第21話 お姉ちゃんの膝枕は神!! 異論は認めない!!
「…どうする?」
突然、聞かれた質問に俺は当惑した。
(いやいや…、どうするってなにを!?)
そういう事なのか…? そういう事でいいのか!?
いくら自分の中で答えを探しても見つかる訳もなく…、俺はただ無言を貫いた。
「えっ…と…。」
声が上擦っているのが、自分でも分かった。明らかに緊張している。
その時だった。遠くから風呂が湧いたアナウンスが流れたのだ。
(チャンス…!!)
「風呂湧いたみたいですね、それじゃ…俺、先に頂きますね。」
「えっ!! あっ…ちょっと…。」
先輩の返事を聞かずに、逃げる様にして、その場を後にする。
「えっ…、え〜! それって…つまり…。」
「ふひぃ〜」
湯船に浸かると、意識せずとも声が漏れるのは何故でしょう…。
「それにしてもびっくりしたな〜。」
急にどうする、なんて聞いてくるんだもん。しかも、モジモジしてたし…、硬派な俺だから耐えれたものの、普通の男なら即、オオカミコースだね。
自分の意志への賞賛をしていると、ふと、ある事が頭に浮かんだ。
「…そういえば先輩、俺が風呂入るって言った時、過敏に反応してたなー。」
「自分が先に入りたい気分だったのかな…。そしたら悪い事したわ。」
「でも…、流石に先輩の後の湯船に浸かるのも…ね? 俺は別に気にしないけどね。」
「そもそもいきなり…。」
あれ? あのシチュエーションで風呂入ってくるとか抜かしたけど…、変な意味に捉えられてね?
「いやいや…、先輩もそこまで頭ピンクじゃない…。」
脳裏には今まで起きた先輩とのやり取りがよぎる。
「あり得るのか…? 先輩なら…。」
そう考えれば、さっきの微妙な間も頷ける。俺は血が沸騰している様に体温が高くなるのを感じた。
「まじか…、これじゃ、本当にスケコマシ野郎ではないか…。」
頭を抱える。…が、これはむしろチャンスなのではないか?
先輩は緊張こそあれど…、俺を拒絶する様な仕草は観られなかった。つまりだ…! つまり…、
俺は今日…、卒業するかもしれないという事だ。
「うおぉぉ…!!」
更に体温が上がってきた。まるで活火山のマグマみたいに…! 心臓もバクバクいっている。
「よし…!」
入念に身体を洗う。
(別に期待している訳ではないけど…一応ね。紳士としてだから…。)
誰に言い訳しているのか、俺は風呂から出た。
「えっと…、タオル…タオル。」
洗面台にあるタオルを手に取る。風呂を出た時より身体が熱い。きっと全身が緊張しているせいだろう。
身体を拭き、着替えを済ませる。
「ふ〜、よし…あれ?」
力が入らない。頭もくらくらする。視界もグルグルしている。
世界が反転し、脱力した身体が床に墜ちた。
「あれ…、ヤバイか…も…、」
そのまま、意識が切り離された。
「……あれ? ここはどこ?」
目が覚めた時、俺の視界には白い天井が広がっていた。
(確か、俺は…、そうだ、風呂から上がって、脱衣所でそのまま意識を…。)
「冷たい…。」
額には冷たい感覚…、これは保冷剤か…。
意識が拡張し始め、徐々に世界の輪郭が感じらてくる。
「柔らかい…。」
頭に柔らかい感触が…、心地いい。
「あっ! 目が覚めたんだね。」
先輩が顔を覗かせる。いつの間に、こんな近くに…、うん? 近すぎね?
「お風呂から出るのが遅いから心配したよ…。観に行ったら、ドアの前で気絶してたんだもん。」
そうか…、俺はのぼせたのか…。そして、そのまま…。
「心配かけて、申し訳無いです…。」
「本当だよ…。お姉ちゃんの膝枕パワーを使って、なんとか回復させたんだから…。」
なんですって…? 膝枕? 膝枕って…、つまり、この頭にある柔らかい感触の正体は…。
「こら…! くすぐったいから頭動かさないで…。」
(先輩のふ、ふ、ふともも〜!! や、ヤバイ…! またのぼせてきそうだ…。)
(頭に血を送らなければ…、邪な気持ちを出すな! 先輩は俺を心配してくれてるんだ! 善意なんだ!)
そして俺はある事に気付く。
(…ていうか…、さっき観たの天井じゃなくね? 第一、家の天井…白じゃないし…。)
顔を少し横に向ける。先輩の着ている白いシャツが目についた。
(…なるほど…、天井が見えるはずがなかった。あれは先輩の…。)
ガクッ…。
「隆君? 隆くーん!!」
またもや…、俺は意識を絶った。
〜30分後〜
「いや〜、すいません。お騒がせして…。」
意識を取り戻した俺は椅子に座りながら、謝罪をした。
「ほんとだよ! すごーく心配したんだから…!」
先輩はプンプンとお冠だ。合わせる顔が無い。
「マジで反省してます、はい。これからはガチで気を付けますんで…。」
「ほんとのほんとだからね…! お姉ちゃんとの約束! ほら、人差し指だして。」
「あっ、はい。」
先輩の言う事に逆らわず、指を差し出した。
「指切りげんまん。嘘ついたら…どうしようか…、そうだ…! 引き出しの下にあるエッチな本をす〜てる!」
「えっ…、ちょっ…。」
「指切った!!」
切られてしまった。ていうかどうして…俺の財宝達の事を…。
「あの先輩…?」
「ふふ…、言ったでしょ? お姉ちゃんには全部お見通しなのだ!」
ふふーんと精一杯のドヤ顔が可愛い。
(じゃなくて…! どうしよう…。こうなったら…、一か八かだ。)
俺は賭けにでる。
「なら先輩が嘘をついたら……、」
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続きとなる第22話はこの後、【18:30】に更新予定です。
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