第80話 記念撮影は全通りらしい
「うん、今日も昨日と同じ、良い天気だ」
「涼一坊ちゃま、こっちだと風が遮られていますよ」
「凪さんありがとう、ほんとだ陽はあたるけど、春風は入って来ない」
BBQスペースというよりドッグランかなここ、
ペット可能だっけ、インナーバルコニーに水道があったのは、
犬とか洗うためかも知れないな、とにかく全員整列だ、僕も外着に換えた。
「さあ、では撮影を」
「うん、どこにカメラを固定するの?」
「撮影係を用意しております」「えっどこに、って出てきた!」
カメコスタイルの大くんだ、
ぬるっとどこかから出てきた、ハンモッグからかな?
居るよねこういう撮り鉄、みたいな格好だ、カメラを構えている。
「さあ坊ちゃま、立ち位置はこちらで」
「マズはNAGIと並んでクダサーイ!」
「あっはい、で後ろにケイさん達がズラリですね」
陽菜ちゃんは、
ちゃんとミニ脚立を持ってきている、
そしてその上に立って、って前も思ったけどこの立ち方って正しくないよな、まあいっか。
「ではいきますよ~、はいポーズ~」
って後ろのれいさんが言うのかーい!
それに合わせてシャッターを切る大くん、
一応、もう一枚……これで僕を囲んだメイド大集合の写真が撮影された。
「次はMEデース」
「あっ、ケイさんが隣に」
「全通りサツエイしますYO!」
どこのラッパーだ、
なんとなく御主人様をつまみ食いしそうなハーフメイド、
いや酷い偏見だな、を隣に今度は凪さんが後ろの列に立って、合図まで……
「ではお願いします、スマイル」
ケイさんの2枚目は馴れ馴れしい感じで絡んで来た、
次は陽菜ちゃん、脚立はフレーム外に追いやった、前列だからね、
まずは真面目な感じで隣に、メイドコスプレの妹とかじゃないからって感じで……
「ハーイ、SEXY!」
なんちゅう合図だケイさん、
陽菜ちゃんの2枚目は僕の前に立って、
後ろから抱えて欲しいらしい、仕方ないな、これは兄妹っぽく……
(僕のが10歳も年下なんだけどな)
よし、次はれいさん、
爆乳が目立たないように真正面で、
なぜか緊張しちゃう僕、後列に戻る陽菜ちゃんは脚立再装備っと。
「じゃあお願いね、はいチーズ」
陽菜ちゃんの合図で実姉とその婚約者が前列に立つ写真を撮影する大くん、
2枚目は、って腕を組んできた、あ、あっ、当たってる、これが噂の『当ててんのよ』ってやつかあ?!
弟くんはどういう気持ちで撮影しているのだろうか、やはりある程度はお姉ちゃん子なのか、後でちょっと試してみよう。
「ふふ、次は私よ」
えみとさんが入れ替わりで来た、
陽の下で改めて見ても凄い色気だ、
ご老人のご主人様をハニートラップにかけて財産奪いそうなメイド、って偏見が酷いな。
(でも嫌いじゃない、むしろ好き)
という悪女的な微笑みに見えてしまう、
えみとさんが横に立って……僕はちょっと緊張しちゃう。
「はい涼一♪」
今の合図は景香お姉ちゃんです、
2枚目は僕に軽く抱きつくえみとさん、
メイドとして良いのかっていうツッコミをする間もなく撮影終了。
「最後は私、涼一、ツーショットのつもりでね」
ウッキウキの景香お姉ちゃん、
16歳メイドはどんな写真映えするんだろう、
ていうかこの写真、実家の兄弟に送ったりするんだろうか。
(まあ両親には元気にやってます的な感じで送りそう)
ていうか1枚目は真面目に撮影するはずなのに近いなお姉ちゃん。
「ふふ、はいショット」
えみとさんの掛け声にパシャリ、
2枚目はって頬にキスしながら?!
いやいや良いのかって思っているうちにさっさと撮影した大くん。
(やべえ、顔が熱くなってきた)
これで一巡、全員完了か。
「涼一くん、終わったわ」
「ええっと、なぜポジションチェンジを」
「3年後、誰を選ぶかまだわからないからよ、そうよね?」
メイドモードから凪さんモードになっている、
結婚相手が決まってどのパターンになっても良いように、
全員との前列ツーショットを撮影しておいた訳か、うーん。
(もちろん、3年後にまったく違う相手がってパターンもあるけど)
って大くんがカメラを仕舞おうとしてる。
「待って待って、あと1枚だけ、れいさん」「はい~?」
「僕が撮影するから、大くんとの2ショット写真を撮らせて」
「構いませんが~」「じゃあ2枚撮るよ、並んで並んで、では行くよ、3、2、1、はいっ!!」
撮影した大くんの表情は、なぜか虚無だった。




