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親友の元カノに家へと誘われたら、僕が命を救った可憐なJCが妹として待ち構えていた話、します?【長編小説】  作者: 金森 亮
第五章 カップルの様相

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第18話 保留にさせて

 小樽の駅に移動した僕らは、運河のある南の方に歩みを進める。


「食べては歩いて。今日の私たち、凄く健康的ですね!」

「そうかもな」


 すると道中、美紀はしんみりした様子になって、唐突にこう告げてきた。


「……ごめんなさい」

「な、なに謝っているんだよ?」

「私……男性との交友がないので、なにがデートの正解か分からないんです」

「上出来だよ。よく計画を練っている方だ」

「……本当ですか」

「ここで嘘をつく必要もないだろ」


 彼女は口元をギュッとして、笑顔に近いなにかを見せていた。そこには決意の類が含まれているような、そんな気がした。


『まさか……そんなことはないよな』



 運河にやってくると、訪日外国人で賑わいを見せていた。そんな無数の人の中であっても、美紀の笑い顔は外せなかった。



 運河の周囲を一通り、散策し終えてまた有名な橋の上に戻ってくると、美紀はまたなにか言いたげな素振りを見せる。


「ちょっとだけ……いいですか?」

「……なんだ?」


 このとき、僕が身構えたことはとても正しかった。




―――私……俊さんのことが好きです。私と付き合ってくれませんか。―――




『遂に来たな。それにしても……ちょっと早すぎるだろ!』


 いつか来る予感はしていた。だが、僕も全く対策をしていないわけではなかった。


「保留にさせてくれ」


 僕は即答した。香織との約束以前の問題があったからだ。


「……それって、望み薄なパターンじゃないですか」

「そんなことはない。ただ、あまりにも時期が早すぎる」


 僕は言い訳をいくつも考えていた。常識的に考えれば、たかが二歳差で年齢云々だなんて謳っていられなかった。


「……たしかに、まだ十五は若いと思いますけど」

「違う。出会ってから日が浅いってことだ」


 美紀とは出会ってからまだ一ヶ月。気が熟さないまま付き合っても、理想との乖離に苦しめられるだけだと知っていた。偶然にも、それを教えたのは姉の香織だった。


「それに第一、お前は受験生だ。あんまり恋愛なんかに現を抜かしていられないからな」

「本当に……それだけですか?」

「当たり前だ。お前ほどの美人を彼女にするなんて、おこがましいにもほどがある」


 美紀は首を少し傾けて、少し呆れを含んだ笑顔を作る。


「……やっぱり俊さんは謙虚ですね」

「寄り添えているなら、それでもいいよ」

「やっぱり、そういうところも大好きです」


 美紀はまた屈託のない笑みをした。


「め、面と向かってはっきり言うなよ……」

「まぁ、私が高校生になったら、楽しみにしていてくださいよ」

「な、なにがだよ……」

「ヒ・ミ・ツ!」


 美紀は一瞬だけ小悪魔と化して、僕を最高にからかっていった。この関係が続いてくれることを、僕は切に願っていた。



 峠を超えてからの時間はあっという間に過ぎ去っていき、オルゴール制作から蒲鉾の購入、市場の散策なんかもして、無事に夕刻を迎えることになった。


「オルゴールに蒲鉾、海産。今日は収穫がいっぱいです!」

「そうだな」


 喜ぶ美紀の横顔は、姉との約束も忘れてしまいそうなくらい魅力的だった。


「……私、勉強頑張ります」


 帰り際、そう健気に言う美紀に、僕もこんな言葉でエールを送った。


「またデート、楽しみにしているからな」

「は、はい!」


『……これでいいんだ』

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