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親友の元カノに家へと誘われたら、僕が命を救った可憐なJCが妹として待ち構えていた話、します?【長編小説】  作者: 金森 亮
第五章 カップルの様相

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第17話 妹とのデートフェーズ

 6月16日日曜日、遂に美紀とのご褒美デート当日を迎えた。天候は晴れ。北海道としては普通のことだが、今日だけは美紀の方から、ただならぬ豪運を感じていた。



「お、おはようございます!」


 美紀はいつも通りに可憐な姿をして、ミニなスカートを纏っている。完全に狙い研ぎ澄ました格好だった。


「きょ、今日はお日柄もよく……」

「……なんでお前がそんなにたじろいでいるんだよ」

「だ、だって、失敗は許されませんし……」

「僕は許すけどな」

「私が許しません!」


 相変わらず元気な美紀の姿を拝んだ僕はにっこり微笑む。すると、美紀もその後を追随するように笑顔を轟かせる。


「じゃあ、行こうか」

「……今日一日、よろしくお願いします」

「あぁ、よろしくな」



 僕らは電車を二本乗り継いで小樽を過ぎて、然別という駅にやって来た。


『……こ、これ、どこに行こうとしているんだ?』


 仁木の駅を過ぎてしまうので、僕は「お、降りないのか!?」と美紀に尋ねてしまった。


 だが、頑なに「まだ降りません」と言う美紀の言葉を信じ、はるばる仁木の奥地を訪れたのだった。


「し、市街地じゃなかったのか?」

「えぇ、そうですけど?」

「なんでこんな終点に……」

「ふっふっふ。じきに分かりますよ」


 数分歩むと、やがて中規模な商業施設が目に入った。外には大きなお椀があって、僕はここがなんの施設か、検討もつかなかった。


「ここは……なんの施設だ?」

「はい! きのこの楽園です!」


 辿り着いたここは、きのこ専門の飲食店だった。入口から「きのこ汁」という文字が嫌でも目に焼きつく。


「どこでこんなところ知ったんだよ……」

「……昔、一度だけ家族で来たことがあるんですよ」

「あぁ、それで……」

「ですが、今回のデートでそれを上書きしようと思います!」


 僕は至って真面目な顔をして、美紀の言葉に一言だけ物申す。


「上書きはしなくていいと思うけどな」

「……どうしてですか?」

「記憶から消す労力が無駄だからな。嫌な思い出じゃないなら尚更な」


 美紀はその言葉にしみじみした様子で、「別枠に記憶しておきます」と言った。


 「そうだ、それでいい」と言うと、美紀は口を綻ばせてにっこりと笑った。


「それにしても美味しいな、このきのこ汁」

「そうですね。懐かしい味がします」


 僕に美紀から、記憶の一部を共有してくれているような気がした。少なくともそうでなければ、ここは初めてのデートの最初に来る場所ではなかった。


『……絶対にインパクトに残るよな』


「お前のセンスには感服するよ」

「私の感性を……好きになってください」

「あぁ、そうするよ」



 食事を済ませた僕らが次に降り立った先は、りんごにウイスキー、宇宙飛行士などで有名な街、余市だった。


「僕らにウイスキーはまだ早いしな」


 駅から少し歩いた先にある、ウイスキーの蒸留所を横目にそう呟いた。


「……ウイスキーはいらないです。それよりも、りんごです!」

「りんごってまだ旬じゃないだろ?」

「加工品ならどうにかなりますから!」


 そう言って向かった先は、地元のりんご製品を専門に売る、りんご工房だった。


「りんご、好きなのか?」

「え、普通ですけど……?」

「じゃあ、なんでここに来たんだよ……」

「知らないものを知ってみたかったから……ですかね」

「余市のりんごは有名だけどな」


 入店すると、メニューにはりんごをふんだんに使ったスイーツだったり、安牌にジュースだったり、とにかく美味しそうな商品が載っていた。



「なんというか……私、いま幸せの中の幸せにいます」


 注文を終えて、店内を舐め回すように見た美紀は、僕にボソッとそう言った。


「隣に同じく。上手い食い物に可愛い妹ちゃんって、僕は一体前世でいくら徳を積んだんだろうな」

「……それは告白ですか?」

「た、ただの本心だよ」


 美紀はほんのり頬を赤らめて、にこっと笑顔を見せる。


『……僕はこの子を、美紀を裏切っちゃいけないんだ』


「今日はありがとうな。僕と一緒に出かけてくれて」

「まだデートは終わりませんよ」

「知っている」


 美紀の笑顔は、完全に友達のそれを超えているような気がした。

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