第71話 久しぶりの再会らしい
「前はお任せクダサーイ!」
登校をママチャリで先導してくれるケイさん、
新しいTシャツに着替えたのは良いが胸が『Housework helper』で、
背中上部が『家事手伝い』と書かれている、いやだからそれどこで売ってるの。
「でね涼一、大江戸線っていうのがすんごい深くて」
「うん、東京区内は地下鉄だらけだから、新しく作ると相当掘らないと駄目だったみたい」
「それで、これ開いたらシェルターなんじゃない? って扉があって」「それ単なる駅員詰所では」
景香お姉ちゃんと他愛もない会話、
いやほんと美人で可愛い16歳だなあ、
それでいて健康的、でも色んな部分でケイさんのが上手だ、ハーフはずるいっていう。
ブッブーッ
なんだろ少し高そうな外車、
窓が下りるとおじさんが顔を出した、
その視線の先はケイさんだ、横についた。
「ケイちゃん! ケイちゃんじゃないか!」
「WOW 久しぶりデスネー、お客様、How are you?」
「1年ちょっとぶりだね、『Scanty International』を急に辞めたからみんなびっくりしてたよ」
なんちゅうお店の名前だ。
「キャバクラのみんなはオゲンキデスカー」
「そうだね、でも貴重な若い子が居なくなって残念だったよ、
今でも『ケイちゃんはいつ戻ってくるんだ』って客が居るらしいよ」「time won't go back!」
もう戻りません、って言ったのかな。
「今は何をやってるの」
「ナニカヤッテマース!」
「もしソープとかに」「一般職デース」
うん、確かに一般職だ、
ていうか昔のお客さん相手に、
ちゃんとあのキャラで会話してあげてるの偉いな。
「そうなんだ、じゃあもうフリーだね」
「会社員Death! 保険もちゃんと支払ってマスヨー」
「そうだ愛人契約しよう、ケイちゃん若いから月20万円でどう?」
朝っぱらから何て会話してんだ、
しかも高校生カップルの前で……て見えてないか、
徐行とはいえ自転車と並走して危なくないのか、あのおじさん。
「そんな暇は無いですね、そもそも身体を売るような仕事ではなかったし」
うお、ケイさんマジトーンのマジ言葉だ!
「えっランジェリータイムは」「あくまで仕事のショーですよ」
「下着姿で踊っていたギャルが何を」「前のJKにぶつかりますよー」
あっ、景香お姉ちゃんのお友達だ!
「じゃあね涼一」「うん、また」
単なるイトコモードでお別れ、
会社は曲がる所なのか止まってケイさんに話し続ける。
「もうお店関係なく会えるんだからさ、前のケイちゃんの消えちゃってるから新し」「バーイ!」
無慈悲に自転車で曲がっちゃった、
学校は別方向だからね仕方ないねっと、
少し速くなるケイさん、僕のついて……って?!
(車もこっち来た!)
そしてすれ違いざまに……
「今日は時間が無いから、今度は連絡先教えてね!」
と言うだけ言って走って行った……
外車の後ろ姿に笑顔で手を振るケイさん。
「Go play with some random dog!!」
……なんか辛辣な言葉な気が、犬って。
「リョーイチ、お客様とAfterで変な事はしてないデース・ヨ!」
「あっはい、下着姿でダンシングも、まあそんなに変な事じゃないですよね」
「酔ったママだってシマース」「いやそれは人によるっていうか」「リョーイチのママは、ってSorry」
いま一瞬忘れてたなケイさん、
どっちかっていうと伯母さんの方だ、
景香お姉ちゃんのママ、留美さんなら想像が、いやしないけど。
(6年前ならまだ甘え甲斐がギリあったが、今では……)
そのための景香お姉ちゃんか、
も含め6人の婚約者に甘え放題、
って言われても、なんていうか、高校生になってからの甘え方がわからない。
「リョーイチ、まだスッキリしないデスカー?」
「ううん、ケイさんも大変だったんだなあって」
「MEにとってリョーイチは、蜘蛛の糸ナノデス!」「垂らしたの父さんだけどね」
にしてもあのおっさん、
今度は、ってまた来る気なのか……???
ストーカーみたいにならないと良いけれども。
(来週はルートを変えるか、いやいっそ車で)
そもそも先導する意味は、
というのは突っ込んじゃいけないのかな、
小学生の頃なら誘拐防止のためだったけれどもね。




