君は、渚先輩の事をどう思ってるの!!」
まさかの質問。意外も意外だ。そのせいか、俺は少し面を食らった。
「どうって、どういう?」
聞かれている事なんて分かりきっているのに、あえて、そういう言い方をした。
「つまり、好きかって事よ。」
照れながらも、委員長は真っすぐに答える。
「そうさな…。」
(はて、どうしたもんか…。)
俺の気持ちを正直に言ってもいいが…、委員長の事だから曲解しかねない。
まだ先輩との不思議な関係を楽しみたい自分もいる。信用していない訳では無いが、あまり触れ回す様な事もしたくない。
ここは…、
「よく分からないけど…委員長の考えている関係ではないと思うよ。」
有耶無耶にするか…!
「そ、そう…、良かった。流石に勝ち目が無いと…。」
「勝ち目? 何の?」
「ううん、何でもないの!!」
「そう…、それより、赤井を起こして…。」
瞬間、気配を感じた。委員長のでは無い、外からのもの。
俺はゆっくりドアの方に向かって行く。そしてドアノブに手を掛けた。
「あっ……! は、はろー、なんちゃって?」
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続きとなる第20話はこの後、【18:30】に更新予定です。
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