第29話 結論として景香お姉ちゃんは必死らしい
「……という事があったんです」
「ふふ、私たちに相談してくれてありがとう」
「やはり~、景香さんは~、早く確定させたいのでしょうね~」
昼食後、電話もあまりなくなったので、
交代で2人ずつ休憩ということで野沢さん橋本さんに、
いや、れいさんえみとさんに景香お姉ちゃんについて相談した。
(にしても相変わらず、立派なダンスポールだなあ)
そこで軽く練習していたえみとさん、
れいさんと一緒にそれを見ながらのお話、
ていうかポールに絡みついているえみとさんに普通に会話しています。
「確定って、婚約をですか」
「あら、婚約ってことならみんなともうしてるでしょう?」
「ですから~、結婚相手としての確定を~」「まあ確かに必死な感じは」
お風呂に入ってこようとしたり、
これ男女逆だったら完全に事案だ、
いかにイトコ同士だったとしてもね。
「んっ、誕生日で涼一君に祝って貰えて嬉しくて、テンションあがったのもあるのでしょうね」
「そんな、のけぞりながら言わなくても」「気持ちはわかりますね~、今なら何言っても通るかもと~」
「あっ、れいさん昼食の親子丼、えみとさんと一緒に作ってくれたみたいで美味しかったです」「いえいえ~、お土産のパイありがと~」「ふふ、こちらこそ美味しかったわ」
そう、お持ち帰りパイを1人2個分買って帰った、紅茶ティーバッグ付き。
「正直、じっくり考える暇なく同棲とか、いや同室とか押し切られたら」
「そういうタイプの子だったのね、おそらく大家族の出だからじゃないかしら」
「そうですね~、距離感というものが~、ある意味でバグっているのかも~」「いやバグって」
さすがアニメゲーム大好き野沢麗さん。
「じゃあ油断すると」
「そうね、ヤンデレの餌食ね」
「いやそこまでは」「私達だって~、ヤンデレかも知れませんよ~」
さすがにヤンデレハーレムとか怖い。
「えっと、解決方法は」
「誕生日だけ好きにさせて、後は放置で良いんじゃないかしら?」
「深夜アニメでも~、一緒にお風呂に入った幼馴染が~、翌日から何事もなかったように空気になるとか、ありましたよ~」
さすがに空気にするまで塩対応はしたくない。
「涼一君、景香ちゃんが必死なのは、やはり実家から逃げたいのだと思うの」
「僕だって逃げ出しましたからね」「あら~、そこを詳しく~」「いや教えませんよ」
そんな隣で胸をくっつけられても!
これがハニートラップというやつか。
「ただ涼一くん、このままだと大変な事になるわね」
「どうなるんですか」「景香ちゃんが必死になって、それで距離が本当に近づいたとするわね」
「はい、えみとさん」「そうすると、他のみんなも必死になるわ」「えっ」「もちろん私も」「私もですね~」
なにその修羅場は!
「なんだか恐ろしい事になりそうな予感が」
「今日はまだ『誕生日だから』で良いと思うけど、結婚相手を吟味したいなら距離を取るべきね」
「一時の感情に身を任せて~、後悔するのはよくあることかと~」「ま、まあ、はい、そこはちゃんと考えます」
でないと今の僕って、
早い者勝ちみたいになっちゃう。
「それで涼一君、結局のところ、好きなタイプの女性は?」
「えっと、それがまだわからないです」「ふふ、随分と前の段階なのね」
「だからこそ~、そういう状態の涼一さんを~、狙ったのかも知れませんね~」
何も知らない内に、みたいな。
「まずはその、女性との付き合い方、いえ、接し方から勉強します」
「うふ、私でよければいくらでも教えるわよ」「一緒にお勉強しましょ~」
「それはありがたいんですが、結局は、最後に選ぶのは1人なのに」「罪悪感あるの?」「ま、まあ」
6人中5人は婚約破棄することになるんだし。
「涼一さんが~、自分で選んで婚約した訳ではないので~」
「確かにそうなんだけども」「何も苦しむ必要は無いですよ~」
「そうね、負けたら負けたで仕方が無いわ、最も戦う前に負けを考える事はないけれど、ふふっ」
何かどっかでうっすら聞いた気のする言葉だな。
「とりあえず、どうすれば」
「景香ちゃん以外のみんなとデートね」
「私は~、お家デートで良いですよ~、このマンション内で~」
とりあえずざっと、
1人1人と個別デートか。
「わかりました、今日は景香お姉ちゃんとデートしたので明日は」
「私とどうかしら、ふふ」「えみとさん、行きたい所は」「連れて行ってあげる」
「では~、私はその次、日曜日に~」「んっと、いいのかな」「問題ないかと~」
なんだかんだ言って、
このふたりも、えみとさんもれいさんも、
20代の大人でありつつ、やっぱりちょっと必死な部分がある感じがするな。
(僕ってそんなに価値あるのかなあ)
そういった部分も含めて、
個別にお話して行こうっと。




