第75話 初めての人から見ても喰い過ぎらしい
「わあ、縁日みた~い」
「ホームゲームは毎試合こうだよ」
「晴れて良かった~」「いやほんと春休み終わったのに人が多いね」
調布のスタジア横広場、
メイドじゃない、同世代の女の子と初めて来たな、
ここへ来る途中も駅からの装飾にいちいち驚いていたっけ。
(あの選手誰? あの外国人どういう選手? とか)
いやほんと、デートだなぁ……
まさかスタジアムでこういう事が出来るとは、
ってクラスメイトにばったり会う可能性があるのに腕を組まれてる。
(イトコなら、ギリある事か?!)
まあ見つけられたら言い訳するか。
「それにしても、みんな食べてるね」
「反対側に行けば子供用のアトラクションとかあるけど」
「クレープたべたーい」「え、いきなり?」「列が短いから!」
うん、どこのお店も長蛇の列、
人気店によっては30分待ちもある、
ただスイーツ系はそこまで待たなかったりする。
(味はどこも美味しいよ!)
試合2時間前でコレですよ、
ただ父さんと一緒に来た時に、
よく使っている手がありましてね……
「じゃあクレープ買ったら僕はあのローストビーフに並ぶから、景香お姉ちゃんは、あのから揚げの列に」
「えーやだー」「あっ代金? 後で僕が現金で渡すから」「涼一と一緒に並びたいのー!」「いや効率が」
「もう何しに来たのよ」「サッカーを観に」「そ・れ・と」「あっ、何かアーティストが来てたっけ、誰か」
父さんの話だと、
昔は意味もなくバグパイプの演奏とか観させられたらしい、
いやJリーグチームのショーでですよねって、演者に罪は無い、多分。
「涼一、いま一緒に来ているのは?」
「東京の高校に入学しに来た従姉です!」
「さらに?」「ウチに出稼ぎに来ています!」「からの~?」「あっクレープ順番きたよ」
次はカステラに並ぼうか、
せっかくお昼ご飯抜いてきたのにな、
正確にはここでお昼ご飯を食べに来たっていう。
(まあ良い、お弁当は最終手段がある)
あそこもあそこで売り切れる事が、ままあるけど。
「おーいしぃ~」
「うん、美味しいね」
「私たちも周りと一緒になっちゃったね!」
そう、ウチのサポーターはよく食べる、
他のサポーターから見ても、初観戦のお客さんから見ても、
喰い過ぎって言われるくらい食べまくっているらしい、いや現に聞こえてきたことある。
(母さんもここだと、普段と別人ってくらい食べてたとか)
それはそうとスタジアムが開門したらしい、
並んでいた入門の列が動き始めている、落ち着いたら行くかあ。
「涼一、今度はワッフルだって!」
「買うお弁当の分の胃袋も空けておいてよ」
「いざとなったら持ち帰る!」「ええっと、帰ったら夕食の時間では」
まあ夜中に温めて食べた事はあるけどね、
ということでクレープ→ワッフル→カステラと甘い物コンボを堪能し、
そろそろスタジアムへ一旦入ろうと列に並ぶ、しかし景香お姉ちゃんの視線は……
「ねえ涼一、グッズショップは入らないの?」
「えっと、みんなのお菓子買うけど、かさばるから帰りで!」
「私のグッズはー?」「中でそれも帰りに、試合に勝つと購入商品とは別でオマケが貰えるんだ」
こうして僕らはスタジアムへと入ると……
「わあ、マスコットが居る、しっぽ大きい!」
「並んで2ショット撮る?」「えー3人が良いー」
「うーん」「せっかく来たんだしぃー」「こういうのは子供優先、ってまあいいか」
高校1年生も子供っちゃあ子供?
ということでマスコットとの3ショットを撮りました!
いや僕は狸の着ぐるみよりレジェンドOBとの撮影のがテンション上がるんだけど、黙っておこう。
「あっ涼一、どこ行くの」
「チーム公式の焼肉弁当、そこそこ待たずに買えるよ」
「ドーナツもある!!」「まだ甘い物コンボを続ける気?!」
結局、買わされました。
「じゃあ席へ」「その前にトイレー!」「あっうん、待ってる」
この間に、
婚約者グループLINEでも覗こうっと。
野沢麗『涼一くーん、弟もう帰るってー』
遠藤涼一『満足してくれたかなあ?』
野沢麗『スタジアムの外はね、中は卵焼きスティックくらいしかなかったって』
無かった、とはいえ店は揃っている、
きっと気に入ったのがそれしか無かったのだろう、
とにかくこれで入場者数は1人増えた、僕は満足です!!
(さあ、景香お姉ちゃんが戻ってきたら、SSS席にご招待だ!)




