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親友の元カノに家へと誘われたら、僕が命を救った可憐なJCが妹として待ち構えていた話、します?【長編小説】  作者: 金森 亮
第三章 祝、家庭教師就任

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第8話 メロイ!!

 午後5時になって、やっと勉強が始まる。美紀は机に高校受験の参考書を並べ、香織は学校から配布された赤点課題を並べる。


「トホホ……」


 香織は渋い顔をしながら勉強をする。他方、僕は美紀にこんな問いかけをする。


「なぁ、美紀。勉強している最中に悪いんだけど」

「どうしたんですか?」

「お前、僕に奉仕するつもりで絡んできたんだろ?」

「えぇ、そうでしたね」

「それなのに、どうし僕に頼んだんだ? 別に塾でも良かっただろ……?」


 美紀は手を止めてそのまま静止する。


『……え、な、なんで黙るんだよ』


「……まぁ、そこは塾の好き好きの問題もありますから」

「そりゃあ、姉も勉強嫌いじゃどうしようもないか」

「嫌いではないわよ。ただ好きじゃないだけだから」

「ほぼ一緒だろ……」


 美紀は背筋を伸ばして、参考書の問題が一段落した雰囲気を出す。


「解けたか?」

「は、はい。一応それっぽく……」

「それっぽく……って、え?」


 僕が丸付けをすると、回答は軒並み全問不正解だった。


『逆にこの手の問題で、どうやったら全問不正解なんて取れるんだよ……』


「さ、流石に三平方の定理は知っているよな?」

「三平方のタイルってどんなタイルですか?」


 僕は赤ペンを落として硬直する。


「ど、どうしちゃったんですか?」

「ごめんね。こんな感じだから手がかかると思うけど……」

「……美紀、お前は僕に勉強で奉仕しろ」

「そ、そそそれは無理です!」


 美紀は人差し指でバツを作って、顔にはゲテモノを見るような、明らかな嫌悪が滲んでいる。


「なんでだよ……?」

「そもそも、俊さんに利益がないです」

「親友の可愛い妹が幸せに暮らすことのどこに利益がないんだよ」


『う、うん? もしかして僕、いま可愛いって言ったか……?』


 美紀は急に全ての感情を失ったかのように真顔になる。


 香織は少し小馬鹿にしたような「ふっ」という笑いをして、顔をニンマリとさせる。


「伊賀って良くも悪くも大胆よね」


 美紀は未だに真顔を続ける。そうして数十秒が経って、やっと口を開いてくれた。


「俊さん」

「な、なんだよ」

「ちょっとメロいです」


 美紀はなぜか目を輝かせる。


「メ、メロいって……なんだそれ?」

「要するに俊さんの本音っぽい言葉に惹かれたってことです」

「大丈夫……だよな? ギリギリなんとかセクハラにはならないよな……?」

「いままで“ムッツリスケベ”とか言ってきた人間がなに言っているのよ……」


 香織は吐息交じりでそう言う。


「え、俊さんそんなこと言っていたんですか……!?」

「逆にそっちでひくなよ……」

「とりあえず、お礼はちょっと待っていてください」

「……些細なものでいいからな?」

「お、ちょっとは俊さんも乗り気になってくれましたね!」

「まぁ、受験勉強という大前提があるんだけどな」

「あぁ……そうですね」


 そうして美紀は苦笑する。



 そこから数分して、香織も赤点課題を終わらせた。


「赤点課題十点って、お前も美紀のこと言えないだろ……」

「点を取っているだけマシよ」

「そうですよ! お姉ちゃんは点を取っているんですから!」

「なんで0点が誇らしげなんだよ」



 そこからさらに一時間、美紀と香織の回答に俊が正答を教える時間が続く。



 午後6時半にもなると、僕はかなり疲れ切って抜け殻のようになっている。


「きょ、今日はこんなもんにしておこう。そろそろ外も暗くなってきたしな」

「そうね」

「そうですね」

「じゃあ、僕はそろそろ帰るよ。今日はありがとうな」

「あ、私、送っていきましょうか⁉」

「そこ、逆のパターンはないだろ……」


 姉妹揃って手を振って、僕を共用廊下まで見送る。


『この生活、一体いつまで続くんだ……?』


 僕はため息をつくとともに、少し笑い顔を作る。自分の心に聞いてみると、この生活がさほど嫌いではなかったのだ。



 午後9時、僕は自室でボーっとしていると、美紀からトークが来た。


「今日もありがとうございました」

「役に立ったならよかったよ」

「あの、俊さん」

「なんだ?」

「私、俊さんのこと、結構好きです」

「そうか」


『そうか結構好きなのか……ん、ん⁉』

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