第47話 しれっと2人きりになると危ない所だったらしい
「じゃ、私の部屋へ」
「う、うん、それじゃあ」
「お邪魔するわね」「えっ陽菜ちゃん?!」
景香お姉ちゃんの部屋へ招かれ、
一緒に入ったらいつのまにか陽菜ちゃんが、
ぬるっと入ってきた、いや猫かよっていう感じ。
「丸瀬さん、何でしょう」
「キョーちゃん、部屋にリョーちゃん1人でしれっと入れて何する気?」
「お話ですよ」「ルール上は自室に2人っきりになったら何しても良いの、知ってるわよね?」
ルールなんだ、
どうやら危ない所だったらしい。
「だからって必ずするとは」
「リョーちゃんの部屋でならいいけど、キョーちゃんの部屋で2人っきりにはさせないわよ」
「陽菜ちゃん保護者みたい」「今日のリョーちゃん当番だもの」「あっお世話係」「じゃ、お話して良いわよ」
って、見守りモード?!
陽菜ちゃん正座で落ちついちゃったし!
まるで猫が箱座りしてるみたい、かわいい。
「……なんだか話し難いわ、ね、涼一」
「そうかな、友達の家で飼ってる猫みたいなもんだと」
まさにそんな感じで頭を撫でてみる。
「リョーちゃん、私の部屋に来れば撫で放題よ」
「お金取られそう」「お腹も撫でさせちゃう」「いきなりですか」
「飼い慣らされた猫なんて、そんなものよ」「わかります、初見で膝の上に乗ってきたり」
あーあ、景香お姉ちゃんムクれちゃった。
「涼一、栃木で会ってた頃の約束、憶えてる?」
「えっ何か約束してたっけ」「色々と、例えばほら、近くの巨大遊園地」
「ああ、あの日本一の」「あそこへ一緒に行こうって」「なになに私の職場がなんだって?!」
四つん這いで喰いつく陽菜ちゃん!
「あそこで勤務してたんだ」
「今も昔もバイトよ、あそこって正社員めっちゃ少ないの」
「そうなんだ」「勤務が週5からスポットに減っただけの状況よ」
スポット、
日雇いのことかな?
「涼一、この丸瀬さんが居ない日に行きましょ」
「いやその」「どっちみち割引券はあげるわ、何枚でも」
「無料券じゃないんだ」「ネットで売っちゃうのが居るから」「あー」
嫌な世の中だね。
「ねえ涼一、涼一のお父さんなら無料券持ってるんじゃない?」
「あー、頼めばどっからか貰えるだろうけど、そんなケチなことせず、
普通に定価払って行けって言われそう」「あそこの園内ホテルに泊まりましょ、私はリョーちゃんの保護者枠で」
見た目、絶対逆だけど!
「血が繋がってないのは不味いんじゃない?だったら私は従姉だし、ってその証明どうするんだろ」
「僕らの顔をじーっと見比べて貰うとか」「私のお母さんも連れて行けば、元々そういう約束だったし」
そうだっけ、小4の頃ならまあ、そうなるよね、
伯母さんをいつでも借りれるみたいなこと今日、旦那さんも言ってたし。
でもなあ、今更あの伯母さんと景香お姉ちゃんと3人でねえ、ウチの父さん呼んでもなんか擬装家族だし。
(って小学校の入学式までは、その擬装で通したんだよな、伯母さんだけ借りて)
その恩はあるっちゃあ、あるけれども。
「うーん、みんなで行く、は疲れちゃうかな」
「だったらリョーちゃん、分ければ良いんじゃない?」
「えっ何を、グループで? 小泉家と遠藤家みたいな感じで」
さすがに父さんとこの年齢で2人きりはなあ。
「違うわ、それぞれ1人ずつと6回に分けて」
「あっペアで」「そう、6日間に分けて、あとこれ大切な話なんだけど」
「はい」「意外かも知れないけど、女の子みんながみんな、あの遊園地が好きとは限らないわ」
あっ、まあそりゃそうか、
特にストーカー被害者のれいさんとか、
あそこまで人ごみが多いのは……サッカー場ならまだしも。
「だったらその人は、別の所にすると」
「カルフォルニアとかオーランドとか」
「えっ、そっち?!」「海外旅行デートも考えておきましょ」
夏休みって、意外とJリーグのホームゲーム、
2週間以上空く事あるから、アウェイが遠かったらそれもアリかな、
いや夏休みこそ遠くのアウェイゲームを観に行けるっていうのもあるけど。
「涼一、今は私とのデートの話よ」
「えっそうなのお?!」「いつ、どこ行く?」
「まあ、話に出てたネズミ園は近いからいつでも行けるし」
それこそ放課後デートでも、
って景香ちゃんはバイトがあるんだっけ、
月に1日くらいなら休ませて貰えるよね、多分。
「涼一が今、一番行きたい所は?」
「んー、一緒にって意味ならJリーグ観戦かな、観客1人増やせるし」
「それって涼一が気にする事?!」「サポーターとしてね、観客数も発表されるし」
ちなみに年間チケット会員は、
3試合までなら『どこの席でも招待券』が使えるのです!
「リョーちゃん、じゃあそれもペアで行く日を考えましょ」
「うん陽菜ちゃん、っていつのまにか話をコントロールしてるね」
「だーかーらー、丸瀬さん、今は私は涼一と」「キスでもしたいの? したことあるの?」
顔を紅くして俯く景香お姉ちゃん、
黙り込んじゃったから、ここは誤解無きように僕が。
「まだ無いですよ陽菜ちゃん」
「じゃあこれからの予定があるの?」
「一応は婚約者ですから」「じゃあ私も婚約者よ」「うん、わかってる」
でもさすがに、
6人全員と試しにキスでもしてみるか、
とはならない、それはさすがにバチがあたりそう。
「涼一、2人きりで話したいから涼一の部屋に行こう」
「うーん、入学式で貰ったものの整理とかあるから後で、いやまた今度で」
「じゃあリョーちゃん、私、手伝ってあげる」「さすがにそれは1人で大丈夫かな」
ほんっと隙あらば、
しれっと入り込もうとする陽菜ちゃんって、
めっちゃ懐いてる飼い猫みたいだ、夜はひと鳴きしてベッドに潜り込んで来そう。
(でも陽菜ちゃんの言ったルールなら、陽菜ちゃんの部屋も危ないってことか)
飼い猫が狂犬チワワにでもなるんだろうか。




