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親友の元カノに家へと誘われたら、僕が命を救った可憐なJCが妹として待ち構えていた話、します?【長編小説】  作者: 金森 亮
第一章 死ななきゃ丸儲け

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第2話 中学生という名の壁

 僕は帰宅後して着替えると、右の頬を枕に当ててベッドに横たわる。この至福のひとときを謳歌することが、一番生を感じられるのだ。


 すると、スマホにある人物からのメッセージが届いた。


「もう終わったわ」


 端的に悲痛な文面を送ってきたのは、僕の友人・北村香織だった。彼女は僕の大親友こと山寺陽人と交際していて、じきに一年の月日を迎えようとしていた。


『おいおい……。二人が喧嘩するの、これで何度目だよ……』


 僕は「はぁ」と声に出しながら、ゆっくりとため息をこぼす。


「はいはい」 「それで、今度は何が終わったんだ?」

「私は守られたいの」 「なのに陽人が弱腰だからもう付き合っていられない」

「“なんで最初からそれが分からなかった”って突っ込んじゃダメか?」

「そうね、駄目ね」


『これは愛なのか……うーん』 


 僕は腕を組んで眉をしかめる。すぐに次の言葉が浮かぶと、徐《おもむろ》に文字を打ち込み始める。


「守られたい欲を我慢しないと」

「無理かも」

「そうか……」


 僕は香織が唐突に病んでしまった理由を聞くべく、陽人に電話をかける。ビデオ通話になると、そこには顔色を喪った陽人の姿があった。


「もしもし?」

「……も、もしもし」

「ほんで、お前は何をしたんだ?」

「あぁ……聞いたのか」

「聞かされたんだけどな」


 僕は呆れに由来する真顔で応じる。


「本当に何もしていないから! あいつが勝手に怒っているだけなんだって!」


 陽人は顔面を蒼白させて無実を訴える。


「ご夫人は陽人が何もしていないことに怒っておられるけど」

「はぁぁ……わけが分からない」

「仲介役した回数もそろそろ二桁いきそうなんだけど、別れる気は?」

「さらさらないな。喧嘩しても、どうにか一年半続いてきたんだしさ」

「皺寄せがこっちに来るのはどうなんだよ……」 


 僕は目を瞑って、陽人に不機嫌そうな態度をとる。


「次、なにか奢るからマジで許してほしい」


 陽人はスマホにおでこをつけて、そう懇願してきた。


「怒ってはいないけどさぁ……。まぁ二人とも、ある意味お似合いなのかもな」

「ごめんって……」

「まぁ、いつも通り僕の思想でどうにか啓蒙しておくよ」

「あざす!」


 僕は陽人との電話を終えて他のトークに目を移すと、美紀からトークが一通来ていることに気づいた。


「今日は命を救ってくださりありがとうございました」


『自分から救われに行ったって言っているんだけどなぁ……。まぁいいか』


「美紀さん自身の陰だよ」 「僕の存在を自分で気づけたんだから」

「本当にありがとうございました」

「なぁ、ちょっと質問いいか?」 「お礼代わりにと言っちゃなんだけど……」

「大歓迎です!」 「なんですか?」

「まず大前提として、とあるカップルがいるとするだろ?」

「はい」 「いるとしますね」

「やがて相手に自分の求めている物がないと分かったとして、それでもこのカップルは交際を続けるべきか?」

「いえ、別れるべきだと思います」


 少し身体がビクッと震えて、スマホとの距離をとる。


『まぁ、普通ならそうだよな』


「お、おぉ……即答だな」

「……たしかに理想を追い求めすぎるのはダメです」

「そうだな」

「でも、妥協して自分の首を絞めるのはもっとダメなんです」

「その発想はどこで得たんだ?」

「周りの人の失敗から学びました」

「失敗しすぎだろ……周り」

「みんな恋愛に失敗する年頃ですから」

「みんなませているな……」


 僕は細目をして苦笑する。


「それはそうと」

「なんだ?」

「俊さん、彼女さんがいるんですか?」


『あぁ……この子は何かとんでもない勘違いをしているみたいだ』 


 僕は急いで文字を打って返信を試みる。


「僕は同級生にしか興味がないし、まずまず今の同級生にも興味がない」

「私にも興味がないんですか?」

「……え?」

「え?」


『な、なんだこれ……もしかして誘われているのか? 中学生に? 僕が??』


 目を瞑って仰向けになる。少しして起き上がると、また打ち込みはじめる。


「高校生になるまではな」 「中学生を好きになるとロリコン呼ばわりされるから」

「ロリコン好きでもいいじゃないですか?」

「というと……?」

「胸を張って堂々とロリコンとして生きていくんですよ」

「嫌すぎるだろそれ……」 「というか、なんでそんなこと僕に聞くんだよ?」

「知りたいですか?」

「いや聞かないでおく」

「もう、つまらないなぁ」

「ありがとうな」 「参考になった」

「何かあれば、これからいつでも聞いてくれていいんですよ」

「たまに聞くな」


 僕はスマホをベッドに置いて、「ふぅ」と一息つく。一仕事も二仕事も終えた今日はなんだか充実した一日だった。


『まぁ……一応つまらない一日ではなくなったかな』

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