第17話 ハーレムなんて、お姉ちゃん許しません!!
「先輩は待ち合わせしないの?」
校門付近、沢山の生徒の雑多の中、委員長が呟く。
「先に帰って準備してるとさ。」
「そうなんだ。一緒に帰るのとばかり…。」
「最近は登校も下校も別々だからな。」
避けられている訳では無いが、先輩の中でまだ上手く消化出来てはいないのだろう…。
だが、それは=俺の勝機ということに他ならない。
「嫌われてるんじゃないの〜。」
「なんて事を! この隆、好かれる事はしても嫌われる事なぞ、していない。」
「分かんないよ〜。知らず知らずの内に…、例えば、勝手に先輩の部屋に入ったとか…。」
「えっ! そんな事してるの?」
「委員長もまともに受けとらんでくれ。紳士の端くれである俺がそんな事するわけないだろう。」
そんな馬鹿話をしているとあっという間に家に到着した。
「ここが我が家になります。」
「おお〜! 普通だ。」
「当たり前だろ。ごく普通の一般家庭なんだから。」
俺は玄関口にあるインターホンを鳴らし、中にいる先輩に合図を送った。
「自分ちなんだから、鍵を使えばいいのに。」
「分かってないな、雰囲気だよ、雰囲気。」
「…?」
赤井には上手く伝わらなかったが…、先輩が出迎えてくれるのって最高じゃない?
「は〜い、今開けるからね。」
奥からは先輩の軽やかな返事が鳴り響いた。
(く〜、コレだよ、コレ! 二人には分からんだろ。)
俺が喜びを噛み締めると時を同じくして、二人の冷たい視線が目に入った。
「よし! じゃあ、中に入ってくれ…。」
「お、お邪魔します…。」
「お邪魔するなら帰って〜。」
やけに緊張している委員長に触発されてか、俺にもそれが波及する。
同級生の女子(それも二人!)を家に招くなんて経験は俺の辞書には無い。そのせいか、心臓の鼓動が速くなるが手に取る様に分かった。
(落ち着くんだ、俺! 二人にバレたら格好が悪いぞ!)
特に赤井にバレたら、めっちゃいじってきそう。
「お帰りなさい、隆君。」
玄関では制服姿の先輩が出迎えてくれる。俺は振り返り、二人の顔を観ながら、ドヤ顔をかましてみせた。
「なるほどね〜、確かに凄い威力だ。広瀬君はウザいけど。」
「本当…。あの先輩のお出迎えは心に響くわね。…広瀬君は…ちょっとあれだけど。」
「委員長ちゃん、久し振り。」
「お久し振りです! 風街先輩。」
「そっちの子は?」
「こっちのボーとしてるのは、赤井真由美ですよ。」
「むっ! 失礼な。」
「赤井真由美さん。真由美ちゃんって呼んでもいいかしら?」
「はい、大丈夫ですよ。」
「じゃあ、委員長ちゃんと呼ぶのも失礼だから…五十鈴ちゃんって呼んでもいいかしら?」
「も、もちろんでございますとも!!」
委員長は変な言葉遣いになっている。でも、気持ちは分かるな、先輩に名前で呼ばれるなんて、全校生徒の夢と言っても過言じゃない。
その証拠に―――
「はわわわ、先輩に名前呼びされちゃったよ〜!」
あの赤井ですら、コレだもんな。
それにしても…、
「………。」
先輩が何故かむすっとした表情で、じーと見つめてくる。
(辞めて先輩! そんなに見つめられたら、好きになっちゅう! もうなってるけど!)
俺のふざけた内心を見透かしているのか、さらに訝しんでいる。これは…、恐らく何かしたな俺。
「取り敢えず、俺の部屋に行こうぜ!」
その視線に耐えきれず、その場から逃げる様に二人を急かす。
「うん、分かった。」
「ok牧場〜。」
「私は準備があるから、先に行ってて。」
そう言う先輩を残し、俺は階段に足を掛けた。
(それにしても、マジで見当がつかないな。先輩に嫌われる事を俺がするはずもなし…。)
「う〜ん、分からん。」
「余所見してると危ないよ。」
「ああ、悪い。気を付けるよ…、うわぁ!」
委員長の忠告も虚しく、考え込んでいた弊害で、俺は階段から足を滑らしてしまう。
「きゃっ!」
バタンッ!と倒れる。幸いな事に階段の初段だったということもあり、大事には至らなかったのだが…、
「ごめん委員長!! 俺、考えごと…をしてて。」
「えっと…。」
至らなかったのだが、凄く不味い状況に…! 詳しく説明すると委員長に俺が覆いかぶさる形に…!
「わお…! これは大胆。」
遠目にいて、難を逃れた赤井が言っているのがハッキリと聴こえる。
「大丈夫!? 凄い音がしたけど…って、どういう状況!」
リビングに戻っていた先輩は、異変をキャッチし、駆けつけてくれたが…これを観られるのは…。
「えっと…、取り敢えず退いてもらえるかな…?」
夕焼けの様に紅くなった委員長は伏し目がちに俺に言う。その瞳に思わず、吸い込まれそうになった。
「そうだよな! ごめん、ごめん…!!」
急いで退こうと、身体を動かす。急に立上がったからか少しの立ちくらみが起こった。
「もう…! 気を付けてよね…! 低くかったから良かったけど…、大事になってたかもしれないんだから…!」
委員長のお説教に俺は頭が上がらなかった。
「もう我慢出来ない…!」
「どうしたんですか…? 渚先輩?」
先輩は身体をわなわなと震えさせながら…、俺に向かってくる。
「隆君、集合!! お説教です!!」
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続きとなる第18話はこの後、【18:30】に更新予定です。
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