第64話 心配していたお弁当はれいさんらしい
(さて、運命の時間だ)
お昼休み、お弁当タイムがやってきた、
大きめの弁当箱はサンドイッチがぎっしりでもおかしくない、
朝食の余りが入れられていても元が手間かかっているので文句は無い。
「涼一、何か怖がっていないか?」
「ひょっとして涼一くん、一度落としたとか」
「普通の黄色い弁当箱に見えるけど、ちょっと大きいな」
三方向から見てくれている友人たち、
今朝のメイドについて何も聞いてこないので知らないのかな、
景香お姉ちゃんのことも一切触れて来ないから、見かけても居ないのだろう。
「いや、今日のお弁当を造ったお手伝いさんが、どんなの用意したか想像つかなくて」
「手が震えているぞ、大丈夫か」「何なら代わりに開けてあげましょうか」「ドカーンとかないよな?」
「そんなテロリストがウチに潜り込んでたら目的は何っていう、とにかく開けるよ、開けるからね?……えいっ!!」
カパッッ、と開けると、
その中にあったお弁当の中身は……!!
「うお、涼一、猫の絵だよ!」
「キャラ弁ですね、しかも深夜アニメのキャラクターで」
「すげえな、周囲にあるおかずの量も多いし、色んな愛を感じる」
驚く友人一同、
いや僕もびっくりしている!
「うん、このキャラ、『こ●すば』に出てくる黒猫の『ちょむ●け』だね」
「おでこの十字がシソで出来てる」「口はカマボコですか」「うん小林くん中川くん、ボディは海苔だね、開けてびっくり」
「周囲のキュウリ入りちくわとか、から揚げとか美味しそうだな、手が込んでるな~」「うん大森くん、箱の大きさ以上にぎっしりボリュームが」
気合い入ってるなー、
これはこれで野沢麗さんらしい、
裁縫が得意なのもよくわかる、手先が器用、あの胸の大きさに負けずに。
(って何の話だ僕は)
とにかく食べるのを戸惑う程だ、
中川くんなんかスマホを取り出して撮影を……
「撮って良い? ウチの姉ちゃんに見せたい」
「良いけど、あっ、僕も撮っておこうかな、一応」
いやあ、れいさん初回だから張り切ったのかな、
毎週このクオリティが来たらびっくりするけども、
どのくらい時間かかったんだろう、無理しないように言わなきゃ。
「じゃ、いただきまーす、猫の顔を無慈悲に」
お味は……うん、普通に美味しい。
これは帰ったらしっかり褒めないと、
朝食のサンドイッチでお昼は御飯出るか心配したけど、良い意味で凄い弁当が出てきた。
「キャラ弁かあ、彼女に造って欲しいよなあ」
「でもそうなると、お弁当代を払わないといけないのでは」
「涼一、その弁当を造ってくれたお手伝いさん、涼一に気があるんじゃ」
大森くん鋭いなあ。
「単なる、そういう趣味のお手伝いさんだから!」
「涼一のお手伝いさんって色々居るんだな」「ま、まあ」
「ウチの姉ちゃんは普通のしか造ってくれないから」「作って貰ってるの?」「たまに」
やっぱり姉ってそういうものなのかな、
一度、景香お姉ちゃんに造って貰う日を……
料理当番も土曜だったからね、ちょっと調整しよう。
「なあ涼一、次のキャラ弁はいつだろ、次が楽しみだ」
「そうだね大森くん、来週かな、毎日このクオリティは無理かと」
負担が半端なさそう。
「あっ、雨が止んだ」「止みましたね」「土曜は晴れだなこれ」
「うん、このまま良い天気になってくれればピッチコンディションも、きっと」
そういや友人たちと、
スタジアムで会う可能性も十分、
いや、むしろもう会っている、まであるな。
(どうしよう、席を合せようとか言われたら)
ちなみに上位の席には差額を出せば、
下位の席には手数料だけで空いていれば移動は可だ、
って指定席に上位とか下位とか言っちゃいけないよな、声には出さない!
「それで涼一、土曜の試合のスタメンなんだけど……」
あさってスタジアムでの、
僕が景香お姉ちゃんと行くデート?
見られたらどうしよう、その時はその時か。
(別に、やましい事をする訳じゃないし)
そもそもこの友人3人は、
お隣の『小泉景香』という女の子の、
存在をすでに知っているのだろうか、まあ目立てば勝手に話題に出てくるかな。




