第74話 1万円以上喰うらしい
(明日の試合は午後3時、景香お姉ちゃんとかぁ)
栃木で野生の猿を見に行って以来の2人きりデートだな、
とベッドの中で明日に備えて眠ろうとしていたのだけれど、
もう1人招待していたのだった、QRコード送ったのに返信ないってどうしたんだろう、大くん。
「僕より年上なのに、『くん』付けしたくなるタイプの人だ」
などと呟いていないで、
こういう時は婚約者グループLINEだ、
見ると景香お姉ちゃんが『明日、楽しみ~』だって。
(ええっと、ここに大くんは入ってないから……)
本人に直接電話でも良いけど夜遅いからな、
ここは『れいさん、弟さんちゃんと入場QR受け取ったって?』っと、
婚約者LINEってみんな読んじゃうから、あんまり変な事は書けなってもう返事が来た!
野沢麗『うん、あと現金ほとんどの店で使えないからICカードに入れておくって』
良かった、
QRコード(指定席券)のメールに書いた文字もちゃんと読んでくれている、
スタジアム内部の数店舗以外は現金は使えないのですよ、交通系ICカードは可能。
遠藤涼一『お金は渡さなくて本当に大丈夫?』
野沢麗『社長に11000円渡して、届けて貰ってあるから』
遠藤涼一『あっ猫カフェの帰りに! ってなぜその金額』
というかそんなに喰うんだ。
野沢麗『消費税ですよ』
丸瀬陽菜『猫の着ぐるみ借りてこよっか』
遠藤涼一『なるほど、ていうか文字だと語尾伸ばさないんですね』
あっ、何か混じっちゃった。
(いやいや『何か』は酷いな)
陽菜ちゃんが『猫カフェ』に反応しちゃったか。
田中凪『一瞬でも入場は必ずするように言っておいたわ』
そう、キッチンカーや屋台は、
スタジアム周囲でやっているので、
実は入場しなくても場内売店以外はチケット無しで買い食いできるのです!
遠藤涼一『何か質問とか無かったですか?』
野沢麗『持ち帰りは良いのかって、別に構わないって言っておいたわ』
佐藤ケイ『しつもーん! 涼一はどうしてサポーターになったの?』
まーた何か紛れ込んでくるなグループLINEは。
遠藤涼一『あっそうだ、あと絶対身につけちゃいけない色が、ってこれはメールしておこう』
野沢麗『そのあたりは弟なら調べてそうですけれどねー』
遠藤涼一『いやサッカー興味ないと本当にそんなものだから』
何せ公式グッズでライバルカラーの売った前科があるからな我がチームは。
田中凪『調布のスタジアムまで車で送ってあげるけど?』
遠藤涼一『いいや、電車で行くのがワクワク感があるんだ』
小泉景香『混んでたら涼一に寄りかかるから、よろしくね』
いやいやいや、
そんな予告されても困る。
遠藤涼一『ちゃんとファンクラブ会員Tシャツの上にレプリカユニ着てね』
小泉景香『涼一、裸でユニ着ようとしたら逃げちゃった』
遠藤涼一『そりゃあ逃げるよ、あんなスケスケ!』
むしろ脱いでたな、
脱いで着ようとしていた、
脱ぎ始めた時点で逃げました。
丸瀬陽菜『楽しんできてね~』
佐藤ケイ『お土産待ってまーす!』
遠藤涼一『あっそうだ、凪さん、送ってあげるなら大くんを』
電車移動は窮屈そうだ。
野沢麗『午前10時には着いてるって言ってましたー』
遠藤涼一『はやっ!』
野沢麗『入場開始と同時に入って、中の売店見てから帰るって』
喰うならせめて座席で、
って無理強いはできないな、
僕としては入場者数が1人増えれば満足です!
小泉景香『ねえ涼一、今から直接話さない?』
遠藤涼一『どこで』
小泉景香『ここで!』
ベッドに来いってかあ。
遠藤涼一『じゃあおやすみ』
田中凪『おやすいなさいね』
橋本園美渡『ZZZzzz』
えみとさんはすでに寝ていた。
佐藤ケイ『グンナイ!』
丸瀬陽菜『良い夢を見てね』
野沢麗『私はネット配信で観ますねー』
有料だけど良いのか、高いぞ。
小泉景香『んもう、明日はデートなんだからねっ!』
(……さて、従姉でJリーグ観戦デートの予行練習だ)
ってことで良いんだよね?
まだ誰を選ぶか決めていない、
まあ単純に考えれば6分の1の可能性で
「思い起こせば、あれが最初のちゃんとしたデートだったなあ……」
となる可能性もあるにはある、
最も景香お姉ちゃんを最終的に選んだ場合のみだけど!
いやもちろん誰も選ばない可能性も、3年後の事はまだわかんない。
(とにかく今は、明日だ明日!)
3対1で勝つのを祈って、おやすみっと。




