第49話 とりあえず公平に接するには必然らしい
コン、コンッ
「失礼します~」
「ふふ、失礼しますわ」
「あっはい、どうぞ、おふたりとも」
もう寝る時間、
僕の部屋までわざわざ添い寝に来たのは、
ある意味、先延ばしにさせて貰った爆乳&巨尻ペアだ。
(さすがに今夜は、逃げられないよ……)
野沢麗さんと橋本園美渡さん、
いつもは『れいさん』『えみとさん』と僕が呼ぶふたり、
彼女が添い寝に来るのを、僕は子終る事が出来ない、なぜなら……
「リクエスト通り~、地味なパーカーですよ~」
「ふふ、私も工場での作業ジャージで来ちゃったわ」
「はい、グレーと紺色、色は地味ですよね、うん、色は」
一番地味な寝間着で来て欲しいと言った結果だ、
しかしどうしても隠しきれないボディラインがある、
でもそんなものは部屋を真っ暗にしてしまえば関係ない!
(いや、このペアを招かないと、不公平になるらしいんですよ)
すでに田中凪&小泉景香ペア、
佐藤ケイ&丸瀬陽菜ペアに添い寝して貰い済で、
このペアにもして貰わないと、婚約者全員と公平に接している事にならないのだとか。
「って2人に押し切られちゃったけど、あくまで『添い寝』だけだよね?」
「あら~、他の皆さんは~、いかがだったのでしょうか~」「うん、添い寝だったよ」
「ふふ、どこまでの添い寝かしら?」「いや本当に、添い寝は添い寝だから、変な事は無いから!」
会って1週間以内に全員抱くとか無理ですよ、1人ですら。
「涼一さ~ん」「はい、もう消灯しますよ、れいさん」
「変な事、とは何でしょうか~」「いや察してよ、変な事は変な事だよ」
「うふ、具体的に言ってくれないと、困るわあ」「けいとさんも、わかってて言わないで!」
僕の顔が熱く、
赤くなったであろうタイミングで部屋を真っ暗にする、
おそらく耳まで……まったく、これ僕の部屋だから襲われないルールだよね?
(……あっ、触れてなくても、凄く良い匂いに包まれちゃう)
もはやこれだけでもう、
全身がくすぐったいような感覚になる、
こういうのって免疫ないからなあ、本当に幼い頃の栃木以来か、伯母さんと寝た。
「もうすこし~、近づいても良いですか~?」
「ええっと、あっち向きで」「窓向きですねぇ~」
「ふふ、では私は」「えみとさんは上を向くか、こっち向きでも」
どうせ真っ暗だからね、
後は寝ぼけて変に触らなければ、
ただ、ちょっと気になった事だけ聞いてみよう。
「ええっと、れいさん」「はい~」
「やっぱり仰向けで眠ると、苦しい?」
「ですね~、息が~」「じゃあいつも横向きで」「そうなります~」
あそこまで大きいと、
やっぱりそんな危険が。
「大変ですね」「支えていただけますか~?」
「何をどうやってー? って、やらないよっ?!」
「ふふ、楽しそうな話をしているわね」「えみとさん、うるさくてごめんなさい」
いやほんと、
えみとさんは声もセクシー、
それ言ったら、れいさんだって良い声だ。
(やばい、真っ暗だと声の良さが際立って興奮しちゃう)
あのヴィジュアルに、
それを塞いでもこの声っていう、
ちょっと高校生になったばかりの僕には毒気が強すぎる……
「んっと、添い寝って、サイクルとか来る日とか、決まってるんですか?」
「そうですね~、様々な組み合わせを試していただいた方が~、よろしいかと~」
「うふ、涼一君が望めば毎晩、公平にチャンスを与えて欲しいわ、そうなると必然的に毎日?」「いやそんな」
ええっと6人から2人を選ぶ組み合わせは何通りだ。
「15通りですね~」
「えっ、いま僕、声に出して言ってた?!」
「おそらく同じことを考えていたかと~」「なるほど」
で瞬時に答えを出したと。
「ふっ、今月中に全通り試すかしら?」
「いや寝不足になっちゃう、ていうか添い寝って別に義務じゃないよね」
「ちなみに~、3人添い寝ですと20通りです~」「いや3人目どこで寝るの」「上とか~」
陽菜ちゃんだと枕になりそうで怖いな、
いやあの猫どこにでも潜り込んで来そう、
それに助けられる事もあるけど、信頼し切ると裏切られた時のダメージが大きそう。
(もちろん陽菜ちゃんだって、立派な婚約者だからね)
うーん、誰を選ぶべきか、
そもそも選ばないっていう手もあるにはある、
これでまるっきり違う女の子を連れてきたら、どうなるんだろう。
「みなさんって、皆さん通しでは争わないんでしたっけ」
「足の引っ張り合いは~、禁止事項ですね~、ですから添い寝も協力して~」
「ふふふ、過度な抜け駆けは禁止みたいだけど、隙あらばって気持ちはみんな持っていると思うわ」
今日の景香お姉ちゃんみたいにか。
「そっからその、まったく違う女の子を僕が連れてきたら」
「そしたら~、もうお終いですね~、その時点で私たちの負けかと~」
「あら、学校で気になるクラスメイトの女の子でも?」「それは、まだですが」
って、それだと他所を探そうとしてるって思われちゃうかな。
「これは~、急いだ方がよろしいでしょうか~」「えっ何を」
「うふふ、もっと積極的に行っちゃおうかしら」「いやそんな」
「涼一さん好みになりますよ~」「涼一君、選んで貰えるように頑張るわ」
といった感じで、
眠りに時間がかかるような会話をしてしまった僕なのであった、
うーーーん、よくよく考えたら、これ一方的な婚約者だよねっていう。
(いや、頭から拒否するつもりは無いけれども!)
とりあえず今は、
与えられた彼女たち6人と、
これから上手くやって行けるかだな。
「もちろん嫌じゃないよ、嫌じゃないけど……おやすみ」




